みなさんこんにちは、税理士の古見です。
東京の文京区で税理士事務所を開業しております。
相続税って財産をどう分けようと変わらないってご存知でしたでしょうか。
、、、と申し上げましたがかなり補足説明が必要な文章になってしまいましたのできちんとご説明申し上げます。
相続税の計算はまずすべての相続人が負担すべき相続税の総額を計算し、それを各人ごとに取得した財産の金額に応じて按分していくという構造を取っています。
この第一段階の「相続税の総額」を計算する、という場合のこの「相続税の総額」がどのように財産を分割しても同じ結果になる、というのが正確な表現になります。
相続税の計算の流れは次の通りです。まずはすべての相続財産の合計額を集計します。次のそれを法定相続人が法定相続分に従って取得したものと仮定して各人の相続税を計算します。そしてその各人の相続税の合計額が「相続税の総額」となります。その相続税の総額をここは実際に取得した割合を使って各人ごとに按分して最終的に各人が負担すべき相続税を計算します。
相続税の総額を計算する際には「仮定して」というところがポイントです。実際の分割の割合によらず法律に定められた割合(法定相続分)に従って実際の相続人ではなく法律で定められた相続人(法定相続人)が財産を取得したものと仮定するのですから、財産をどう分けようが相続税の総額は計算結果として一つしか存在しないということになりますね。
法定相続分とは一般的なケースで申し上げますと相続人が配偶者と子供でしたら、配偶者が1/2、子が1/2を子供の数で割った割合(二人なら1/4)と定められています。
もう一つ重要な概念として法定相続人があります。法定相続人とは「相続の放棄があった場合には相続の放棄がなかったものとした場合の相続人」と定義づけられています。例えば子が相続を放棄した場合は亡くなった方(被相続人と言います)の親が相続人となります。相続税の総額を計算する際の「法定相続人」というところを「相続人」としてしまうと相続の放棄があった場合となかった場合で計算結果が違ってきてしまいます(相続税が累進税率課税をとっていることが主な理由です)。このように納税者の意思によって相続税の総額が変わってきてしまう可能性を排除するために法定相続人という概念を創設したのです。
いかがでしたでしょうか。財産をどのように分けても相続税の総額は変わらないんだということをご理解いただけたでしょうか。
なお、実は各種特例を適用すると分割方法によって相続税の総額は変わってきてしまいますが、ここでは相続税の計算の基本構造をご理解いただくために詳細の説明は省かせていただきましたことをご了承ください。