消費税の増税に際し思うこと

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

消費税の8→10%の増税まであと10日余りとなりました。この増税に伴い商売をされている方は値段をどうしようか思案してらっしゃるところでしょう。

消費税の増税に伴い税込価格を10,800円から11,000円にします、これは値上げではありません。常々お話してきていますようにお店の取り分はあくまでも税抜きの本体価格ですから値上げではないはずです。しかしながら消費者の側からすると負担が200円増えたことになりますから心情的には値上げと何ら変わらないことになります。増税だから仕方がないよねとどれだけの人が思ってくれるのか、、、

こうした状況を税金の徴収者である国ではなく事業者に強いているところが消費税のたちの悪いところですね。消費税だけでなく間接税(納める人と負担する人が違う税金です)全般の短所と言えるでしょう。

事業者もお客さんが離れるのが怖くて税込の価格を上げられないという声をよく聞きます。そうすると取り分が少なくなるわけですから経営を圧迫してしまいますね。日本の経済にとってもよくないことです。

今は何でも安ければいいという時代になってしまいました。そうした中で商売上値上げをするということは非常に怖いことです。確かに商品・サービスが同質であればあとは値段勝負ですからそれはしようがないことなんでしょうが、少し前の新聞にも書いてありましたがいわゆる消耗戦になってしまいその産業が疲弊してしまうことが懸念されます。

この流れを変えるにはやはりそこでしかできないコト・モノを生み出さなければならないのでしょうがそれは非常に難しいことです。それをできた一部の人々だけが莫大な富を得ているのが何よりの証拠ですね。

~今日のひとこと~

台風に名前がついているのをご存知でしょうか。すでに140個用意されていてそれを順々に使用しているのだとか。今日9月19日時点で最新の台風は16号ですが名前は「ペイパー」です。17号は「ターファー」、18号は「ミートク」になるそうですよ。

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10月1日をまたぐ請求の経理処理

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

消費税増税までもう間もなくです。ニュースでも連日取り上げられていますのでみなさんの関心度合いの高さがうかがわれるところです。

ニュースでは主に軽減税率に焦点が当てられているように思われますが8→10%に税率が変わることによる様々な経理上の留意点についてはあまり触れられる機会がありませんので今回はそのあたりのお話を。

消費税の課税時期は取引があった時です。支払いが行われた時ではありません。例えば末締めの請求は翌月支払うというのが通常ですが取引があったのはあくまでも当月ですね。ということは今月9月末締めの請求は10月に支払うことになると思うのですがその際の本体価格に上乗せする消費税はもちろん増税前の8%で計算した税額です。

ところが世には末締め以外の請求というものも存在します。15日締め20日締め等々ですね。そのような場合例えば10月15日締めですと次のように消費税を計算することとなります。

  1. 9月16日~9月30日→8%
  2. 10月1日~10月15日→10%

このように10月1日をまたぐ請求書も問題なく処理することができます。

一方で20日締めのコピー機の保守サービスなどは少し考え方が異なります。それは毎月21日~翌月20日の期間の保守サービスが期間の末日である20日にサービスの提供が完了すると考え、つまり20日に納品をしたと考えます。とすると10月20日締めの保守サービスは10月20日に納品したと考えるので全機関の分を10%で計算します。さきほどのように9月30日でいったん切るなどということはしません。

光熱費も通常と異なる処理をします。10月中に検針があり前回の検針が9月30日以前の場合はその10月中の検針により確定した料金は8%となります。

なお、会計ソフトで入力する時には今お話した8%はすべて旧税率の8%として入力をしてください。くれぐれも軽減税率の8%で入力をしないようご注意を。処理を誤ると納付すべき消費税の計算を間違ってしまう恐れがありますので。なぜ両者で計算結果が違ってくるのかと申しますと詳細はここでは触れませんが国税と地方消費税の割合が異なるからです。旧税率(現行の8%です)は国税が6.3%地方税が1.7%、一方軽減税率の8%は国税が6.24%地方税が1.76%です。ちなみに新税率10%の内訳は国税が7.8%地方税が2.2%です。

~台風15号の被害にあわれた方々~

心よりお見舞い申し上げます。被害にあわれた方の税務について国税庁のホームページのこちらで情報が公開されておりますのでご参考にしていただけたらと思います。

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領収書はちゃんとしたものでお願いします

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先日あるお店で買い物をしたときのことです。その時は気が付かなかったのですが後でレシートをよく見てみるとお店の名前が書いてありませんでした。お店の名前も電話番号もなかったのです。そこでは個人的な買い物でしたので「ふーん、ここのレシートはお店の名前が書いてないのか」で終わりましたが税務上は問題ありです。

先日こちらで消費税の仕入税額控除のお話をしましたがそこで適用対象となるには領収書等にお店の名前が記載されていること、と述べました。ですから先ほどのようなものではその適用要件を満たさないことになります。そこのお店で購入したものについて仕入税額控除を適用しようと考えたお客さんはそれができないことになりますのでそういった意味で迷惑をかけてしまうことになります。

もちろん購入者側にも注意義務ではないですが税法上の優遇規定を適用するからには領収書等がきちんとしているかどうかを確認する必要があるのでしょうがそれをお客さんの側に課すのはやはりお店としてやってはいけないことなのではないかなと思います。

税務調査等でその点を指摘され仕入税額控除の適用が否認された場合追徴課税され場合によっては加算税も科されますのでお店はちゃんとした領収書等を発行する義務(といいますか責任)があるのではないでしょうか。

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軽減税率に関するQ&Aを拝見して

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先週木曜日8月1日に国税庁から10月1日にスタートする消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)が最新版に更新されました。ニュースなどでも報道されておりましたのでご存知の方もいらっしゃるかと思います。そこには実例を想定したQ&Aがこと細かく記載されておりましてわれわれ実務家にも参考になるようなものですので是非ご覧になっていただきたいと思います(こちらでご覧いただけます)。

Q&Aを拝見するとこの軽減税率がいかに飲食店に負担を強いているかがよくわかります。ご存知の通り持ち帰りと店内飲食では税率が異なります。従いまして注文時にお客さんにどこで飲食するかを聞かなくてはならないのですが答えと違った行動をとった時、例えば持って帰るといったのに店内で食べたりとかですね、はどうすればよいのかとかそういった場合の対応方法も記載されてはいますがそれで気分を害したお客さんへの対応についてはお店の判断に任されることになるわけですし、制度導入により誘発されるトラブルが起きそうな気がします。その他さまざまな想定される事態に備えて社員教育なども必要になってきますしとにかく飲食店にとっては厄介なものでしかないのではないでしょうか。

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総額主義と純額主義

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二つの取引が混合する取引を会計処理する場合の考え方として総額主義と純額主義というものがあります。今回はそのお話です。

まずがどのような取引が該当するのかを具体的に見ていくことにします。

例)得意先から売上代金110万円が15万円の手数料を差し引かれて95万円入金されてきた

①総額主義

(借方)現預金 110万円   (貸方)売上  110万円

(借方)手数料  15万円   (貸方)現預金  15万円

②純額主義

(借方)現預金  95万円   (貸方)売上   95万円

※このように総額主義とは相殺取引を相殺しないで複数の取引に分解して記録することを言い、純額主義とは相殺したまま記録することを言います。

両者で利益(95万円)に違いがないことがわかります。ではどちらでも良いはずですね。でも総額主義でなくてはいけません。なぜか。消費税の計算にかかわってくるからです。

法人税・所得税ともに利益をベースに計算する税金ですので利益が正確に算出されているのであれば基本的には問題ありません(それでも税法の解釈上は総額主義でなければなりませんが。そのあたりのお話についてはまたの機会とさせていただきます)。しかしながら消費税の計算においては総額主義が絶対です。

①基準期間における課税売上高が進行期における課税事業者か否かの判定基準となるから

先ほどの例における総額主義と純額主義とでは売上高が110万円と95万円となります。同様の取引が合わせて10件あった場合の総売上高は1100万円と950万円です。これが基準期間(基本的には当期の2期前の年度です)だとした場合、総額主義をとっていれば当期は課税事業者、純額主義の場合は免税事業者となります(基準期間における売上高が1千万円超の場合に当期は課税事業者となります)。この判定は非常に重大ですのでこのようなことを許してしまうと課税の公平が保てませんので総額主義が絶対なのです。

②簡易課税では売上にかかる消費税のみで納付すべき税額を計算するから

総額主義と純額主義で売上高が違いますので預かった消費税の金額が総額主義の方が大きくなりますので簡易課税制度の下では総額主義の方が納付税額が大きくなってしまいます。これもやはり課税の公平が図られていませんので総額主義が絶対ですよということになります。

具体例のような取引を経理処理するときは相殺して記録しがちですがそれは誤っていますのでご注意ください。

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消費税の原則課税と簡易課税

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消費税の納付税額を計算する方法には主に2つのものがあります。①原則的な計算方法(原則課税、本則課税とも言います)②簡易的な計算方法(簡易課税)の2つです。

消費税の仕組みにつきましてはこちらでも何回かお話しておりますが、お客様から預かった消費税から他のお店等に預けた消費税を引いたものを国に納める、です。これが原則的な計算方法である原則課税です。

一方の簡易課税につきましても以前簡単にお話したことがあるかと思いますが、お客様から預かった消費税のみを用いて納めるべき消費税の金額を計算する、というものです。

そもそもこの簡易課税がなぜ用意されているかと言いますと小規模事業者の事務負担の軽減のためとされております。そのような趣旨でこの制度が導入されたわけですが実情は少し異なります。

今の会計ソフトは安価で優れているものが多数出回っております。そうしたものを使えば消費税の計算を正確に行うことはそれほど難しいものではありません。とすると小規模事業者の事務負担の軽減する必要はあまり無くなってきております。とはいえ現実に制度として存在している以上使わない手はありません。

①現に消費税の計算を正確に行うことが困難な事業者につきましては簡易課税を適用することの意義はあるでしょう

②そうではない小規模事業者につきましては適用することにより消費税の節税効果が期待できます

②について見ていくことにします。計算方法が2つあるということは答えがそれぞれで異なる可能性があるということです。仮に簡易課税の方が低い税額で済んだ場合そちらを選択できれば消費税を節税できることになります。ですから対象事業者は事前にシミュレーションを行い常に簡易課税の方が低いと見込まれるのであれば適用を選択すべきですね。

なお、簡易課税を適用できるのは原則として2年前の売上が5千万円以下の事業者に限られます(簡易課税制度選択届出書を提出するという要件がもう一つあります)。

事前のシミュレーションで優劣が微妙な場合は選択を見合わせるというのも一つの方法でしょう。なぜなら簡易課税は一度選択してしまうと適用要件に該当する限強制適用となってしまうからです。なお、簡易課税制度選択不適用届出書を提出することにより選択をやめることは可能ですがそれでも一度適用してから2年間はやはり強制適用となりますので注意が必要です。

まだ簡易課税には弊害がいくつかありますがこれにつきましては回をあらためて見ていきたいと思います。

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仕入税額控除とは

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消費税の増税が10月に迫っております。それに伴い導入される軽減税率、例えば食料品については原則として軽減税率である8%が適用されますがイートイン等お店で飲食する場合は10%が適用されることとなります。飲食店などにおいては8%、10%それぞれに対応したレジの更新が必要なわけでして、テレビのCMでも盛んに早めの対応を促しております。

この軽減税率、飲食店などがお客様から預かった消費税を正確に計算するために税率ごとに区分して集計が必要なのはもちろんのこと預けた側の消費税を計算するために正確な集計が必要となります(影響が全業種に及ぶことは以前お話したところです)。

預けた側つまりお客の側では最終的に納めるべき消費税は預かった消費税から預けた消費税を引いた差額となるのでした。この「預けた消費税を引いた」を仕入税額控除と言います。なお、この仕入税額控除、当然に引くことができるというと実はそうではありません。法的な要件を充足して初めて引くことができるのです。この法的な要件については消費税法第30条および消費税法施行令第49条において規定されております。

この消費税法第30条は帳簿及び請求書等の記載事項について規定がされれているものでして、規定通りに帳簿及び請求書等が記載されていない限り仕入税額控除は認めませんよ、というものです。では規定通りの記載とはどのようなものか。

①帳簿(同条8項1号)

お店等の名前、取引の年月日、取引の内容、税込の対価

②請求書等(同条9項1号)

お店等の名前、取引の年月日、取引の内容、支払対価、支払者の名前

これらの記載が一つでも抜けている場合はその取引に係る消費税については仕入税額控除が認められません。ただし②の支払者の名前についてはお店等の業種が小売業、飲食店業等の場合には記載の必要はありません(施行令第49条4項1号)。

帳簿への記載は正確性を要しますし、請求書等については保存の必要があります。なお、税込金額が3万円未満の場合には①の帳簿の保存のみで適用を受けることができます(同条7項、施行令第49条1項1号)。

以上、仕入税額控除の概要でした。

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消費税を不正還付とは

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消費税を不正還付。最近目にしたニュースです。今回はこのお話です。

消費税はこちらで再三申し上げているおりますが預かった消費税から預けた消費税を差し引いた残りを納めるという仕組みを取っています。海外向けの売上の場合つまり輸出の場合は物の消費地が海外ですので日本の消費税法が関知するところではありません。ですので輸出売上につき消費税は預からないこととなっています。そうしますと輸出専門の業者の場合、預かった消費税がなく預けた消費税のみという状態になります。そのような場合預けた消費税は申告することにより還付がされます。

この制度を悪用したのが今回の「消費税を不正還付」です。

今回のケースは預けた消費税、の預けた事実を偽装したとのことでした。要するに架空仕入ですね。取引実態がないのに仕入を行ったことにして申告を行ったのです。消費税の還付申告はこのような不正が後を絶たないことから現在は申告書に証拠書類となる領収書等を添付するなど非常に厳格な運用がなされています。不正を行った当人はばれないとでも思ったのでしょうが、例えば領収書などを偽造してそれを添付した場合は簡単に裏が取れますのでこのような不正はほぼ不可能だと思って間違いありません。税務当局を甘く見てしまった結果だと思います。

私が修業時代にあるお客様の消費税の還付申告を行ったことがありましたが申告をしたとたん税務当局から問い合わせの電話がありました。それくらい神経をとがらせているところなんですね。とくに金額が大きい事案は徹底的に調べます。不正を許さない、それは彼らの大きな使命であり国民の期待するところでもありますからね。

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消費増税前の駆け込み投資

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どうやら10月の消費税の増税は予定通り行われそうですね。今回は増税前の駆け込みについてのお話。

ご存知の方は当たり前のことを、と仰るかもしれませんが法人・個人事業主で消費税の納税義務がある方(課税事業者と言います)は消費税を負担していないのだから増税前に駆け込みで経費を使う必要はないです。消費税を負担していないということは税率が8%だろうが10%だろうが負担額は変わりませんからね。ですからまだ使えるのに車を買い替えたり(あくまで事業用です)、機械を新しくしたりなどということはしてはいけません。

しかしそうとも言えないケースが実は存在します。以前こちらで簡単に消費税の計算方法として簡易課税制度というものがあるということを申し上げたことがあります。それによると納付すべき消費税はお客さんから預かった消費税のみで計算します。他の事業者に預けた消費税の額は一切考慮しません。原則課税によると預かった消費税から預けた消費税を引いて納付すべき消費税を計算します。ですから消費税が増税されても負担額は変わらないという理屈が成り立ちます。しかし簡易課税では預けた消費税の額は一切考慮しませんので増税分がそのまま負担増になってしまうという結果になります。

だからといってやはり必要のない設備投資はしてはいけませんが例えば10月に購入を予定しているのであればそれを少し前倒しにして9月にするということはありだと思います。

会社は消費税を負担していないから駆け込みの投資は必要ないという記事がこれから9月まで何度も出てくると思いますが、例外もありますので該当する方(簡易課税制度が適用される方、免税事業者の方です)は是非御一考いただき、少しだけ投資をすることをご検討ください。

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消費税の簡易課税制度について

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年度末ですね。3月決算法人の方は何かするなら31日までですよ。届出関係例えば消費税の簡易課税制度の適用を4月1日から受けたい場合も31日までに届出書をポストに投函してください。それと個人事業主の方で消費税の申告・納付をお忘れの方は週明けて4月1日の月曜日までですからどうかお忘れのないように。

消費税の簡易課税制度のお話が出ましたので今回は少し解説を。以前こちらで消費税の仕組みについて簡単にご説明いたしました。お客さんから預かった消費税から他のお店などに支払った(預けた)を引いた金額を国に納めるというのがその仕組みです(本則課税といいます。)。預かった消費税と預けた消費税を両方とも集計しなければなりませんので非常に事務作業が煩雑になります。そこで一定の要件のもと預かった消費税のみを集計し、それに一定の割合を乗じて計算した金額のみを納めるという仕組みを一方で作りました。これが簡易課税制度です。

①一定の要件

2年前の売上が5千万円以下でかつ前期以前に簡易課税制度選択届出書を提出していること

②一定の割合

業種ごとに預けた消費税は預かった消費税のうちこれくらいの割合であろうと国が定めた割合(みなし仕入率と言います)。なお、業種ごとの率は国税庁のホームページのこちらをご参照ください。

そもそも小規模事業者の事務負担を軽減するために導入された制度です。小規模かどうか判定する手段として2年前の売上が5千万円かどうかを採用することにしました。

このような事業者は簡易課税制度を選択しないことも当然できます。強制適用ではなく選択適用なんですね。本則課税と簡易課税では通常計算される消費税の納付金額が異なります。そうするとどちらを選択するかという有利不利判定が必要になってくるんです。これはケースバイケースですので何とも言えません。が該当する方は試算する価値はあると思います。結構な差(数十万円単位で)がある場合がありますからね。合法的な節税方法です。

簡易課税制度があること自体は納税者にとってはうれしいことなんですが、存在するがゆえに色々なトラブルが生じているのも事実です。そのあたりのお話はまたの機会に。

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