みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。
会社で何か不祥事があった時によく「役員が責任をとって給与の30%を会社に自主返納しました」などというニュースを聞くことがあります。実はこれ税務的に少し論点になるところなんです。
何が問題になるか。法人の役員の報酬(いわゆる毎月の給与のことですね)は原則的に年度の途中で変えてはいけませんよという規定が法人税法第34条にあります(正確には、変えてもいいですけど一定の部分は経費として認められませんよ、という規定の仕方です)。そうすると自主返納をしたときの報酬を他の月よりも低くく変更してしまった、という解釈もできます。
しかし実際にはこう解釈するというのが有力な説です。
「会社は他の月と同額の報酬を支払った。そしてそののち役員が会社に減額相当額を寄付した。」という具合ですね。
そもそもなんで法律で役員の報酬を毎月同じにせよ、などと決められなきゃいけないんでしょうか。経済活動は自由に行ってよいはずですので毎月支払う役員報酬の額も自由に決めてよいはずです。
しかしそうするとどういうことが起きるでしょうか。とくに同族会社の場合ですが、例えば決算が近づいて利益が100万円ほどでそうだとなった場合に、よしこのまま法人税を払うくらいなら社長の給料として100万円上乗せで出してしまえなどということも可能になります。そうすると法人税を支払わない会社が続出しそもそも法人税が存在する意味がなくなってしまうでしょう、ということなんですね。
そこで毎年度報酬の額は変えてもいいけど一度決めた額は年度中は変えてはいけませんよ、となりました。
役員報酬の自主返納という記事を新聞で見かけましたので今回はそれに関する税務を考察してみました。