みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
以前お話したことがあります社長借入金について今回は見ていくことにします。
社長借入金とは何らかの理由により会社が社長からお金を借りている状態の時のその借入金のことを言います。まあ理由というのはほとんどの場合は会社の資金繰りの都合ということなのですがたまにあるのが(よくある?)社長もなんだかよくわからない理由によるものです。社長がわからないってそんなことあり得るのと思われるかもしれませんが実際にはあります。
同業者としては誠に残念なのですが会計事務所の方で勘定合わせのために社長借入金を使用するということが行われています。これはそもそも現金管理を徹底していないために起きる現象です。例えば社長から領収書の束50万円分を預かって現金支払いとして処理したとします。ところが会社の現金勘定には20万円しかないとすると現金がマイナス30万円になりますね。現金がマイナスということはあり得ませんのでどうするかと言いますと会社が社長から30万円お金を借りたことにすれば現金がちょうど0になります。このような処理自体は直ちに間違っているとは言えません。確かに会社の経費を一時的に社長が立て替えていてそれはすなわち会社が社長からお金を借りているのみ違いありませんのでおかしな処理ではありません。しかしながらそれはいずれ精算しなければならないはずです。先ほどの例ですと会社が社長に50万円を返金するという処理をですね。
これをその都度すればいいのですが、それを長年放っておくといつの間にか社長借入が何百万円になったりします。そうなるとそれを精算するのは会社にとっても大きな負担です。結局処理できなくてそのままになっているなどということがよく見られるのです。
そしてこの社長借入金が残っていることで相続税の負担が増えてしまう恐れがあることは以前申し上げましたところです。この処理不可能となってしまった社長借入金を無くす方法には債務免除があります。社長に借金を棒引きしてもらうのです。そうすると確かに借金は無くなりますが今度はその債務免除益に対して法人について法人税が課税されてしまいます。このような長年積み重なってきた社長借入金を処理できないような会社は赤字が継続的に生じている可能性が大きいです。にもかかわらずその債務免除益が対して課税されてしまうとその税負担を背負いきれないはずです。
この一つの解決策としては個人成りがあります。ん、個人成り?、、、法人成りの逆パターンですね。法人を清算して個人事業に戻すということです。この方法によると先ほどの債務免除益と遠い過去の赤字を相殺でき法人税の課税を合法的に免れることができる可能性があります。
この方法は欠損金(赤字のことです)の繰越控除が使えない時の最終手段です。現在欠損金は10年間その年の黒字と相殺できます。逆に言いますと10年を過ぎると相殺する機会を失ってしまうんですね。ところが会社を清算し消滅させるときに限ってその期限切れの欠損金と最後の年の黒字を相殺することができるのです。このことにより債務免除益の課税を免れるという理屈ですね。
このように最後の手段がないことは無いですがやはり社長借入金はできるだけその都度解消し後に残さないようにすることが肝要です。
~今日のひとこと~
昨夜うれしいニュースが飛び込んできました。吉野彰さんのノーベル化学賞受賞です。本当に素晴らしいですね。
なお、下世話な話で恐縮ですがノーベル賞の賞金は非課税です(所得税法9条1項十三号ホ)。
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