みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
以前お話した役員報酬は途中で変えてはいけないに関連するお話を。
役員報酬は途中で変えてはいけない、としましたが変えてはいけないなどとは法人税法のどこにも書いてありません。じゃあなぜそのような表現をしたか。変えてもいいんですが変えてしまうと変更した分だけ経費にできない可能性がありますよ、ということなんですね。ですから経費にできなくてもいいよ、ということであれば変えていただいてもまったくかまいません。
これについて見ていくことにします。法人税法第34条では役員報酬のうちこれこれこういったもの以外のものについては損金に算入しないとあります。ちなみに損金というのは会計上の経費のうち法人税法上でも経費として認められるものを言います。通常は経費=損金となりますが、一部例外がありますので経費と損金という言葉はそれぞれ使い分ける必要があります。
その法人税法第34条で言っているこれこれこういったものの一つに定期同額給与というものがあります(同条第一項第一号)。この定期同額給与というのは決められた期間内において毎月同額の給与ということなんですね。つまり法人税法第34条はこの定期同額給与に該当しない給与は損金に算入しないと解釈できることになります。
このことから途中で給与を変更した場合はその期間中に支給した役員報酬は定期同額給与ではありませんので損金不算入となってしまうということがわかります。ただ実際にはその期間中の全額が損金不算入となるのではなく頭が飛び出た部分、例えば4~9月に100万円、10~3月に200万円を支給した場合、10~3月の200-100=100万円(1か月あたり)が損金不算入となります。
ということで役員報酬は変えてはいけないわけではないんですが税務上のリスクから税理士はそのような表現を用いてアドバイスしているというのが実際のところです。