年末調整の書類

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

またまた年末調整のお話。

みなさん、総務の方から「年末調整の書類を11月末までに出してね」などと言われてる方も多いかと思います。

俗にいう年末調整の書類、正式には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と申します。

会社勤めの方(社長等の役員も含まれます)でその会社が主な勤め先の方(平たく言うとその会社からのお給料が生活の糧となっている場合のその会社です)は例外なくこの年末調整の書類を提出しなければなりません。

扶養控除等申告書とあるから誰かを扶養している人だけ出せばいいんでしょ、という理解をされている方もいますがそうではありません。扶養親族がいるかいないかの確認ですので当然扶養親族がいない方も提出する義務があるのです。

この書類の提出がない場合、少し損をします。どういうことかと言いますと、毎月のお給料から天引きされる所得税の額が増えてしまいます。専門用語で言いますと乙欄で所得税を天引きしなくてはならなくなります。

通常、お給料から天引きされる所得税は甲欄により計算されますがこの書類がない場合は乙欄で天引きをせざるを得なくなるのです。

甲欄、乙欄って何だ、、、そうですね、この説明をいたします。

お給料から天引きする所得税は法律で定められた源泉徴収税額表(リンクをご参照ください)という表により計算します。正確には表から数字を探してきてその人に当てはまる金額を天引きするという流れになります。その表から適切な金額を探す際に必要な情報の一つが扶養親族が何人いるか、ということなのですが、もし年末調整の書類の提出がない場合は探しようがありません。ではどうするかと言いますと扶養親族の数によらず一律の金額を天引きしないさいよとなるのです。表の一番右側の乙という欄に記載があるので乙欄で取りなさい、などと申しております。

表をご覧いただくとわかりますが明らかに乙欄の方が高額です。つまり天引きされる金額が多いのです。そうすると毎月の手取りの額が減りますよね。まあ結局は年末調整で調整はされますがそれでもやはり毎月の手取りが減るというのは損をしているということになると思います。

皆さんも面倒くさがらずに年末調整の書類、提出してくださいね。

東京都文京区の税理士です

法定相続人の数(続き)

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

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昨日の続きのお話です。法定相続人の数を語るとき忘れていけない論点が養子です。

養子は相続人のなることができ、かつ法定相続人にもなれます。そうすると法定相続人の数を増やすには養子をたくさんとればいいんじゃないの? という声が聞こえてきそうです。

実は以前の規定ではその通りでした。それが昭和63年12月の相続税法改正により制限がかかるようになりました。すなわちそれまでは何も制限がなかったので中には相続税対策という理由だけで養子を何十人ととったなどという事例もあったようです。

では具体的に制限規定を見ていきましょう。養子を法定相続人の数に算入できるのは

①実子がある場合・・・一人

②実子がなく養子の人数が二人以上・・・二人

となっております。

この規定によりいくら養子を多くとったところで法定相続人の数に算入できるのは最大で二人となりました。

なお、実子には以下の人も含まれます。

①特別養子縁組により養子となった者

②連れ子で養子となった者

③実子または養子の子(亡くなった方から見ると孫)

 

以上、昨日のお話の続きでした。

 

東京都文京区の税理士です

 

 

法定相続人の数

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

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今回は相続税についてのお話。

相続税には基礎控除という考え方がありまして、相続財産の合計がその基礎控除以下の場合には申告不要となります。つまり課税最低限の定めというわけです。ちなみにこの課税最低限の定めという考え方は他の税目にもありまして例えば贈与税にも同じく基礎控除が定められています(年110万円です)。これは少額不追及の考え方から来ています。要するに行政側から見た費用対効果ということです。例えば100円の贈与があった場合でも申告をしなくてはならない、となると贈与税の税率は累進税率になっていまして、最低の税率は10%ですから10円の納税が必要となります。この10円を徴収するために行政コストがいくらかかるかということになると恐らくそれ以上になるのではないかと思います。これでは明らかに不合理ですのでそうした少額の納税のケースはそもそも申告さえ不要としてしまおうという仕組みにしたわけですね。

話を元に戻します。では基礎控除はどの様に定められているのか説明しますね。

基礎控除 = 3,000万円 + 600万円×法定相続人の数

です。法定相続人の数が2人の場合は4,200万円になりますね。

この数式が意味するところは、誰しもが基礎控除として3,000万円は保障されているんだなとことと、法定相続人の数が増えれば基礎控除の額も増えるんだなということです。ここで「法定相続人」の数となっているところがポイントですね。「相続人の数」ではありません。ん、何が違うの、、、

ではご説明いたします。相続人と法定相続人の違いというのは以前「相続税の計算」のお話をしたときにご説明しましたが、「相続人の数」としてしまうと相続人等の恣意性が介入する余地があり数を意図的に増やすつまり基礎控除を意図的に増やすことが可能となってしまうとため恣意性が介入する余地がない法定相続人という概念を創出し、基礎控除の計算をするときの計算要素を「法定相続人の数」と定めたのです。

相続人の数を意図的に増やすというのはどういうことでしょうか。例えば亡くなった方の子供が一人でご両親がご尊命の場合、子供が相続を放棄すると相続人はそのご両親となります。そうしますと当初相続人の数が一人であったものが相続の放棄という手段によって二人に増えることになります。

一方法定相続人の数は法律上「相続があった場合でも相続の放棄がなかったものとした場合の相続人の数」と定められておりますので相続の放棄があったとしても依然として法定相続人の数は一人です。

このようにしていわば租税の回避行為を事前に制限しています。

皆さんが聞きなれない法定相続人という言葉ですが、このような理由から定められました。

 

東京都文京区の税理士です

生命保険料控除

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

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またまた年末調整のお話です。

今回はタイトルにある通り生命保険料控除について。

生命保険料控除には大きく分けて3種類あります。

①一般の生命保険料

②介護医療保険料

③個人年金保険料

これら3種類の保険料を支払った場合にそれぞれ4万円を最高に(旧契約の場合は5万円)合計12万円まで控除を受けることができます。この時期会社から年末調整の書類書いてね、と言われ記入をされている方も多いかと思いますが、一番難易度が高いのがこの生命保険料控除の部分かなと思います。その中でも最も厄介なのが控除額の計算ではないでしょうか。説明書きがとにかく難解です。忙しい時にこんなところ読んでられないよ、という声が聞こえてきそうなところですね。一方間違いが多いのが保険料の区分に関するものです。例えば本来なら個人年金保険料の欄に書くべきものを一般の生命保険料の欄に書いてしまう、またはその逆、という間違いが多く見受けられます。ご本人の認識では確か年金で受け取るのだからこれは個人年金の欄に書くんだなあなどといったことが原因かと思います。

ここではそうした保険の種類というのはひとまず忘れてください。見ていただく箇所はただ一つです。金額が書かれている箇所の近くに「区分」欄があるかと思います。そこだけです。なお、区分欄がない場合はやはり金額の近くに「一般」「介護医療」「年金」と記載があるかと思いますのでそれが区分です。それぞれが一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料にあたるものですのでそれぞれの欄に記載をしてください。

また、もう一つ悩ましいことがあります。「証明額」と「参考または申告額」のどちらを使うかです。「参考または申告額」をご使用ください。これも非常に混乱の原因となっていますね。感覚的に証明額の方を使うのかなと思っていまいますよね。ここも注意が必要な部分です。

みなさんくれぐれもご注意を

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経済的利益について

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

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日産の会長だったカルロス・ゴーン氏逮捕のニュースが連日報じられております。こちらでは税務に絡めたお話をいたします。

役員報酬のうち一定の金額を有価証券報告書へ記載しなかったことが逮捕容疑の一つとなっているようです。あくまで新聞記事を基にということですが、報酬とすべきものの一部には会社所有のマンションを自由に使用していたことによる利益が含まれているとのことです。

報酬つまり一般的に言う給料というのは現金または預金で受け取ったもののみととらえられがちですが実はそうではありません。現預金で受け取ったもの以外に会社から何かしらの利益を受けた場合は原則としてそれも給料に含まれるというのが税務の考え方です。

一例をあげます。Aさんには基本給20万円の他に住宅手当として月7万円を支払っています。一方Bさんには基本給20万円を支払っていて会社が他から借りている社宅(家賃7万円)に無償で住まわせています。もしも給料は現預金で受け取ったものに限る、とした場合、Aさんの給料は27万円として税金が計算されます。一方Bさんの給料は20万円として税金が計算されることになります。AさんとBさんの受けている経済的な利益は全く一緒のはずなのにこれでは課税の公平が図られないことになります。よって税法ではちゃんとそこら辺の手当はされていまして、現預金で受け取ったもの以外のものであっても給料としてカウントして税金を計算してくださいねとなっているんですね。そして結果としてBさんも7万円という経済的利益を給料としてカウントすることによってAさんと同じ税金を課せられるということになるのです。

話を元に戻しますと、ゴーン氏の場合は会社所有のマンションを対価を支払わずに自由に使用していたという点で会社から経済的な利益を受けていますのでその部分が給料つまり役員報酬として認定されることになります。

このように現金・預金で受け取った以外のものでも給料としてカウントし、そこにもきちんと所得税を課税しますよという考え方がありますので、源泉徴収事務を担当されている方は十分ご注意ください。

 

東京都文京区の税理士です

簿記のお話です

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

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簿記と消費税がかかわることで起きる出来事について少しお話をいたします。

例題です。

自社所有の車(簿価50万円)を70万円で売却しました。仕訳はどの様になりますか。

(借方)現預金 70万円       (貸方)車両運搬具   50万円

固定資産売却益 20万円

と簿記の模範解答例はこうなりますね。消費税が導入される前でしたらここでお話は終わりです。ところが消費税の取り扱いからするとこの仕訳では0点です。納付税額を間違って計算してしまいます。

消費税法では、売上は売却益ではなく対価そのものを指します。売却益部分の20万円ではなく対価の70万円に消費税がかかるのです。

ですので簿記の理論的な仕訳は上のようなもので正解ですが、会社経理における実務上正解の仕訳はこうです。

(借方)現預金     70万円   (貸方)固定資産売却益 70万円

固定資産売却益 50万円       車両運搬具   50万円

通常は市販の会計ソフトで入力をされるかと思いますので消費税を考慮しなくてはならないのは固定資産売却益70万円のところだけで、課税区分は課税売上となります。このように仕訳をしていただくと試算表の数字も消費税の計算も正しいものが出るというわけです。

車の購入時の処理は下取車があった場合など非常に複雑になり経理の方はもちろんのこと会計事務所の職員でも苦手にしている方が結構いらっしゃいます。とりあえず対価に消費税がかかるんだよと、おさえてください。

東京都文京区の税理士です

医療費控除についてです

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

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医療費控除という言葉を皆さんもお聞きになったことがあるかと思います。医療費控除って医者にかかったものしかダメなんだよね、と思われてる方も多いかと思いますが実はそうではありません。市販薬も認められるんですよ。

医療費控除で認められるものは主に病気・けがの治療のために支出したものです。治療のためのものなので例えば市販の風邪薬なんかも病気の治療のためのものですから認められますよ、という理屈ですね。

ですので、病院の領収書だけでなくドラッグストアなどのレシートもきちんと保存しておきましょう。あとで税金が戻ってくるかもしれませんからね。

ちなみに医療費控除って年末調整でできるんだよね、と思ってらっしゃる方を以前見かけたことがありますが医療費控除は確定申告でしかできませんのでお気を付けください。

 

東京都文京区の税理士です

消費税の課税要件について

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

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今日は消費税の課税要件について、です。課税要件というのは要するに一定の条件が整うとある種の税金が課税される、ということです。

今回なぜこのお話をするかと申しますと昨日のお話と少し連携しているからです。

では、お話していきますね。

消費税法では課税要件について

①国内において

②事業者が事業として

③対価を得て行う

④資産の譲渡・貸付、役務の提供

については消費税を課する、と第4条において謳っております。この4つの要件をすべて満たしてはじめて消費税が課税されると言っているのです。これは課税4要件とも言いまして消費税法の根幹をなす概念です。消費税はこの課税4要件さえ頭にビシッと入っていればもう大丈夫、というくらいのものです。私も税理士試験の受験生時代から今日に至るまで消費税の取り扱いに悩む事案が出てきたときはまずこの課税4要件を確認してから判断することにしています。

この短い言葉の中には実は非常にエッセンスが詰まっておりまして、税法条文の解釈の面白さがふんだんに盛り込まれております。

税法を実社会の様々な取引に当てはめていくときにはもちろん正しい条文の解釈が必要になるのですが、例えば①の国内においてという言葉からすると「日本国内で商品を売る」という取引であれば誰しも、「うん、この取引には消費税が課税されるよな」というのが条文からも判断できますが判断に迷うような取引も数多く日常的に行われているわけです。そうすると国内においてと条文で謳ってはいますが、「国内において」というのは何が国内でなければいけないのか、ということが重要になってきます。実物資産を売買する場合は品物が国内にあるかどうかで判断すればよさそうですが、役務つまりサービスの提供の場合はどうなのか、例えば国内の会社から依頼を受けて海外の不動産広告を海外の顧客向けに打った場合ははどう判断するのか、などという問題が出てきます。こうした一つ一つの取引についてそれぞれ条文で手当てをしていくというのは非現実的ですので条文を当てはめることができないような取引についていかに条文を正しく解釈するかというのが非常に重要になってくるのです。。。

ん、話が脱線してしまい、元に戻れなくなってしまいました。条文の解釈については話し出したら止まらないくらい非常に面白い分野ですので、このくらいにしておきます。

昨日のお話とどう連携しているかと申しますと、②の事業者が事業としてという部分を見ていくと明らかになります。自宅を売却する時の税金の一覧に消費税がなかったと思います。自宅を売却するという行為は④の資産の譲渡に該当しますし、①も③も満たしますから一見するとあれ消費税が課税されるのかなと思います。がそうではありません。自宅を売却する行為は事業者が事業として行うものではないからです。売却益が出たとしてもそれは「たまたま」ですからね。なお、「事業として」という部分についても解釈論が色々あって面白い部分ではありますが、これも長くなりそうなのでここでは省略させてくださいね。

自宅を売却するという行為は課税4要件のうち②の要件を満たさないから消費税が課税されないということになります。

消費税ってこのように考えると面白いですよ。

 

東京都文京区の税理士です

 

 

自宅にまつわる税金について

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

今回は自宅にまつわる税金についてです。

自宅にまつわる税金は購入時から売却時まで色々かかります。その概要についてまとめますね。

①購入時・・・ 不動産取得税・消費税

※売却時に必要ですので契約書類は必ず保管しておいてください。

②毎年 ・・・ 固定資産税

③売却時・・・ 所得税(譲渡所得税)

番外編として相続時に親御さんの自宅を取得・・・相続税

自宅というのはその方がまさに居住の用に供している住居であり欠くことのできない非常に重要なものです。そのような理由から税金面でも自宅に関するものは各種優遇措置が設けられております。ここでは代表的なものだけあげますね。

①譲渡所得税の3,000万円控除・・・自宅を売却する際は新たに自宅を購入することがほとんどでしょう。そのような新たな資金が必要な時に売却益に税金をかけてしまうと新居取得が困難になる恐れがあることから売却益のうち3,000万円までは課税しない、つまり売却益が3,000万円を超えないと税金が出ませんよという制度が設けられております。

②小規模宅地等の評価減・・・親御さんから自宅を相続により取得した場合、相続税評価額の最大80%を減額してあげようというものです。子供が親御さんと生活をしていた自宅を相続により取得した場合、その子供にとっては自宅はなくてはならないものです。しかしながらそれに対して相続税を課税してしまうと最悪その自宅を売却して税金を納めなくてはならなくなります。それはあまりにも酷なので税金面で手当てしてあげましょうねというのがこの制度です。

このように種々の優遇措置を設けて国民の居住権の保護が図られています(政府の回し者ではありません)。特にご自宅を売却した際にはこのような優遇措置がありますので安心して新しいお住まいを探してくださいね(決して不動産業者の回し者ではありません)。

 

東京都文京区の税理士です

引越した場合の住宅ローン控除

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

今回は住宅ローン返済中に辞令がおりて引っ越しをしなければならなくなった場合、住宅ローン控除は受け続けられるかどうかというお話です。

そもそも引っ越しを機に自宅を売却して転居先で新居を見つけた場合は適用を受けていた家屋が存在しなくなるわけですからその時点で住宅ローン控除の適用は終了です。例えば新居を購入した場合は新居について改めて住宅ローン控除の適用を申請(確定申告により)します。ですので現在居住中の住居を残したまま住宅ローン控除を受けることができるかどうかというお話になります。

①単身赴任の場合・・・受け続けることが可能です。ただし海外へ単身赴任をした場合は、そもそも日本の所得税の適用外となりますので受け続けることはできません。

②全員で引っ越した場合・・・転居中は受け続けることができません。購入から10年以内に元の住居に戻ってきた場合(家族だけ戻ってきた場合もOKです)は戻ってきた年から適用期間中受け続けることが可能です。ただし戻ってきた年において他の人に貸していた場合はその翌年から適用期間中受け続けることが可能です。

②の場合は転居前および戻ってきた年に一定の手続きが必要となりますので、ご注意ください。

東京都文京区の税理士です