マンションの価値

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

今回は相続財産の中にマンションがある場合のお話です。

マンションという財産は先日お話しましたように土地及び建物から構成されます。相続財産としてのマンションの価値を計算する場合には土地、建物それぞれに分解することになります。土地と建物で計算方法が異なるからです。

①土地

(1)路線価が設定されている地域

路線価 × 地積

※個別の事情(不整形地、角地、狭小地、広大地など)により調整を加えます。

(2)それ以外の地域

固定資産税評価額 × 一定倍率

路線価、一定倍率は国税庁のホームページのこちらをご覧ください。固定資産  税評価額はお住まいの地域を所轄する市町村(東京都内の場合は都税事務所)で調べることができます。

②建物

固定資産税評価額 × 1.0

となっております。

マンションは全体の敷地を全オーナーが持ち分に応じて所有しています。とすると全体で1000㎡の土地を100人で所有していると一人当たりの所有面積は10㎡ですね(もちろん通常は各オーナーにより持分が異なりますので全員均一というケースはほぼあり得ないと思います)。事務所がある東京都文京区の代表的な駅である東京メトロ丸ノ内線の茗荷谷駅駅前の路線価は152万円です。そうするとこの付近のマンションの土地部分の相続税評価額は所有面積を10㎡とすると

152×10=1,520万円

です。説明が遅くなりましたが路線価とは相続税を計算する際の土地の財産的価値を算出する時に使用する1㎡あたりの価格です。道路ごとに国税庁が設定しています。

この間まさにその付近のマンションが売りに出されていました。確か8千万円くらいしたような。。。

とこのようにマンションに関してはあくまで相続税評価額ですが土地部分が実感よりもかなり低く算出されることになります。

これも先日お話した小規模宅地等の特例の適用効果が戸建てに比べると低いことがわかりますね。小規模宅地等の特例は選択適用です。どの物件に適用するかは自由です(あくまで限度面積までですが)。ですからどこに適用するかによって有利不利が生じますのでそのあたりも十分検討する必要があります。

東京都文京区の税理士です

 

 

皇位継承と相続税・贈与税

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今日は平成31年4月19日です。いよいよ平成も今日を含めてあと12日ですね。今回は改元にかかわる税務についてのお話です。

相続税法では非課税となる財産を第十二条第一項で限定列挙という形で規定しております。その中で第一号に「皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第七条(皇位に伴う由緒ある物)の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物」とあります。皇嗣とは皇位を継承するお方、昭和から平成の改元時は皇太子でした。受けた物とはいわゆる三種の神器です。

相続による皇位の継承が行われる際に引き継がれる三種の神器は本来であれば相続財産にカウントされますが非課税規定を設けることにより相続財産から除外しようとするものです。天皇家であっても当然に相続税法の範疇に入っていることが驚きですが、これは国民感情を考慮しての措置なのでしょうね。

とここまではあくまで皇位の継承が天皇の崩御時に行われる場合のお話です。

相続税法は皇位の継承があくまで天皇の崩御時のみ行われることを想定しておりました。つまり相続による財産の移転のみを法の射程内にしていました。ですので今回のよう生前継承は想定外でした。生前承継ですから贈与による移転ですね。

とすると三種の神器は贈与税の非課税財産になっているのでしょうか。贈与税の非課税財産を規定している相続税法の第二十一条の三を見ていきましょう(こちらに条文が載っています)。あっ、ちなみに贈与税の種々の取り扱いを規定しているのは相続税法です。日本には贈与税法は存在しませんのでご参考まで。

ここには相続税の非課税財産のような三種の神器に関する規定はありません。つまりこれらの財産は贈与税の非課税財産ではないんです。では今回贈与税が課税されるのでしょうか。

でもさすがにそれはおかしいのではないかということで政府は今回限りの特別の手当をしました。天皇の退位等に関する皇室典範特例法の附則第7条で「この法律による皇位の継承があった場合において皇室経済法第7条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物については、贈与税を課さないものとする」とし、結果三種の神器には贈与税がかからないことにしました。

この法律は今回の皇位継承時に限る時限立法であり恒久法ではありません。法律の作り方からしても平成→令和は異例中の異例の出来事なんですね。

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相続税の小規模宅地等の特例を誤解していませんか

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相続税には一定の財産について最大で80%財産の評価額を軽減するという「小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例」があります。

適用関係が非常に複雑なのですが簡単に申しますと、被相続人(亡くなった方)所有であった財産のうち今後の相続人の生活維持のため必要欠くべからざるものです。一番の例は自宅ですね。被相続人の自宅に同居していた相続人がその自宅を相続した場合、それは相続人にとってまさに必要欠くべからざるものです。よってそのようなものにまで相続税を課税してしまうと税金を支払うために自宅を売却せざるを得ない状況になりかねません。そこでそのような必要欠くべからざるものについては最大で80%財産の価値を減額し(それでも20%については課税はされますが)相続人の生活をある程度保証しようとしたのです。

今私はあえて自宅という表現を用いました。自宅というのは財産名では土地と建物からなりますがでは自宅である土地・建物の両方が最大で80%減額されるんだな、と理解しがちですが実はそうではありません。小規模宅地等の、、、とあるように宅地等すなわち土地についての特例です。土地についてのみの特例ですので建物につきましては手当されていないのです。

なぜ土地のみにしたのでしょうか。恐らくですが、手当てすべき自宅というものを長年暮らしてきた居宅というイメージでとらえているのではないかと推測されます。土地は基本的には時の経過とともに価値が下がるものではありません(外的要因がない限り物質的な価値という意味で)が建物はそうではありませんね。経年劣化を必ずするものです。そこで相続税を計算するにあたり建物の財産的価値を求める際はその経年劣化を考慮して築年数が長ければ長いほど金額が低くなるように計算方法が設定されています(固定資産税評価額×1.0と定められております)。そうすると長年住んでいた自宅ですとその相続税法上の価値はかなり下がります。ですからそもそもの価値が低いのだから建物については手当てする必要はないでしょう、という理屈なのでしょうね。

比較的築年数が浅い物件の相続の際には思わぬ税負担になる可能性がありますのでご注意ください。

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相続財産の値段はどう決まるのでしょうか

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

相続税は被相続人(亡くなった方)の生前所有していた財産(相続財産)をもとに計算がされます。種々様々な相続財産があるかと思いますがそれら一つ一つにいわば値段を付けていくわけです。

みなさんでしたらものに値段を付けるときはどの様にするでしょうか。相場があるものは相場、骨董品・美術品は鑑定士などの専門家に意見を聞いて参考にする等々の方法により決められるのではないでしょうか。

相続税を計算するうえでの財産の値段付けも同じように行います。上場株式のように相場があるものは相場での値段(東証における終値)、骨董品・美術品は鑑定士などの専門家の意見(精通者意見価格と言います)または以前売買されたことがあるときはその時の売買価格のいずれか、です。

不動産については少しひねりが加えられております。不動産特に土地についても市場は一定数存在しますし、不動産鑑定士による鑑定も可能です、さらに過去には売買がされたこともあるでしょうからそういったもので値段付けできそうですが実務上はそうなっていません。相続税の計算をする上では路線価が設定されている地域(主に市街地です)ですと路線価×地積で求めます。これに角地であったり細長く使いづらい土地であったりと個別の事情を勘案して調整を加えます。なお、郊外ですと必ずしも路線価が設定されていない地域もありますのでそのような場所では固定資産税評価額×一定倍数(地域ごとに定められています)によって求めます。

土地についてなぜこのようにしたかと申しますと一言で言うと評価の安全性です。評価の安全性とはたまたま相続時に急激に値上がりまたは値下がりした際の評価額の上振れ・下振れを極力排除するという考え方です。平常時はこれくらいの値段ですよね、そんなイメージでしょうか。土地は非常に高額な財産ですので特にこのような考慮が必要だと考えたのでしょう。

世の中には種々様々な相続財産になり得る財産があります。その中には相場がないものも当然ありますのでそうするとどうやって値段付けをしていいのか途方に暮れてしまいます。そこでこれらの財産の値段付けの基本的な考え方を国は財産評価基本通達という文書(法律ではありません)の中で決めてくれています。相場がないものの代表例が中小企業の株式です。これらは基本的に第三者間で頻繁に売買される性質のものではありませんので相場は存在しません。ですから先ほどの財産評価通達においてその計算方法がこと細かく規定されております。相場のないものにいわば無理やり値段を付けようとしますのでとにかく計算するうえでのルールが複雑極まりないんです。専門家でなければ最終値に到達するのはおそらく不可能でしょうし、専門家であり税理士でも苦手にしている方が多いところです。値段付けの最難関と言われております。こちらで簡単にでも解説する機会があればいいなと思いますが、もしみなさんが計算をする必要が生じてしまった時は迷わず専門家を頼ってください。

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相続税の課税割合は8%です

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平成29年中に亡くなられた方のうち課税対象となった方の割合は8%だったそうです。そこで今回はこの「課税対象となった」についてのお話です。

先ほどのお話は国税庁が公式に発表したものでして、こちらのページからご覧いただくことができます。そこでは課税対象となった被相続人(亡くなった方です)および課税割合の数字は発表されていますが、では課税対象となったとはどういうことなのかという説明書きはありません。通常の感覚ですと実際に相続人が相続税を納ることとなったケースの割合、ということになるでしょうか。

ちなみにこちらの同じ国税庁のホームページでは「財産を相続したときの税金」という項目の中で、「亡くなった人から各相続人等が相続や遺贈などにより取得した財産の価額の合計額が基礎控除額を超える場合、相続税の課税対象となります。」との記載がされております。そうすると相続人等が取得した財産の合計額が基礎控除額を超えたケースが「課税対象となった」に該当し、その割合が8%だったと読めます。

しかしながらこの文章だけですと解釈に迷ってしまうんです。どういうことかと申しますと、財産の合計が各種特例の適用後なのか適用後なのかというところで迷ってしまうんですね。財産の合計額を下げることができる特例は種々ありますがその中でもインパクト・該当者数からみて代表格のものが2つあります。配偶者の税額軽減、小規模宅地の減額、です。

ここでは詳細は省きますがともに財産の合計額に与えるインパクトは非常に大きいです。これらの特例は相続税の申告をしないと受けることができません。そしてこの特例を受けることにより特例適用後の財産の合計額が基礎控除額以下となり結果として相続税を納めなくて済んでいる方が実は相当数いらっしゃいます。ですからこのような方も含めて課税割合としているのかそうではないのかでは数字の解釈が異なってきてしまいます。

とはいえいずれにしても相続税の納税が必要な方は多く見積もっても8%ですから多くの方はそれほど恐れることは無いということにはなりますね。恐れることは無いということですから大部分の方はあわてて相続税対策(相続対策ではありませんのでお間違いなく)をする必要はないということになります。でも慌てなくていいかどうかは実際に相続財産がどれだけあるかを知らなければ判定できませんので、可能であれば親御さんなどから日ごろからそうした話題をしておいた方がいいと思います(実際はなかなか話しづらい話題ではありますが。。。)。

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相続が起きた時にあわてずに

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相続が起きた時、つまり親族がお亡くなりになった時のお話です。

相続税の申告が必要か否か、どうやって判断するのでしょうか。相続税法では被相続人(亡くなった方)の相続財産の合計額(相続税法に則って評価した金額)が基礎控除以下である場合は申告不要、と規定されています。ということで考えることは二つです。

①基礎控除額=3千万円 + 600万円 × 法定相続人の数

例)法定相続人が妻、子供二人の場合 3,000 + 600×3 = 4,800万円 です。

※法定相続人の数につきましては以前こちらでお話しましたのでそちらをご参照ください。

②相続財産の合計額

②について見ていきましょう。まずは②が基礎控除額以下かどうかまずざっと見積もる必要があります。一番多いパターンとしては(1)現預金(2)自宅が相続財産のすべてだと思われます。それぞれの財産について金額を見積もるときに必要になるものは、、、

(1)現預金は金額ズバリが相続税法上の財産の金額になります。そこで特に預金につきましてはまず知りうる範囲でよいので口座があったであろう金融機関に残高を照会していただく必要があります。

(2)自宅、すなわち土地と建物は相続税法で定められた一定の方法により計算した金額が財産の金額になります。

土地は通常は 路線価×地積 で計算します。路線価は国税庁のこちらのホームページをご参照ください。地積はざっとでしたら巻き尺でおうちの周りを計測して本当にざっとでいいので計算してみてください。これで土地のおおよその金額がわかります。なお、マンション等の集合住宅ですと一番いいのが購入時の契約書をご覧いただくことです。そちらに書いてありますからね。それが見当たらないようですとお近くの登記所に出向いていただきご自宅の地積を調べていただくことになります。謄本には全体の面積と持分が書いてありますのでそれぞれを乗じていただくと計算することができます。

建物は通常は固定資産税評価額がそのまま相続税法上の財産の金額となります。ではそれを調べるにはどうしたらいいか。お住いの市町村(都内の場合は管轄の都税事務所)で固定資産評価証明書をとってください。そちらに記載がありますので。

このようにしてざっとでは相続財産の総額を見積もることができます。その金額が基礎控除を超える、またはギリギリの場合には今度は精密な計算が必要になりますので税理士などの専門家に依頼していただくのがよろしいかと思います。

 

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タワマン節税って何?

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

タワマン節税、みなさんもお聞きになったことがあると思います。何の税金が節税できるのか、相続税です。ではなぜどのようにして相続税が節税できるのか。

相続税は被相続人(亡くなった方です)の所有していた全ての財産(一部除かれるものもあります)の価値を貨幣価値に直し、そこに一定の税率を乗じて計算します。この財産の価値を貨幣価値に直す、というところがみそでして、それは以下で説明しますね。

相続税法第22条に相続財産の価額は相続時の時価による、と書いてあります。これをそのまま読むと時価だから実際にその時に売られている価格(=実勢価格)が財産の価値になるのかな、と読めそうですが実はそうではありません。

相続税の計算は相続税法だけで規定されているのではなく通達といわれる行政庁内でのお達し(上位官庁が下位官庁に対し税法はこのように解釈しなさいね、という文書です)に従うことで計算されます。そこに様々な財産についての計算方法が規定されていて、通常はそれに則って税金を計算しています。

そのなかにマンションの計算方法(マンションは土地と建物でできていますので実際には土地と建物の計算方法です)が規定されていて、その計算方法によるとすべての場合ではありませんが多くの場合実勢価格の80%程度の金額になってしまいます。これは評価の安全性なんかを考慮されていると理屈では言われております。ということはですよ、1億円の現金を保有している方がマンションを購入した場合、相続税の世界でいうところの時価に直すと途端に8千万円になってしまうということです。1億円に対して税金がかかるのか8千万円に対して税金がかかるのか、ですね。

この理屈自体はタワーマンションに限らず低層・中層マンションでも同じです。ではなぜ節税方法としてタワーマンションが推奨されるのでしょうか。タワーマンションは値崩れしないからですね。場所によっては逆に値上がりしさえします。節税対策としたものが値下がりしてしまえばその節税による利益を上回る損失が生じますが、値上がりしてしまえばそのようなこともありません。ですから特に富裕層にはタワーマンションがおすすめですよ、ということなんですね。今は、、、(タワーマンションが永遠に値下がりしないものとは到底思えませんが)。

なお、このスキームが有名になった後に税制改正がありましてタワーマンション節税に対する規制の措置が設けられましたが節税効果を打ち消すほどのものではありませんでした。

ざっとですが以上タワマン節税の概要でした。

 

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小規模宅地の特例

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

相続税の話題をするときに必ずとりあげられるのが「小規模宅地」です。もう少し正確に言いますと小規模宅地等の特例です。

端的に言いますと課税標準(相続税法では課税価格と言います)を減額してあげようという特例です。税金はこの課税標準に一定の税率を乗じて計算されますので課税標準が減額されれば当然のこと税金もそれだけ安くなる、という特例ですね。

この小規模宅地等の特例、実は非常に奥が深くてこれもまたこれだけで一冊の本がかけるくらいのボリュームのあるテーマです。しかし上手に使えば非常に節税になるとてもインパクトのある特例ですし、被相続人(一般的には親ですね)の生前において対策が可能なものですのでみなさんも知っておいて損はないですよ。

どれくらいのインパクトがあるか。課税標準を80%減額してあげようという特例です。これはすごいですよね。1億円のものが80%減額されれば例えば税率が20%ですと8,000万円×20%=1,600万円も減額! されます。

うん、これは使わない手はないですね。

そもそもこの特例は被相続人の死後の相続人の生活保障という趣旨で設けられました。例えば子供が親と同居しており、その親の相続に際し自宅も当然相続財産となりますからそこにも相続税が課税され、他に現預金などの財産が無いと最悪の場合その自宅を売却してそのお金で相続税を払わないといけなくなります。それはあまりにも酷でしょう、ということでそのような相続人にとって必要不可欠な財産については課税標準を減額してあげることにより継続して所有・使用することができるようにしてあげたのです。

本来はこのような趣旨があるのですが何せ節税のインパクトが大きいため種々様々な租税回避行為(法の隙間をくぐりぬけるってやつですね)が発明されました。国も当然そのたびに適用要件を複雑にして言った結果、この特例自体非常にわかりにくいものとなってしまいました。

しかし、さきほど例に挙げたように誰が見ても救ってあげなければいけないような場合は通常適用されますので、そこはご安心いただけたらと思います。

特例の中身については今回詳細については触れませんが、非常に有用な規定ですのでこれから随時触れていきますのでご参考にしていただけたら幸いです。

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高額な贈与もありです

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

贈与税の税率は一般に高いといわれております。確かにその通りでして(国税庁のこちらのホームページの表の特例贈与財産用の方をご参照ください)、例えば親子間で1千万円の贈与をした場合は税率は30%です。確かに高いですね。えっ300万円も税金で取られるのか、と。

でも実はそうではありません。ちゃんと計算すると親子間での1千万円の贈与に係る税金は177万円です。率にすると17.7%ですね。表をよく見ると控除額の記載があります。超過累進税率の調整をこの控除額で行っているのです。1千万円に丸々30%の税率がかかっているわけではなく600万円を超えて1千万円までの400万円分にだけ30%の税率がかけられています。そして400万円を超えて600万円までの200万円に20%、200万円を超えて400万円までの200万円に15%、200万円以下の部分に10%の税率がそれぞれかけられている、とこの表から読み取ります。

1千万円の贈与の場合の実効税率は17.7%です。これを10年間続けた場合1億円の財産を子供に移転した場合の贈与税の総額は1,770万円です。

一方相続税の税率を見ていきますと(こちらをご参照ください)、1億円以下の相続財産の取得の場合の税率は30%、相続税は2,300万円です。

こうして比較してみると贈与により10年かけて1億円を移転したほうが税金が安く済むことに気が付きます。

ただしこれはかなり粗い比較ですね。そこで贈与による移転をしなかった場合の相続財産が2億円だったというストーリーを仮定するとわかりやすいと思います。まず本来2億円の相続財産に支払うはずだった相続税は6,300万円です。次に1億円を贈与により移転しましたから相続財産は1億円に減っているはずですから1億円の財産に対して支払う相続税は2,300万円です。ということは4,000万円も相続税を減らすことができました。

1,770万円のコストで4,000万円の効果を得ることができる、とてもお得な節税法ですね。

ということで、高額な贈与もちゃんと相続税対策になりますよ、というお話でした。

 

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生前贈与の落とし穴

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

生前贈与は相続税対策として非常に有効であることは昨日お話いたしました。しかしその対策としての生前贈与には落とし穴があるんです。

誰しもが親の方が子供よりも先に亡くなる、と思っていることでしょう。実際統計的にもかなり高い確率でそうなのではないでしょうか。相続税対策としての生前贈与はまさにそれが大前提なのです。親から子へいかに税金を低く抑えつつ財産を移転するか、というミッションがあるわけです。

ということはその前提が崩れた場合、つまり子が親より先に亡くなってしまった場合はどうでしょうか。せっかく長年計画的に行ってきた親から子への財産の移転が仇になってしまうんです。

どういうことかと申しますと、子へ移転した本来であれば自分の財産が相続財産となって相続税が課税されてしまうのです。子が独身または既婚でも子供がいない場合、親が相続人となります。となると本来自分の財産であった子供の財産に対し自分が相続税を支払うというおかしなことが起きてしまうのです。

一般的には確率は低いでしょうが、それをリスクと考え生前贈与をしないか、それともいやいやそんなケースは稀だよ、ということで生前贈与をするか、判断しなければならないところです。

専門家としてはリスクがあるということを納税者の方にお知らせしたうえで相続税対策として生前贈与という手段があるんですよとお伝えしなければならないのでしょうね。

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