5月も終わりです

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

5月31日、今日で5月が終わります。弊所は別にして長かった税理士業界における繁忙期が終わります。この業界における繁忙期は一般的に年末調整の12月から3月決算法人の申告期である5月までと言われております。その間住民税の申告、法定調書、そして確定申告とあって4月には来る5月の申告業務に向けての準備と私自身も修業時代は業務に追われて残業に次ぐ残業でした。

日本は諸外国にくらべて労働生産性が低いと一般によく言われます。そのため世間では効率化、効率化といろんな手段が次から次へと編み出されているようです。しかしながら業務に追われているとなかなか従来の手法を見直す機会がなく時だけが過ぎていきますので結果的に本当に効率化が必要なところにはなかなか手が回らないのが現状ではないでしょうか。

会計事務所の従来からある業務の一つに記帳代行があります。本来記帳(帳簿記入のことです)は納税者の業務です。納税者が自ら記入した帳簿(自計化と言います)のみが法律的な正確性を具備しているのだという説もあるほどです。しかしながら現実は昔からの慣習により納税者は原始資料のみを提供しそれを元に会計事務所が伝票入力しその結果総勘定元帳などの帳簿に記入をしていくということが多くのところで行われております。

納税者の方に記帳をしていただくのには一定の専門的知識が必要です。それでも簿記3級程度の知識があれば何も恐れることはありません。基本的にはほぼすべての取引を記帳することが可能です。あとは会計ソフト特有の操作手順のマスターが必要となりますがそれは会計事務所が丁寧に納税者の方にお教えすればそれほど難しいものではありません。軌道に乗せるまでは少し時間がかかりますが今の会計ソフトはとても優秀なものばかりですので慣れてしまえばどうってことはありません。本当ですよ。パソコンの知識が余りない私でもできるんですから。

自計化をしていただくと会計が帳簿が目に見えて変わってきます。何しろ当事者が記帳してらっしゃるのでとても説得力があるんですね。会計事務所が代行して記帳をしていると知っているからこそ最低限の項目しか記帳をしなくなる傾向があります(その最低限すら守られていないことも往々にしてありますが、、、)。税務署に対してのアピール度合いもまったく違ってきますね。なぜなら税務署にとっても説得力がある帳簿に仕上がっているからです。

そんなこと言って、会計事務所が楽をしたいから言ってるんでしょ、、、ってそんなことはありません。会計事務所として省力できた分他のサービスを提供することができるようになるんです。またしなければなりません。それこそが本来の会計事務所の業務です。帳簿の監査はもちろんのこと経営に関する助言、税務相談、税金シミュレーションなどなどいくらでも仕事はあります。

これからAI化が進んでくると業務で人が記帳をするということが量的にどんどん減っていくでしょう。それだけに頼っていては会計事務所としての未来はありません。ですからAI化は喜ぶべきものとしてとらえ本来業務に注力していくというのがこれからの会計事務所の在り方だと思います。

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サラリーマンが会社を購入

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今朝のNHKのニュース番組の中で特集としてサラリーマンが会社を購入するケースが増えてきたという趣旨の放送がありました。朝のニュース番組で特集されるくらいですからすでにそのような流れができている、そう判断して間違いなさそうですね。

成功事例としてサラリーマン時代の経験を活かし、買収する前の3倍まで売り上げを伸ばしたというものが挙げられていました。このような成功事例は買った側はもちろん売却した側もうれしいとても幸せなケースです。

一方でやはりといったところですが、売上7千万、利益が1千万円のネイルサロンを買収しようとしていた方の例ではその売上に全くの根拠がなく結果的に失敗に終わったなどという例も紹介されておりました。日本は今優れた中小企業でも後継者難による廃業に追い込まれ非常に危機的な状況にあります。そんななかでそれを解決する一つの道である個人による会社購入があります。しかし先ほどのように非常に怪しいものも少なからず存在しているのが現実です。そのようなことが志がある方を遠ざけてしまいかねないのがとても残念でなりません。

仲介業者自体が悪いのかそのような会社を売りに出す人間が悪いのかわかりません。またはグルになっている可能性もありますね。

購入者が購入するか否かの判断材料とするものには質的なもの(数字に表せないもの、優秀な社員が多い、優良な取引先が多いなど)と量的なもの(数字に表せるもの、売上・利益などの財務書類など)があると思いますが、前者はともかく後者については会計の専門家(公認会計士・税理士等)が責任をもって監査し、安心して購入者に吟味してもらう必要が絶対的にあります。そこが担保されない限り安心して買うことはできませんのでマーケットが形成されることもないでしょう。

日本の経済的な危機を救う可能性がある非常に素晴らしい仕組みだと思います。ですからこの仕組みをより確かなものに育てていく責任が会計の専門家である私たち税理士にはあるのではないかと思う次第です。

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源泉徴収は義務です

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前回はクイズ番組の賞金に関する税金のお話をいたしました。今回はそれに関連したお話です。

そこで賞金から一定の所得税を源泉徴収し、と申しました。この源泉徴収、実は支払う側に課せられた義務なんです。その義務を果たさなかった場合には税務上のペナルティが与えられることとなります。

所得税法上、源泉徴収すべきケースがいくつか規定されております。ポピュラーなものでは毎月のお給料から天引きする所得税ですね。この天引きする金額、何でも良いわけではなく法律により定められております。こちらの源泉徴収税額表に則った金額を天引きを行うわけですが、もしも間違った金額を源泉徴収してしまうとそれは法律に則ったものではありませんのでダメですよということになります。もしも本来よりも少ない金額を源泉徴収した場合には差額を納めなかったということで不納付加算税が科されてしまう場合があるのです。ちなみに①税務署からの指摘により課される場合は差額の10%相当額、②自主的に後から追加で(納期限後に)納めた場合は差額の5%相当額の不納付加算税を納付することとなります。

よく、年の途中の源泉徴収が間違っていたとしても年末調整で帳尻が合うんだから気にしなくてもよいという話を聞きますが法律を厳格に適用するとそれではだめだということになります。毎月の源泉徴収の段階で正しい金額を天引きしないと一定のペナルティが課されます、だから毎月毎月きちんとしなければなりません。

人にはそれぞれ事情があります。従業員の方の扶養親族が変動していたにもかかわらずそれを把握しないまま毎月の源泉徴収事務を行っていると本来とは違ったことをしていることになりますので担当の方は従業員と連絡を密にしていただく必要がありますね。何か異動事項があった時は速やかに申し出るよう普段からアナウンスしておくなどするとよいでしょう。そうでないと思わぬところで会社が余計な税金を納めることになりかねませんので。

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クイズ番組の賞金の税務

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クイズ番組が好きで昔はよくテレビで見たりしておりました。「優勝賞金100万円!」なんていう番組もその当時はありましたが今はどうなんでしょうか。

今回はその優勝賞金(賞品も含みます)にまつわる税金のお話です。

賞金を支払う側は支払う際支払金額から一定の金額の所得税を源泉徴収し、それを差し引いた金額を受賞者に支払います。

一定の金額とは、賞金額から50万円を引きそれに10.21%を乗じた金額です。なお、賞金額が50万円以下であれば所得税を源泉徴収する必要がありません。例えば賞金が100万円の場合、

(100-50)×10.21%=51,050円

が差し引かれ、100万円-51,050円=948,950円を受賞者に支払うことになります。

クイズ番組の賞金は所得区分で言うと一時所得に該当します。一時所得には特別控除50万円があります。つまりその年の一時所得の合計が50万円以下であれば一時所得に対する所得税は生じません。賞金額から50万円を差し引くのはそのためです。

では優勝したあかつきに受賞者が受け取るものが賞金の時だけ源泉徴収という話が出てくるのでしょうか。実はそうではありません。所得税では得た収入の形態は貨幣に限らず、物であっても所得としてカウントします、というお話は以前しました。優勝賞品でも源泉徴収をしなければなりません。では賞品つまり物をどのように貨幣価値に直すか。原則として処分見込額です。例えば貴金属などは受取日の市場価格、商品券は券面額そのもの、それ以外の物は販売価格の60%に相当する金額とします。

一時所得が50万円を超え、源泉徴収された場合には他の所得(給与所得など)と合わせて翌年に確定申告をします。

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個人が会社を買う時代?

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

今週もよろしくお願いいたします。

個人が会社を買う時代がすぐそこまで来ている、ある記事を拝見してやはりそうなんだなとあらためて思いました。

せっかくその会社にしかできない独自の技術力があるにもかかわらず後継者がいないため廃業をせざるを得ない会社が日本にはたくさんあります。そういった会社は運よく買手の目に留まり事業を継続することができればいいのですが現状ではまだまだ「運よく」ですから、そうでない限り廃業に追い込まれるケースが大多数なんでしょうね。

運よくつまり偶然ではなく必然的にそのような会社が売買されるような社会の仕組みができればとても素晴らしいと思います。廃業によりその会社に技術を必要としているところにとっては事業継続上死活問題となりかねません。一つの会社の廃業が連鎖的に他の会社に波及してしまう恐れもあるわけです。誰もが接続用にはマーケットが形成されていればそのような会社の事業が存続される可能性は今よりも格段に向上するでしょう。そうなれば社会的な意義は大きいものとなるのではないでしょうか。

従来会社を買う主体は会社でした。つまり会社が他社を買収するという形がほとんどでしたが、以前こちらでもお話したように個人がどこかの企業で働いている状態の時に買収先の会社を探してそして自らが社長となり事業を行うということが散見されるようになってきました。薬剤師の方がゼロから薬局をオープンするのではなくすでに開業している薬局を買収してそこのオーナーとなり事業を展開していくなどという事例があるようです。

ですから個人が会社を買う時代、というものがすぐそこまで来ているんです。この流れが大きいものになると先ほどのような優良企業であっても事業廃業に追い込まれてしまうような事案を少しでも無くすことことができるでしょう。

買収する側はもちろん失敗したくありませんから買おうとする会社の実力を見極める必要があります。その実力の一つが財務内容です。現預金などの流動性が高い資産がどのくらいあるのか、借入金は規模に応じているか、収益構造はきちんとしているか、などです。そしてなによりもそれらの指標を記載している書類の信ぴょう性が担保されていなければなりません。取引の根本をなす部分ですので非常に重要なことではないでしょうか。そこで普段から経理を拝見させていただいている税理士が担う役割がとても大きいと考えます。税理士はすべて経営者の側にたってものごとを判断しているわけではありません。税理士法第1条にあるように税理士の使命は「・・・独立した公正な立場において・・・」ですから、時には経営者と対立してまでも自分の信念を貫く場面が出てくるのです。そしてそのことが会社の財務書類の信ぴょう性を高めることにつながるわけですね。

税理士が経営者の都合の良いように財務書類を作成すればその信ぴょう性は失われてしまうでしょう。ですからお客様である経営者の方に対しても時には耳の痛いことを言わなければいけません。そこでもし顧問契約が解除になってしまってもかまわない、それくらいの覚悟をもって業務を行わなければなりません。非常につらいことですがそれがまさに税理士に課された使命なのです。

後半は少し脱線してしまいましたが今回は個人が会社を買う時代がそこまで来ていますよ、というお話でした。

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修繕積立金も経費になりますよ

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今回は所有マンションを他者に貸して不動産所得を得ている場合のお話です。

不動産所得の計算する場合の不動産収入から引くことができる必要経費にはいくつかあります。

減価償却費、固定資産税、保険料、修繕費、管理費などが代表的なものでしょうか。その他マンションをローンで購入している場合は一定の場合金利も経費にすることができます。マンションを所有されている方はご存知だと思いますが、毎月支払うものとして管理費の他に修繕積立金があります。この修繕積立金は積立金と称するように例えば数年に一度行う大規模修繕に備えるまさに貯金のようなものです。ですから会計にお詳しい方ほど経費にならないと認識されてらっしゃる方も多いのではないでしょうか。実は経費になる可能性があるんですね。

国税庁のホームページには質疑応答事例というコーナーがありまして、そこには納税者が税務上の判断に迷った時に質問を国税庁に投げかけそれにたいしてあくまで一般論ですが回答をしたものが載っております。その一つに修繕積立金についての取り扱いを納税者から投げかけられそれに対する回答というものがあります(詳細はこちらをご覧ください)。

そこには一定の要件を具備した場合、修繕積立金を不動産所得の計算上必要経費に算入できる旨の記載があります。原則的には実際に修繕が行われた時に必要経費とされるべきであるが、修繕積立金は所有者の義務であり、返還がされず、金額が合理的に算定され、他の目的に流用されることない、場合には必要経費に算入して差し支えない、とのことです。

これはかなりのマンションに当てはまるのではないでしょうか。ですので当てはまる方、もしも経費にしていないのであれば損ですから是非ご検討ください。

ちなみに、この質疑応答事例は納税者が疑問に思う様々なことについての国税庁としての考えが載っていて色々ためになることもありますから、一度ご覧になることをお勧めいたします。

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減価償却の方法は変えられますよ

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減価償却とは高額な資産を経費にするときの期間按分の計算方法のことです。会計の世界では基本原則がいくつかありましてその中の一つ費用収益対応の原則からこの減価償却という考え方が出てきました。

費用収益対応の原則とは費用のうち当期に計上できるものは当期の収益(売上)に対応する部分に限る、というものです。例えば1千万円の高額な製品製造機械を購入したとします。その機械は10年間使用することができます。つまり10年間売上をあげるために貢献します。そうするとこの機械の購入費用である1千万円を費用収益対応の原則に則って適正に経費化していくにはどうすればいいかと考えます。一つの答えが10年間働くのだから1年で100万円ずつ経費にしていけばいいのではないか。まさにそれが減価償却の考え方なんですね。

ところが同じ機械を同じ時期に購入してもそれぞれ使用期間にはばらつきが生じます。10年間使用するつもりで購入したのにあるものは12年使えた、またあるものは8年しか使えなかったということはよくある話だと思います。何年間使えるかは使えなくなって初めてわかります。そうすると使用中の減価償却の計算ができなくなってしまい困ります。そこで国が資産を種類ごとに細かく分類しそれぞれの種類の資産ごとに使用期間(耐用年数)を設定しています(ご参考までに機械の耐用年数表はこちらです)。

とここまでは減価償却とは、のお話です。この減価償却にはいろいろな計算方法が実はありまして、主要なものとして定額法・定率法の2つがあります。定額法とはまさに毎年同じ金額を経費として計上していく計算方法です。一方定率法は毎年一定率を経費として計上していく計算方法です。

定率法の説明がこれではわかりにくいですね。具体例を挙げます。

購入費用1千万円の機械で耐用年数が10年(償却率0.200)のものの場合

①1年目

1千万円×0.200=200万円

②2年目

(1,000-200)×0.200=160万円

③3年目、、、

といった具合です。定率法はこのように期首に残っている経費に一定率(償却率)を乗じますので最初の年に大きな金額を計上し、年々金額が少なくなります。

資産により原則的な償却方法が定められており、法人税法上は建物は定額法、機械や自動車は定率法が原則的な方法です。ちなみに所得税法はすべての資産について定額法が原則的な方法です。

法人が自動車を購入した時は原則的な償却方法は定率法ですから年によって償却額が異なります。購入してすぐの期において多額の償却費が計上できるので基本的には定率法を採用したほうが良いのですがいかんせん計算方法がわかりにくいです。予算を組むときなどは頭を悩ませるところではないでしょうか。そういった理由から自動車については定額法を採用したいというケースもあると思いますが、実はそれは可能なんです。採用したい年度の始まるまでに、例えば今年の7月から始まる年度から自動車について定額法を採用したい場合は6月末までに「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を所轄の税務署に提出します。承認申請書ですから承認されなければなりませんが無事承認されると希望通り定額法を採用することができます。

今回は償却方法は変更できますよ、というお話でした。

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あまり知られていない繁忙期です

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みなさんは税理士が忙しいのはどの時期かご存知でしょうか。3月、そうですよね確定申告の時期が3月というのは広く世間に知れ渡っていますのでほとんどの方がそうお答えになるでしょう。

確定申告というのはご存知の通り所得税つまり個人の1年間の所得を確定するものです。その期限は通常3月15日ですからその直前である3月の初旬から中旬にかけてが税理士にとって1年で最も忙しいのだろうと思われるのは不思議ではありません。極端な例ですが税理士の中にはこの確定申告期間に1年の売上の9割近くを稼ぐなんて方もいらっしゃるそうで、じゃあ後の期間はどうしているのかと言いますとそれこそ悠々自適に暮らしているよとのことです。

確定申告は個人の所得を確定する申告のことですが、一方でもう一つ所得を確定しなければいけない存在があります。それは会社ですね。会社も基本的には1年間という期間で帳簿をしめて所得を確定し、申告をしなければなりません(1年未満例えば半年、1か月などの期間を自由に選ぶことはできます)。期間の終わりを迎えるといわゆる決算を行います。会社の計算を決する必要があるんですね。

この決算期は会社が自由に設定することができます。1月であろうと5月であろうとですね。しかも月の末日である必要は必ずしもありません。3月20日決算、6月15日決算等々すきな日を設定することができます。しかしながら通常は末締めにする会社がほとんどです。そして任意の月を選ぶことが可能ですが、最も多い月は3月です。国税庁の統計によると平成29年度では全体の19%くらいの会社が3月を決算期に設定しているそうです。3月が多い理由の一つに国の会計年度とかかわりがあるといわれています。あとは学校が4月に新年度をスタートしますから習慣的に4月が始まりというのがしっくりくるという心理的な部分もあるんでしょうね。

さて、3月決算の会社はいつまでに申告しなければならないかと申しますとその2か月後である5月です。3月末決算ですと5月末までに申告し税金を納めなければなりません。今まさに税理士にとっては第2の繁忙期なんですね(うちはそれほどではありませんが、、、)。

少しでもこの業界のことを知っていただけたでしょうか。誰しも他業界の事情というのは知らないことが多いものです。ですからこれからもこのように時々この業界の裏事情などをお話しできればなと思っております。

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自宅を売却した時の税金

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自宅を売却した時に買った時の値段より高く売れた時、つまり譲渡益が生じた時には原則としてその譲渡益に対して譲渡所得税が課税されます。しかしながら租税特別措置法第35条の適用によりその譲渡益のうち3千万円までは譲渡所得税が課税されません。譲渡益が4千万円出た場合でも4,000 – 3,000=1,000万円に対する譲渡所得税のみを納めればよい、そういう規定です。

自宅はその人にとって必要不可欠なものですので売却したということは新居を購入したまたはするだろうはずです。そのように物入りの時に少しでも経済的な負担を減らしてあげることにより新居を購入しやすくし不動産市場を活発にし、経済を活性化しようという国の考えによるものです。

国税庁のホームページのこちらに詳細が載っておりますのでもう少し深くお知りになりたい方はそちらをご覧ください。

なお、そちらにも記載されていますが注意点がいくつかあります。

①確定申告すること

これだけの譲渡益が出ました、そしてこれだけの特例適用を受けます、ということを申告しなければなりません。例えば譲渡益が2千万円出たけど確か3千万円までは税金がかからなかったはずだから申告しなくてもいいんだな、という解釈はしないでください、ということです。申告をしなければそもそも特例の適用を受けることはできません。税金の世界ではこのように結果として納める税金がなくてもそのない状態にするには申告が不可欠という規定がたくさんありますので十分注意が必要です。

②適用除外

適用除外のところにいくつか適用をされない場合が列挙されています。特に(1)が注意が必要なものではないでしょうか。その売却した家屋が生活の拠点だったと認められる必要があります。この生活の拠点かどうかの判断は個別の事象ごとになされます。人それぞれに個別の事情があるからですね。どういった場合に生活の拠点と認められるかは過去にいくつか生活の拠点が論点になった裁判例がありますのでそちらをご参考にしていただくのが良いかと思います。

この特例は税負担に与えるインパクトが非常に大きいものです。それだけに注意も必要ですが使わない手はありませんのでみなさん是非知っておいてください。

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家事関連費

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みなさん、家事関連費という言葉をご存知でしょうか。この言葉、所得税法上の規定でして、個人事業主の経費算入に関する論点です(所得税法第45条、所得税法施行令第96条など)。

家事関連費とは個人事業主が事業のために支出した費用のうち、事業用と家事用の両方に該当する可能性があるものです。ここで家事用とは私的なものと読み替えるとわかりやすいと思います。

例えば荷物の配送に使用する車両のガソリン代などがあげられます。この車両を荷物の配送以外に例えばお子さんの学校などの送り迎えのために使用した場合はそのガソリン代は事業用、家事用の両方に使用された可能性がありますね。こういった費用を家事関連費というのです。

所得税法第45条によりますと、このような家事関連費は原則として必要経費算入が認められません。しかしながら事業用と家事用のそれぞれの部分の割合を合理的に算出できるのであればその算出した部分だけは必要経費に算入してもいいですよという規定ぶりになっております。

確定申告の時期に納税者の方からよくこういったご質問を受けることがあります。「自宅で仕事をしています。電気代はどのくらい経費に入れていいですか。」と。でもその答えは私にはわかりません。聞かれた側はその方の生活の一部始終を見ているわけではありません。よってその合理的な割合を算出するのは不可能なんですね。都市伝説ではないですが、電気代は半分くらい入れておけば認められますよ、、、ってそんなわけありません。納税者の方それぞれ使用の実態は異なるはずです。それを一律に半分ですというのは乱暴な話ですよね。ですから納税者ご自身が合理的な算出方法を検討していただく必要があります。それが難しいようでしたらはじめからそういった費用は計上をあきらめてください。税理士に決めてもらっているなんて話をよく聞きますがそれは論外ですから。

合理的な算出方法というのはなかなか難しいと思いますが、たとえばご自宅の電気代でしたら1か月の仕事に費やす時間を割り出し、そこから仕事に使用した電気代を算出するなどという方法があります。このように家事関連費を必要経費に算入するにはある程度の努力が必要なんだということをみなさん覚えておいてください。

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