経営者にとって大事なのは利益?キャッシュ?

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

利益がものすごく出ていてもお金がない、などということが企業ではよくあります。利益とお金、キャッシュは比例するはずです。利益が出ていればそれなりのキャッシュも会社に残っているだろう。理屈ではそうです。ただし長い目で見ればですね。企業活動というのは日々動いています。いくら利益が出ていてもその日々の企業活動の中で一時的にでもキャッシュが枯渇してしまう可能性は十分考えられるのです。

それは利益とキャッシュに時間的なズレがあるからに他なりません。例えば掛売上などは典型例です。掛売上とはご承知の通り代金は後でいいですよ、ということですからね。このようにして時間的なズレは生じます。

創業時あるいは事業拡大の時にはとにかく売上を伸ばさないとというところがあり、またそうであるべきだと思います。しかしある程度事業が軌道に乗ってきたら目を向けるべきところは資金繰りもっと言えば預金の残高です。例えば毎月同じ時期の残高を比較してみてみるだけでもおおまかな資金繰りの傾向がわかります。そのようにして常に残高だけでも見ておくといいと思います。

資金繰りが苦しくなる原因はいくつかあると思います。①売り上げが下がる②経費が増える・・・要するに利益が減るということですね。それ以外にもいろいろ原因はありまして、売掛金の回収が進んでいない、売掛金の回収期間が長い、逆に買掛金の支払期間が短い、毎月の借入金の返済が毎月の利益よりも多い等々です。

売掛金・買掛金の入金・支払期間については相手があることですので難しいところはありますが、逆に交渉の余地はありますので改善策としては有効です。借入金の返済額が利益を上回ってしまうとこれはもう会社としては赤信号です。借入金の返済は利益の範囲内でしかできないからです。そうなった場合は銀行との交渉により月々の返済額を減らしてもらう等しない限り存続は厳しいと言わざるを得ません。

本来の業務が忙しい中資金繰り等に目をやるのはなかなか大変かと思いますが経営者の重要な仕事の一つですので常にチェックをしていただきたいところです。

東京都文京区の税理士です

消費税の納税義務の判定

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

消費税には免税制度があるというのは以前お話しました。まさに費用対効果ではありませんが、小規模な事業者からは消費税を徴収しませんよという規定です。

免税事業者になるには一定の条件を満たす必要がありますがその判定が少し厄介です。ここでは法人の場合の設立一期目からについて説明いたします。

まず①資本金が一千万円未満であることです。一千万円以上なら小規模ではないよねということで消費税の納税は免除されません。

①を満たした場合設立一期目は免税です。

次に①を満たした場合は、②設立一期目の上半期の売上が1千万円以下であることです。

②を満たした場合設立二期目は免税です。

次です。②を満たした場合は、③設立一期目の売上が1千万円以下であることです。

③を満たした場合設立三期目は免税です。

四期目以降は2年前の売上が1千万円以下であることのみを条件とします。

ざっとこのような判定の流れになります。ご参考になさってください。

 

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税理士試験

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

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今年も税理士試験の合格発表の日が近づいてきました。今年(平成30年)は12月14日です。なので少し税理士試験のお話を。

税理士になるには主に3つのルートがあります。①国家試験に合格②大学院で所定の課程を修了③税務署で所定の年数を勤め上げる、です。私は①の国家試験に合格して税理士になりました。

税理士試験はとにかく難問奇問、出題者でさえ所定の時間内(2時間です)に解くことは難しいだろうといわれています。税理士はもう必要がないから試験問題をむずかしくしているのだというまことしやかな噂もあるくらいです。

私自身も試験に合格するまでには数年を費やしました。自慢ではありませんが私は決して特別な能力を持った人間ではありません。ごく平均レベルの学力を持ち合わせていると自覚しております。そんな私でも挑み続ければいつかは合格できる、そんな試験が税理士試験だと思います。

税理士試験は11ある科目のうちの5科目に合格すれば試験合格となります。私も最終的に5科目の試験に合格したのですが、最も苦戦したのが相続税法という試験科目です。あともう少しというところで涙をのんだことが何回もありました。

先ほど申し上げたように出題者でさえ時間内に解くことは不可能ではないかというくらい税理士試験はとにかく時間との戦いです。そして相続税法はとにかくボリュームが多くとてもではありませんが時間内に解くことは不可能です。最後の最後で時間切れとなり十分な回答を作ることができなかった試験がほとんどでした。

このままチャレンジをし続けても合格するのは難しいと思いある年に戦略を変えました。知識量は誰にも負けてない!あとは時間管理、タイムマネジメントを大切にしようと。

普段の勉強から本番の試験に臨むと同様の意識をもってストップウォッチ片手に試験中に時間割をする癖をつけるようにしました。

そうすると見事その年に難敵だった相続税法の試験に合格できたのです。

あくまで自分の体験談でしかありませんが、私と同じようになかなか同じ科目に合格できず足踏みをしている方がいらっしゃったら少し意識を変えて違った戦略を立ててみてはいかがでしょうか。

 

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税金の納期限と届出書の提出期限

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

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税金の納期限(支払期限のことです)には次のような決まりがあります。

納期限が土日祝日の場合はその翌日を納期限とする(国税通則法第十条第二項、国税通則法施行令第二条第二項)

納期限は月の末日のものが多いです。法人税・消費税は決算日から2か月です。決算日は通常は月末ですので納期限も月末になります。そうしますと例えば直近では今年(平成30年)の9月は末日である30日が日曜日でしたので7月決算の会社の法人税・消費税の納期限は本来は9月30日ですが今年はその翌日である10月1日となります。仮に9月30日が土曜日の場合は翌日は日曜日ですのでそのさらに翌日である月曜日になります。このように年によっては2日得をすることになります。

ちなみに12月31日が納期限の場合は1月4日まで納期限がのびます。

このさきは少し怖いお話です。

納期限が土日の場合は翌週の月曜日にのびるのだから届出書の期限も同じようにのびるんだよな、と勘違いしがちなのです(特にこの業界の関係者です)。実は届出書の期限は厳格になっておりまして、期限が土日でもその末日までとなっています。猶予規定はありません。

届出書関係で特に怖いのは消費税です。詳しくは長くなりますのでここではお話しませんが、消費税の計算には原則的な方法と簡易的な方法があり、一定の場合には簡易的な方法を選択することができるようになっています。この簡易的な方法を選択することによって消費税が安く抑えることができるケースがあるのですが選択するには税務署へ届出が必要となります。この届出書の提出期限を1日でも過ぎてしまうと適用を受けることができません。ですのでこれを納期限の特例と一緒に考えてしまい、届出書を翌週の月曜日に提出してしまって適用を受けることができなくなっていまう、などということがよくあるのです。これは納税者からすれば損害賠償ものですね。払わなくていい税金を払わなければならないわけですからね。

と、このように税務では期限つまり締め切りというのが非常に重要な意味を持ちますので特に月末が近くになると緊張感をもって業務に当たる必要があります。いやいや怖い怖い。。。

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みなし譲渡

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

みなさんは「みなし譲渡」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。

譲渡してないのに譲渡したとみなして譲渡所得税を課税する、このことをみなし譲渡と言います。

例えば会社に自分の資産をタダであげたとします。タダであげる=贈与ですね。贈与税はもらった方に課税されます。ですのでこの場合もらった方、会社に贈与税が課税されて終わりでしょ、となりそうですが実はそうではありません。あげた方には譲渡所得税課税、もらった方には受贈益課税(もらった側が会社つまり法人ですので法人税が課税されます)となります。

理屈はこうです。あげた方にあげた時点で譲渡益課税しないと値上がり益(譲渡時の時価―買った時の値段)に対する所得税課税が永久にできなくなるからです。。。と、お聞きになっても納得いかないと思います。しかし法律がそうなっているので覚えておいてくださいというしかないところなのです。

つまり会社に自分の資産を贈与してすると譲渡所得税と法人税がダブルで課税されるという恐ろしい事態が待ち構えています(さらに同族会社ですと株主間で贈与税課税が発生する可能性があるのです)。

会社に自分の財産を移転する際には注意深く行わないと思わぬ負担が生じることがありますので十分ご注意ください。

 

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年末調整の書類

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

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またまた年末調整のお話。

みなさん、総務の方から「年末調整の書類を11月末までに出してね」などと言われてる方も多いかと思います。

俗にいう年末調整の書類、正式には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」と申します。

会社勤めの方(社長等の役員も含まれます)でその会社が主な勤め先の方(平たく言うとその会社からのお給料が生活の糧となっている場合のその会社です)は例外なくこの年末調整の書類を提出しなければなりません。

扶養控除等申告書とあるから誰かを扶養している人だけ出せばいいんでしょ、という理解をされている方もいますがそうではありません。扶養親族がいるかいないかの確認ですので当然扶養親族がいない方も提出する義務があるのです。

この書類の提出がない場合、少し損をします。どういうことかと言いますと、毎月のお給料から天引きされる所得税の額が増えてしまいます。専門用語で言いますと乙欄で所得税を天引きしなくてはならなくなります。

通常、お給料から天引きされる所得税は甲欄により計算されますがこの書類がない場合は乙欄で天引きをせざるを得なくなるのです。

甲欄、乙欄って何だ、、、そうですね、この説明をいたします。

お給料から天引きする所得税は法律で定められた源泉徴収税額表(リンクをご参照ください)という表により計算します。正確には表から数字を探してきてその人に当てはまる金額を天引きするという流れになります。その表から適切な金額を探す際に必要な情報の一つが扶養親族が何人いるか、ということなのですが、もし年末調整の書類の提出がない場合は探しようがありません。ではどうするかと言いますと扶養親族の数によらず一律の金額を天引きしないさいよとなるのです。表の一番右側の乙という欄に記載があるので乙欄で取りなさい、などと申しております。

表をご覧いただくとわかりますが明らかに乙欄の方が高額です。つまり天引きされる金額が多いのです。そうすると毎月の手取りの額が減りますよね。まあ結局は年末調整で調整はされますがそれでもやはり毎月の手取りが減るというのは損をしているということになると思います。

皆さんも面倒くさがらずに年末調整の書類、提出してくださいね。

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法定相続人の数(続き)

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

昨日の続きのお話です。法定相続人の数を語るとき忘れていけない論点が養子です。

養子は相続人のなることができ、かつ法定相続人にもなれます。そうすると法定相続人の数を増やすには養子をたくさんとればいいんじゃないの? という声が聞こえてきそうです。

実は以前の規定ではその通りでした。それが昭和63年12月の相続税法改正により制限がかかるようになりました。すなわちそれまでは何も制限がなかったので中には相続税対策という理由だけで養子を何十人ととったなどという事例もあったようです。

では具体的に制限規定を見ていきましょう。養子を法定相続人の数に算入できるのは

①実子がある場合・・・一人

②実子がなく養子の人数が二人以上・・・二人

となっております。

この規定によりいくら養子を多くとったところで法定相続人の数に算入できるのは最大で二人となりました。

なお、実子には以下の人も含まれます。

①特別養子縁組により養子となった者

②連れ子で養子となった者

③実子または養子の子(亡くなった方から見ると孫)

 

以上、昨日のお話の続きでした。

 

東京都文京区の税理士です

 

 

法定相続人の数

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

今回は相続税についてのお話。

相続税には基礎控除という考え方がありまして、相続財産の合計がその基礎控除以下の場合には申告不要となります。つまり課税最低限の定めというわけです。ちなみにこの課税最低限の定めという考え方は他の税目にもありまして例えば贈与税にも同じく基礎控除が定められています(年110万円です)。これは少額不追及の考え方から来ています。要するに行政側から見た費用対効果ということです。例えば100円の贈与があった場合でも申告をしなくてはならない、となると贈与税の税率は累進税率になっていまして、最低の税率は10%ですから10円の納税が必要となります。この10円を徴収するために行政コストがいくらかかるかということになると恐らくそれ以上になるのではないかと思います。これでは明らかに不合理ですのでそうした少額の納税のケースはそもそも申告さえ不要としてしまおうという仕組みにしたわけですね。

話を元に戻します。では基礎控除はどの様に定められているのか説明しますね。

基礎控除 = 3,000万円 + 600万円×法定相続人の数

です。法定相続人の数が2人の場合は4,200万円になりますね。

この数式が意味するところは、誰しもが基礎控除として3,000万円は保障されているんだなとことと、法定相続人の数が増えれば基礎控除の額も増えるんだなということです。ここで「法定相続人」の数となっているところがポイントですね。「相続人の数」ではありません。ん、何が違うの、、、

ではご説明いたします。相続人と法定相続人の違いというのは以前「相続税の計算」のお話をしたときにご説明しましたが、「相続人の数」としてしまうと相続人等の恣意性が介入する余地があり数を意図的に増やすつまり基礎控除を意図的に増やすことが可能となってしまうとため恣意性が介入する余地がない法定相続人という概念を創出し、基礎控除の計算をするときの計算要素を「法定相続人の数」と定めたのです。

相続人の数を意図的に増やすというのはどういうことでしょうか。例えば亡くなった方の子供が一人でご両親がご尊命の場合、子供が相続を放棄すると相続人はそのご両親となります。そうしますと当初相続人の数が一人であったものが相続の放棄という手段によって二人に増えることになります。

一方法定相続人の数は法律上「相続があった場合でも相続の放棄がなかったものとした場合の相続人の数」と定められておりますので相続の放棄があったとしても依然として法定相続人の数は一人です。

このようにしていわば租税の回避行為を事前に制限しています。

皆さんが聞きなれない法定相続人という言葉ですが、このような理由から定められました。

 

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生命保険料控除

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

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またまた年末調整のお話です。

今回はタイトルにある通り生命保険料控除について。

生命保険料控除には大きく分けて3種類あります。

①一般の生命保険料

②介護医療保険料

③個人年金保険料

これら3種類の保険料を支払った場合にそれぞれ4万円を最高に(旧契約の場合は5万円)合計12万円まで控除を受けることができます。この時期会社から年末調整の書類書いてね、と言われ記入をされている方も多いかと思いますが、一番難易度が高いのがこの生命保険料控除の部分かなと思います。その中でも最も厄介なのが控除額の計算ではないでしょうか。説明書きがとにかく難解です。忙しい時にこんなところ読んでられないよ、という声が聞こえてきそうなところですね。一方間違いが多いのが保険料の区分に関するものです。例えば本来なら個人年金保険料の欄に書くべきものを一般の生命保険料の欄に書いてしまう、またはその逆、という間違いが多く見受けられます。ご本人の認識では確か年金で受け取るのだからこれは個人年金の欄に書くんだなあなどといったことが原因かと思います。

ここではそうした保険の種類というのはひとまず忘れてください。見ていただく箇所はただ一つです。金額が書かれている箇所の近くに「区分」欄があるかと思います。そこだけです。なお、区分欄がない場合はやはり金額の近くに「一般」「介護医療」「年金」と記載があるかと思いますのでそれが区分です。それぞれが一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料にあたるものですのでそれぞれの欄に記載をしてください。

また、もう一つ悩ましいことがあります。「証明額」と「参考または申告額」のどちらを使うかです。「参考または申告額」をご使用ください。これも非常に混乱の原因となっていますね。感覚的に証明額の方を使うのかなと思っていまいますよね。ここも注意が必要な部分です。

みなさんくれぐれもご注意を

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経済的利益について

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

日産の会長だったカルロス・ゴーン氏逮捕のニュースが連日報じられております。こちらでは税務に絡めたお話をいたします。

役員報酬のうち一定の金額を有価証券報告書へ記載しなかったことが逮捕容疑の一つとなっているようです。あくまで新聞記事を基にということですが、報酬とすべきものの一部には会社所有のマンションを自由に使用していたことによる利益が含まれているとのことです。

報酬つまり一般的に言う給料というのは現金または預金で受け取ったもののみととらえられがちですが実はそうではありません。現預金で受け取ったもの以外に会社から何かしらの利益を受けた場合は原則としてそれも給料に含まれるというのが税務の考え方です。

一例をあげます。Aさんには基本給20万円の他に住宅手当として月7万円を支払っています。一方Bさんには基本給20万円を支払っていて会社が他から借りている社宅(家賃7万円)に無償で住まわせています。もしも給料は現預金で受け取ったものに限る、とした場合、Aさんの給料は27万円として税金が計算されます。一方Bさんの給料は20万円として税金が計算されることになります。AさんとBさんの受けている経済的な利益は全く一緒のはずなのにこれでは課税の公平が図られないことになります。よって税法ではちゃんとそこら辺の手当はされていまして、現預金で受け取ったもの以外のものであっても給料としてカウントして税金を計算してくださいねとなっているんですね。そして結果としてBさんも7万円という経済的利益を給料としてカウントすることによってAさんと同じ税金を課せられるということになるのです。

話を元に戻しますと、ゴーン氏の場合は会社所有のマンションを対価を支払わずに自由に使用していたという点で会社から経済的な利益を受けていますのでその部分が給料つまり役員報酬として認定されることになります。

このように現金・預金で受け取った以外のものでも給料としてカウントし、そこにもきちんと所得税を課税しますよという考え方がありますので、源泉徴収事務を担当されている方は十分ご注意ください。

 

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