住宅購入資金を贈与した場合の贈与税の非課税

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

お子様またはお孫さんが住宅を購入する際の資金を親御さんまたは祖父母が援助した場合には一定額(一般の場合700万円、省エネ住宅など一定の住宅の場合は1,200万円)まで贈与税がかかりません、という特例規定があります。

相続対策としても非常に有用な制度です。ですから受けるためには税務署にきちんと申告しなければなりません。今日2月1日から3月15日までが申告期間ですので期限までに必ず申告してください。期限までというのが非常に重要です。なお、ご用意する書類は通常

①戸籍謄本(親族関係を証明するためです)

②住宅の謄本(登記事項証明書)

登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅に適用されますのでその証明のため。契約書に書いてある床面積ではありませんのでくれぐれもご注意ください。

③売買契約書の写し

の3つです。

今日から贈与税の申告期間が開始しましたので今回お話しました。期限内申告を是非お願いいたします。

東京都文京区の税理士です

 

 

 

高額な贈与もありです

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

贈与税の税率は一般に高いといわれております。確かにその通りでして(国税庁のこちらのホームページの表の特例贈与財産用の方をご参照ください)、例えば親子間で1千万円の贈与をした場合は税率は30%です。確かに高いですね。えっ300万円も税金で取られるのか、と。

でも実はそうではありません。ちゃんと計算すると親子間での1千万円の贈与に係る税金は177万円です。率にすると17.7%ですね。表をよく見ると控除額の記載があります。超過累進税率の調整をこの控除額で行っているのです。1千万円に丸々30%の税率がかかっているわけではなく600万円を超えて1千万円までの400万円分にだけ30%の税率がかけられています。そして400万円を超えて600万円までの200万円に20%、200万円を超えて400万円までの200万円に15%、200万円以下の部分に10%の税率がそれぞれかけられている、とこの表から読み取ります。

1千万円の贈与の場合の実効税率は17.7%です。これを10年間続けた場合1億円の財産を子供に移転した場合の贈与税の総額は1,770万円です。

一方相続税の税率を見ていきますと(こちらをご参照ください)、1億円以下の相続財産の取得の場合の税率は30%、相続税は2,300万円です。

こうして比較してみると贈与により10年かけて1億円を移転したほうが税金が安く済むことに気が付きます。

ただしこれはかなり粗い比較ですね。そこで贈与による移転をしなかった場合の相続財産が2億円だったというストーリーを仮定するとわかりやすいと思います。まず本来2億円の相続財産に支払うはずだった相続税は6,300万円です。次に1億円を贈与により移転しましたから相続財産は1億円に減っているはずですから1億円の財産に対して支払う相続税は2,300万円です。ということは4,000万円も相続税を減らすことができました。

1,770万円のコストで4,000万円の効果を得ることができる、とてもお得な節税法ですね。

ということで、高額な贈与もちゃんと相続税対策になりますよ、というお話でした。

 

東京都文京区の税理士です

 

生前贈与の落とし穴

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

生前贈与は相続税対策として非常に有効であることは昨日お話いたしました。しかしその対策としての生前贈与には落とし穴があるんです。

誰しもが親の方が子供よりも先に亡くなる、と思っていることでしょう。実際統計的にもかなり高い確率でそうなのではないでしょうか。相続税対策としての生前贈与はまさにそれが大前提なのです。親から子へいかに税金を低く抑えつつ財産を移転するか、というミッションがあるわけです。

ということはその前提が崩れた場合、つまり子が親より先に亡くなってしまった場合はどうでしょうか。せっかく長年計画的に行ってきた親から子への財産の移転が仇になってしまうんです。

どういうことかと申しますと、子へ移転した本来であれば自分の財産が相続財産となって相続税が課税されてしまうのです。子が独身または既婚でも子供がいない場合、親が相続人となります。となると本来自分の財産であった子供の財産に対し自分が相続税を支払うというおかしなことが起きてしまうのです。

一般的には確率は低いでしょうが、それをリスクと考え生前贈与をしないか、それともいやいやそんなケースは稀だよ、ということで生前贈与をするか、判断しなければならないところです。

専門家としてはリスクがあるということを納税者の方にお知らせしたうえで相続税対策として生前贈与という手段があるんですよとお伝えしなければならないのでしょうね。

東京都文京区の税理士です

相続税対策としての生前贈与

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

みなさん、生前贈与という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。読んで字のごとく生前、生きている間に贈与をするということです。

生前贈与は相続税対策として非常に有効だといわれていますし、確かにその通りだと思います。そもそも相続税が課税されるのは亡くなった方の保有していた財産に対してです。そして当然その保有した財産が多ければ多いほど相続税も多額になります。とすると相続税を安く済ませるにはどうすればよいのか、そうです、その保有財産を減らせばいいんです(意図的に少なく申告してはダメですよ)。

その保有財産を減らすにはどうすればいいのかと言いますと保有者ご本人が好きなように使っていただく、というのが一番です。。。いや本当です。私は本気でそう思っています。ご自分が築き上げた財産です。どうぞご自分の生きているうちに好きなように使ってください。海外旅行、温泉、豪華な食事等々。。。できれば形に残らないようにしていただけるといいでしょう。というのは不動産・宝飾品・有価証券等々資産として残ってしまうとそこにも相続税がかかりますのでできるだけその場で消えてなくなるものがいいです。

いやいや何をおっしゃる、私は子供に自分の築き上げた財産を残してあげたいんだよ、という方もいらっしゃるでしょう。といいますか大半の方はそうだと思います。親の愛は海より深き!ですね(そんな言葉ありましたっけ)。

そうなりますとある程度の相続税の負担(実際負担するのは相続人ですが)を覚悟していただく必要があります。しかし子供への財産の移転を生前に計画的に行えばご自分の財産を減らして相続税の負担を減らすことができ、かつ、子供へも財産の移転を税金の負担を少なくしつつすることが可能なのです。それが生前贈与です。

以前お話したことがあるかと思いますが、贈与税というのは暦年課税という仕組みを取っています。暦通りの1年間に贈与をした額の合計額を集計しそれに対し贈与税がかかる、という仕組みです。しかしながら少額不追及という考え方から年間110万円の贈与までは贈与税を課税しない、というルールを設けているのです。そうです、年間110万円までは無税で子供に財産を移転することができるのです。これを計画的に行えば例えば20年で2,200万円子供に財産を無税で移転することができます。子供に財産を残したいという方はこれを使わない手はありません。

と、ここまで書いた通りいいことずくめの生前贈与ですが、実は予期せぬ落とし穴があります。。。それはまた次回にお話しますね。

東京都文京区の税理士です

贈与税の非課税三制度

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

昨日教育資金贈与の非課税制度のお話をしましたので今日はそれに関連して。

贈与税の非課税制度は大きいものが三つあります。

①住宅資金贈与の非課税

②教育資金贈与の非課税

③結婚・子育て資金贈与の非課税

です。

これらすべては親または祖父母などの直系尊属から子や孫などの直系卑属への資金贈与について一定金額まで贈与税を課さないという制度です。

制度趣旨は共通して親世代から子世代への財産の移転を図り消費の拡大を図ろうとするものです。

その非課税枠ですが①は700万円(一定の場合は1,200万円)、②は1,500万円、③は1,000万円(結婚資金は300万円)です。

と、以上が各制度の概要です。

ところで実は②と③についてはわざわざこの制度を適用しなくても非課税になります。そのことはこちらの国税庁のホームページにも解説がありますのでよろしければご覧ください(該当ページの2の部分です)。みなさん例えば大学に入学する時にご自分で学費・入学金を負担したでしょうか。ほとんどの方は親御さんまたはおじいちゃん・おばあちゃんから負担をしていただいたと思います。ではその時に贈与税を納税したでしょうか。答えはノーですよね。それは国税庁のホームページの該当箇所が述べているところにあてはまるからです。ではなぜこのような制度をわざわざ作ったかということですが、必要な都度必要な資金を負担した場合はこの制度を適用しなくても済みますが、まとめて一括で贈与をしたい場合はこの制度を使わないと一時に贈与税が課税される、というところにこの制度の存在意義があることになります。

なお、制度を適用していったん贈与税が非課税になってもその後の運用の仕方であとから贈与税が課税されるなどということもありますので適用に関しては十分慎重に検討をなさってください。税理士などの専門家・窓口となる信託銀行などに相談されると良いかと思います。

東京都文京区の税理士です

 

教育資金の贈与

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

今朝のニュースで教育資金贈与が取り上げられていましたのでそのことについて。

教育資金贈与とは教育資金贈与の非課税制度のことです。制度の概要は直系尊属(親・祖父母・曾祖父母、、、要するに血のつながりのあるうち上の世代の方です)から教育資金(学費・入学金・塾の月謝など)の贈与を受けた場合受けた側の一人当たり1,500万円まで贈与税が非課税つまりかかりませんよ、というものです。

ニュースの内容はその非課税の枠1,500万円を縮小しようと政府が考えているというものでした。この制度が格差の固定化につながっているのがその理由だそうです。この制度を使えば富裕層は子・孫に十分な教育の機会を与えることができるが、そうでない方は与えることができない。結果として格差が下の代に引き継がれるからけしからん制度だ、ということらしいです。

しかし、そもそもこの制度の趣旨は十分な資金を貯め込んでいるであろう高齢者層の財産を現役の世代に流して消費の活性化を図るというものだったはずです。

その趣旨はさて置いて他の理由により制度の縮小をしようというのはおかしなものですよね。格差の固定化につながるというのであればそもそも教育にお金がかかるのが問題であって、そういった現状をクリアするのが根本的な解決につながるのかなあと思います。才能があるのに(というか人はみんな才能はあるんですよね)経済的な問題で十分な教育を受けられない方はたくさんいますので。

なお、教育資金贈与の非課税制度につきましてはまた別の機会に解説をさせていただきますね。

東京都文京区の税理士です

連年贈与?

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

みなさん連年贈与という言葉を聞かれたことはあるでしょうか。連年贈与とは毎年連続して贈与を行うことを言います。と、読んで字がごとくのことを言っただけでしょという突っ込みが来そうですね。

贈与税の計算は1年ごとに行います。1年というのは暦に従った1年つまり暦年です。

例えば自分の2千万円の現金を子供(未成年)に贈与をしようとした場合、それを一度にした場合は

(2千万円-110万円)×500%-250万円=714万円

の贈与税がかかります。一方これを10年にわたって贈与をした場合は、

まず1年あたりの税額は

(200万円-110万円)×10%=9万円

ですので、10年分の90万円です。

このように贈与の仕方によって税額がこれだけ違ってきてしまいます。これは贈与税が累進税率の仕組みを取っているのと、10年分の基礎控除(-110万円のこの110万円です)を使っているからです。

ですので贈与税の仕組みを少しでも理解されている方は後者のように分割して贈与を行っているのです。

そこで課税当局はいやいやそれは最初から2千万円を贈与ずる意図があったよね、ということで2千万円を1度で贈与したものと認定して贈与税を課税しようとしてくる可能性がありますからあまりしない方がいいですよ、という声をよく聞きますが果たしてそうでしょうか。はじめに「2千万円を10年間分割で贈与する」などと贈与契約書にはっきりと謳ってしまった場合はそのように認定されても仕方がないと思いますが、そうではなく毎年贈与の都度贈与契約書をとりかわし、証拠が残るように銀行口座に振り込む、といったことをしてさえいればまず先ほどのように認定されることはないでしょう。たとえ最初から2千万円を贈与する意図があったとしても書面等にして残さない限り課税当局としても証明のしようがない心の内面のことですのでそれは無理筋ということになりますね。

ですのできちんと贈与契約書を毎年とりかわして、銀行口座に振り込むといった形式を整えていただければ余計な心配をしなくて済みますのでそこだけご留意ください。

東京都文京区の税理士です