皇位継承と相続税・贈与税

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

今日は平成31年4月19日です。いよいよ平成も今日を含めてあと12日ですね。今回は改元にかかわる税務についてのお話です。

相続税法では非課税となる財産を第十二条第一項で限定列挙という形で規定しております。その中で第一号に「皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第七条(皇位に伴う由緒ある物)の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物」とあります。皇嗣とは皇位を継承するお方、昭和から平成の改元時は皇太子でした。受けた物とはいわゆる三種の神器です。

相続による皇位の継承が行われる際に引き継がれる三種の神器は本来であれば相続財産にカウントされますが非課税規定を設けることにより相続財産から除外しようとするものです。天皇家であっても当然に相続税法の範疇に入っていることが驚きですが、これは国民感情を考慮しての措置なのでしょうね。

とここまではあくまで皇位の継承が天皇の崩御時に行われる場合のお話です。

相続税法は皇位の継承があくまで天皇の崩御時のみ行われることを想定しておりました。つまり相続による財産の移転のみを法の射程内にしていました。ですので今回のよう生前継承は想定外でした。生前承継ですから贈与による移転ですね。

とすると三種の神器は贈与税の非課税財産になっているのでしょうか。贈与税の非課税財産を規定している相続税法の第二十一条の三を見ていきましょう(こちらに条文が載っています)。あっ、ちなみに贈与税の種々の取り扱いを規定しているのは相続税法です。日本には贈与税法は存在しませんのでご参考まで。

ここには相続税の非課税財産のような三種の神器に関する規定はありません。つまりこれらの財産は贈与税の非課税財産ではないんです。では今回贈与税が課税されるのでしょうか。

でもさすがにそれはおかしいのではないかということで政府は今回限りの特別の手当をしました。天皇の退位等に関する皇室典範特例法の附則第7条で「この法律による皇位の継承があった場合において皇室経済法第7条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物については、贈与税を課さないものとする」とし、結果三種の神器には贈与税がかからないことにしました。

この法律は今回の皇位継承時に限る時限立法であり恒久法ではありません。法律の作り方からしても平成→令和は異例中の異例の出来事なんですね。

東京都文京区の税理士です

 

 

 

投稿者: you-furumi

東京都文京区で税理士をしております。お客様に本業に専念していただけるようサポートをすることを使命と考えております。

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