これ経費にできますか

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

これ経費にできますか。納税者の方にとって税務処理上判断が難しいものの一つでしょう。その代表例といっても過言ではないと思います。この判断が容易に行えるのであればあとは売上さえもれなく計上することにより利益が確定できますので税金の計算までスムーズに進むことができます。

しかしながら一筋縄でいかないのが実際のところです。我々税理士でもその業界に精通していないと判断に困ることがありますから。

個別の事情を考慮したうえで個々に判断していく、それしかないのですがそれでも判断をする上での大原則というものがあるのも事実です。この大原則を抑えてさえいれば大抵の場面にも対応できるんですね。

それはその支出が売上に貢献している(事業関連性とも言います)かどうかを他者(特に税務当局)に合理的に説明ができるかどうか、です。これができれば怖いものはありません。この原則に従えば金額の大小、支払先等世の中で都市伝説的に言われていることは気にしなくてもよいことがわかります。なお、「合理的に」には経済合理性も当然含みますので特に金額の大小についてはそこで一定の歯止めがかけられていることになります。例えば10万円の売り上げを欲しいがために100万円かけて接待をする、というのは経済合理性に欠けるので結果として合理的に説明ができないということになりますね。

もう一つ経費について重要なテーマがあります。以前お話した家事関連費です。家事関連費とは一つの支出で事業関連支出と私的支出の2つの性質を有しているもののうち経費とできるものを言います。ここで経費にできるとは支出のうち事業に関連している部分をこれもやはり合理的に算出できるかどうか、そして算出できたものが経費として認められる、そういったものです。ご自宅でお仕事をしている場合の光熱費、マイカーをお仕事でも使用している場合のガソリン代・税金等、などなどですね。これもみなさんの頭を悩ませるところではないでしょうか。エイヤーと半々で!などというケースも少なくないと思います。そこもやはりエイヤーではなく合理的な按分割合を設定することが重要となります(場合によっては非常に難しいですが、、、)。

以上を考慮していただければ大抵の経費の正当性が判断できるのかなと思います。よろしければご参考になさってください。

今週もご覧いただき誠にありがとうございました。

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遡及訂正について

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

私が所属している東京税理士会から毎月「東京税理士界」(界は界で合っていますので念のため)という月刊誌が届きます。その中である先生が投稿されていた記事について今回はお話したいと思います。

記事では数年前に日経新聞の年間最優秀製品賞を受賞したある会計ソフトについて触れられておりました(そこでは具体的な名前は出ておりませんでしたので知る由はありませんが)。その会計ソフトの広告文に「過去の仕訳の追加・修正・削除も簡単にできます。」とあったそうです。

同業者の方の感想は二通りに分かれると思います。

①「うん、当たり前でしょ。便利な機能だよね。」

②「えっ、修正だけでなく削除もできてしまうの。そんなのありえないよね。」

。。。

現状を正直申し上げると①の方が大多数だと思われます。だから税理士が関与している会社の会計書類の多くは金融機関から信用されていないんです、とその先生。全く同感です。金融機関から月次の試算表の提出を求められることがよくあります。その試算表は月ごとに締める、つまり仕訳の追加・訂正・削除をできない状態にして次月に進めるということをしなければ全く意味を持たないことになります。金融機関に提出した後に訂正等をした場合、その提出した試算表はもはや正しいものではなくなるからです。だから遡及訂正等はしてはならないし、そもそもできてはいけないんですね。

例えば2月分を締めた後に処理の誤りが3月以降に見つかったときは2月の日付で訂正をするのではなく、まだ締めていない任意の日付で訂正をします。そしてもちろんその訂正の履歴も残す、それが正しい処理ということになります。

すべての同業者がその考えを共有してくれればよいのですが、、、

 

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勘定科目の使い方のポイント

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今の会計ソフトはほとんどが優秀なものですよ、と先日申しました。確かに優秀なのですがやはり最初の設定はご自身である程度行う必要があります。その際にはやはり多少ではありますが簿記・会計の知識が必要なところがあります。

勘定科目の設定も結構迷われるところではないでしょうか。初期設定してあるものでしっくりいくものがあればそのまま使用できますが、例えば定期購読している新聞代をどのような費用科目にしようかとするときに雑費?消耗品?などと考えてしまい先に進まないなどということがよくあるかと思います。

こうした時に抑えておくべきポイントというものは意外に少なくて、わかりやすい科目名であればある程度の自由度はあるとお考え下さい。例えば先ほどの新聞代でしたら新聞図書費、新聞購読料などは一目瞭然ですね。ここで言うところのわかりやすいというのはご自身もそうですが将来外部関係者(金融機関・出資者等)に決算書を見せる機会があることを想定した時その方が見てもすぐ理解できるようにすることを意識すると良いかもしれません。

科目名は極端な話何でもいいんですね。税務署は税金がきちんと計算されていれば何も言いません。交際費をお付き合い費などとしてもいいわけです。肝心なのは同じ内容の経費は同じ科目を使い続けるということなんですね。事業が軌道に乗ってきて決算を何回か迎えると年度ごとの経費がデータとして集計されます。それを年度ごとに比較しこの年はこの経費を使いすぎたなとかもう少し使ってもいいなとか経営判断に活かせるようになります。そうした場合に年度によって違う科目を使っていると単純な比較ができずひと手間もふた手間も必要です。ですから科目の表示はなんでもありですが同じ科目を使い続けることが重要なんですね。

会計ソフトの入力を分からないながらもスタートしていただき、それをある時期に第三者に見てもらうなんて言うのもいいかもしれません。税理士だと手数料がかかる場合がありますから例えば見せても差し支えのない家族・友人に見ていただくというのも違った意見が聞けていいと思います。

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5月も終わりです

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

5月31日、今日で5月が終わります。弊所は別にして長かった税理士業界における繁忙期が終わります。この業界における繁忙期は一般的に年末調整の12月から3月決算法人の申告期である5月までと言われております。その間住民税の申告、法定調書、そして確定申告とあって4月には来る5月の申告業務に向けての準備と私自身も修業時代は業務に追われて残業に次ぐ残業でした。

日本は諸外国にくらべて労働生産性が低いと一般によく言われます。そのため世間では効率化、効率化といろんな手段が次から次へと編み出されているようです。しかしながら業務に追われているとなかなか従来の手法を見直す機会がなく時だけが過ぎていきますので結果的に本当に効率化が必要なところにはなかなか手が回らないのが現状ではないでしょうか。

会計事務所の従来からある業務の一つに記帳代行があります。本来記帳(帳簿記入のことです)は納税者の業務です。納税者が自ら記入した帳簿(自計化と言います)のみが法律的な正確性を具備しているのだという説もあるほどです。しかしながら現実は昔からの慣習により納税者は原始資料のみを提供しそれを元に会計事務所が伝票入力しその結果総勘定元帳などの帳簿に記入をしていくということが多くのところで行われております。

納税者の方に記帳をしていただくのには一定の専門的知識が必要です。それでも簿記3級程度の知識があれば何も恐れることはありません。基本的にはほぼすべての取引を記帳することが可能です。あとは会計ソフト特有の操作手順のマスターが必要となりますがそれは会計事務所が丁寧に納税者の方にお教えすればそれほど難しいものではありません。軌道に乗せるまでは少し時間がかかりますが今の会計ソフトはとても優秀なものばかりですので慣れてしまえばどうってことはありません。本当ですよ。パソコンの知識が余りない私でもできるんですから。

自計化をしていただくと会計が帳簿が目に見えて変わってきます。何しろ当事者が記帳してらっしゃるのでとても説得力があるんですね。会計事務所が代行して記帳をしていると知っているからこそ最低限の項目しか記帳をしなくなる傾向があります(その最低限すら守られていないことも往々にしてありますが、、、)。税務署に対してのアピール度合いもまったく違ってきますね。なぜなら税務署にとっても説得力がある帳簿に仕上がっているからです。

そんなこと言って、会計事務所が楽をしたいから言ってるんでしょ、、、ってそんなことはありません。会計事務所として省力できた分他のサービスを提供することができるようになるんです。またしなければなりません。それこそが本来の会計事務所の業務です。帳簿の監査はもちろんのこと経営に関する助言、税務相談、税金シミュレーションなどなどいくらでも仕事はあります。

これからAI化が進んでくると業務で人が記帳をするということが量的にどんどん減っていくでしょう。それだけに頼っていては会計事務所としての未来はありません。ですからAI化は喜ぶべきものとしてとらえ本来業務に注力していくというのがこれからの会計事務所の在り方だと思います。

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税抜経理と税込経理

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税抜経理と税込経理、みなさんはお聞きになったことがあるでしょうか。この場合で言うところの税とは消費税です。税抜経理、税込経理とは消費税を抜いた数字で経理処理をするか込みの数字で処理をするか、という意味になります。

売上、経費、その他すべての会社における簿記上の取引をすべて消費税を除いた金額で記録しようとするのが税抜経理、すべてを消費税込みの金額で記録しようとするのが税込経理ですので例えば税込みで10,800円の売上があった場合には税抜経理では売上=10,000円、税込経理では売上=10,800円という捉え方になります。売り上げに併せてお客様から預かる消費税はお店にとってはまさに預り金であって売上ではありませんので本来はその部分(先ほどの例では800円)は売上としてカウントするのはおかしな話ですが、実務上は認められております。どちらを選択するかは会社にゆだねられているんです。

なぜ認められているかと申しますと様々な理由があるかと思いますが、事務処理の負担の軽減が挙げられます。取引ごとに消費税を抜いた金額で処理を行うという税抜経理は事務負担が大きいので税込経理も認められているという理屈ですね(ただし現在は会計ソフトで自動的にそのような処理を行えますので税抜経理だから事務負担が大きいという理屈は成立しずらい面がありますが)。本来の経理処理は税抜経理とすべきです。会社が外部に売り上げを公表する時に売上です、とした数字に実はお客様から預かった消費税が含まれています、では見た方にとっては判断を誤る可能性がありますからね。そのため、そうした外部へ公表する書類には税抜経理と税込経理のどちらをその会社が選択しているかを記載しなければならないことになっておりますのでそうした判断を誤る危険性は排除されておりますが。

ところで税抜経理と税込経理いずれを採用した場合でも最終的に計算される利益は同じなのでしょうか。基本的には同じです。経理方法によって利益が異なるのはおかしなことですからね。同じになる理屈を例を挙げてみていきましょう。

売上10,000(税込10,800)、仕入5,000(税込5,400)

税抜経理の利益は 10,000 - 5,000 = 5,000 です

一方、税込経理の利益は一旦  10,800 - 5,400 = 5,400となりますが

預かった消費税(800)から預けた消費税(400)を差し引いた400が納付すべき消費税ですのでこれを例えば租税公課などの経費勘定とすることで最終利益は

5,400 - 400 = 5,000

となり両者の利益は同じになる、という仕組みを取っています。

先ほど基本的に同じになると申し上げましたが、高額な資産を購入し経費を何期かにわたって期間配分するいわゆる減価償却をおこなうと両者の利益は異なります。なお、期ごとの利益は異なりますがトータルの利益は一緒です。期ごとの利益が異なる理屈についてはまた別の回で述べたいと思います。

以上が税抜経理と税込経理の基本的な考え方です。

 

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キッシュレス時代到来です

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

今週もよろしくお願いいたします。

時代が令和になりいよいよ今日から本格始動ですね。あらためまして皆さま令和もどうぞよろしくお願いいたします。

時代も令和になるとどうやらキャッシュレスの流れが加速しそうだ、という意見が大勢を占めていますね。私もそれに関しましては全くその通りだと思っております。今や若い方々の間ではお店で現金で会計すること自体いわゆるイケてないということらしいですから、今後ますます現金の活躍する場面が少なくなるのでしょう。

私がこちらで何度も申し上げている「現金管理は大事ですよ」などということは何を時代遅れなことを言っているんだと思われているかもしれませんね。

ただそこで私が申し上げたいことは、現金管理はしなくていいのならそれにこしたことがないということなんですね。現金管理は慣れてしまえばそれほど手間がかかるものではありませんがそうはいっても一定の時間がとられてしまうという事実がありますし、何より勘定が合わなかったときは原因を追究するのにもやはり時間を取られてしまいます。ですからそういった作業自体する必要がなくなるのが一番だと私も思っているんですね。

キャッシュレス取引は逐次記録が残ります。しかも第三者を通してですね。改ざんの可能性はほぼ考える必要がありませんので管理もする必要がないといえるでしょう。ですからキャッシュレス社会はむしろ歓迎すべき姿ですね。現金管理ができていない会社(実際はその会計処理を行っている会計事務所)は現金管理をしていないことをいいことに適当な処理を行っているところが残念ながら存在します。現金はそれを管理していないと会計処理上の不明なものなどのゴミがたまる場所となってしまいます。ゴミをゴミのままにしておいても帳簿を締めて決算をしてしまえますので言ってみるととても都合がいいものなんですね。そういう方々にとってはですよ。

キャッシュレスが進めば現金勘定の登場する場面がなくなりますのでいよいよごまかしようがなくなります。ですから現金の存在価値が薄れつつある今こそ現金管理を徹底して行い来るべき時代に備える必要があるんですね。

今一度申し上げます。現金管理ってとても大事ですよ。

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毎月真剣勝負です

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今日が平成最後の平日ですね。こちらのブログも今回が平成最後となります。毎日更新の方針は変わりませんので令和になってもどうぞよろしくお願いいたします。

平成最後に何を書こうかなと考えましたがあくまで自然体ということで特別なことではなく日頃思うことを書きたいと思います。

月次決算という言葉、みなさんはお聞きになったことがありますでしょうか。決算とは算を決めるですので計算を確定するということになります。この場合の計算とはその事業の当該月の会計処理のことですので月次決算とはその月1か月の会計処理を確定させることです。

会計処理はこのようにして1か月ごとに確定させたものを1年間積み重ねてそのそう仕上げてある年間決算が出来上がる、本来はそうでなければなりません。何が申し上げたいかと言いますと、毎月の会計処理を毎月決算をする覚悟で取り組みましょうということです。毎月決算をするということは次の月に入ったらもう前の月の修正は行わないということです。会計事務所では毎月お客様のところへ毎月訪問し最終処理月の会社の試算表(貸借対照表・損益計算書など)を報告するというのが重要な業務の一つとなっていますが、そこでお客様にご覧いただいた試算表は最終値だということです。後からその数字を変えてはいけませんよということです。何だ当たり前のことを言ってるなと思われたと思います。そうなんですこれって当たり前のことなんです。

ではなぜこのようなことを申し上げたかと言いますと、会計事務所ではこれは必ずしも当たり前のことではない現状があるからです。えっ、と驚かれたかと思いますが本当のことなんです。今巷に出回っている会計ソフトはそのほとんどが後からいくらでも修正ができるんですね。跡形もなくです。そうすると期の途中でお客様にご覧いただいた試算表は実は後になって数字が変わっている可能性があります。といいますか可能性大です。それじゃあ今まで見てきた試算表は何だったのか。。。おっしゃる通りです。。。

毎月の月次処理は真剣勝負です。何回も見直してこれで大丈夫と思った段階で帳簿を締めます。締めるということはもはや修正ができない状態にするということです。月次決算をきちんとすると年間決算はその積み重ねでしかないので相対的に作業量が少なくなりますし、精度も上がります。何よりお客様から信頼していただけます。

でもこれって未だにこの業界では非常識なことなんですね。えっ遡って修正できないの、不便だね、、、同業者によく言われます。そんな時は気が弱いので面と向かっては言えませんが心の中で「直せるほうがおかしいんですよ」とつぶやいています。そしてこれからもその不便なシステムを使っていこうとあらためて思うんですね。

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ガソリンと軽油

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

今週もよろしくお願いいたします。

今回はガソリンと軽油に関する会計処理のお話です。

車の運転される方はご存知かと思いますがガソリンにはガソリン税(正確には揮発油税及び地方揮発油税です)、軽油には軽油税(正確には軽油引取税です)がそれぞれ課税されております。これらの税金、実は性質が異なるんですね。ガソリン税が課税されているのはガソリンの元売会社(出光興産、昭和シェル石油などです)です。それをガソリンスタンドへ卸す際にガソリン価格に上乗せする形でガソリンスタンドにとっての仕入価格の一部になっております。一方軽油税は軽油を実際に使用する者に課税されます。軽油を入れてもらった後の支払の中に軽油税が含まれており、それをお店に支払い、そのお店が預かった軽油税をお店が地方自治体へ納めます。ちなみに納める自治体はそのガソリンスタンドが所在する都道府県です。ですので地方自治体としてはできるだけ軽油は地元のガソリンスタンドで入れてくださいねということなんですね。そしてガソリンと軽油にはさらに共通した税金として石油税(正確には石油ガス税です)というものが課税されています。この石油税は国税でありその納税義務者はガソリンスタンドです。ガソリンスタンドはガソリン、軽油を販売する際にこの石油税を対価に上乗せしています。

とここまでは今回のお話の前提です。ではここからが本題です。ガソリンと軽油では消費税のかかる部分が異なります。

①ガソリン

本体価格 + 石油税 + ガソリン税

②軽油

本体価格 + 石油税

です。なぜでしょう。石油税とガソリン税は売上価格に上乗せされているつまり売上価格の一部を構成しているにすぎませんからそこに消費税が課税される、一方軽油税は消費者からの預り金であり売上ではありませんのでその部分を除いたところに対して消費税が課税されるからです。

この説明でお分かりいただけたでしょうか。お酒の場合をイメージしてください。お酒には酒税という税金が課税されていますがこの税金はお酒を蔵元から運び出した際にその蔵元に課税されるものです。そしてその蔵元がお店にお酒を卸す際に仕入価格に転嫁して卸します。それをお店がお客さんに売るときには仕入価格に利益を上乗せして売り、その売上に消費税が課税されます。この仕組みによるとお客さんは酒税を全く意識することなくお酒を購入することになります。ガソリン、軽油の場合もそうです。お客さんがガソリン、軽油を入れてもらう際にはガソリン税・石油税は全く意識することはありません(と言いたいところですがガソリンの領収書にガソリン税いくらいくら、、の記載がありますので混乱するところです)。石油税・ガソリン税は仕入の一部だということですね。

一方、軽油税はお客さんが負担するものです。お店としては単なる預り金ですから売上ではありません。ですからそこには消費税がかからない、そういう理屈なんですね。

両者にこのような違いがありますので経理上、ガソリンを購入した際は全額を例えば車両維持費として消費税の課税取引として処理できる一方、軽油の場合は(本体価格+石油税)×消費税率の部分を車両維持費として消費税の課税取引とし、軽油税は租税公課として消費税の課税対象外取引として処理をすることになります。実際にはレシートに軽油税が別書きされていますので支払額からそれを差し引いた金額を車両維持費とするのが実務的です。

このような会計処理上の違いがありますのでご注意ください。

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なぜ棚卸をするのか

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

先週は年度末でした。年度末ということで棚卸の作業をされた方も多いのではないでしょうか。今回はその棚卸のお話です。

タイトルにもありますがなぜ棚卸をするのか、何のためにするのか。

①商品管理のため

②適正な期間損益の計算のため

①は商品が紛失していないか、盗難被害にあっていないか、品質は劣化していないかなどをチェックするためです。そして②、これが本題です。

適正な期間損益の計算のためとはどういうことでしょうか。会計の世界ではいくつかの原則がありますがその中でもとりわけ重要なものに「費用損益対応の原則」があります。これを簡単に申しますと売上に対応・貢献した費用のみがその売上が生じた期間の経費として計上が認められるというものです。この原則により費用は支払った時に全額計上できるわけではなくそのうち売上に対応する部分のみが経費として計上できます。

八百屋さんを例に挙げましょう。ある期間に大根を100本仕入、そのうちの80本がその期間中に売れたとします。そうするとその期間に経費計上していい仕入は100本全部でしょうか。そうではありません。80本分だけです。80本売れたのだからそれに対応する80本分の仕入のみが計上できる。どうですかこの考え方。すごく合理的ですよね。素直に納得できると思います。逆に80本しか売れていないのに100本分の仕入を計上できる、とした方がしっくりきませんね。そうすると100本仕入れたうちの売れ残った分 100-80=20本分の仕入はどうなるのでしょうか。これが棚卸商品として資産に計上され、その期間の経費から除外されることになります。簿記の仕訳で言うと

(借方)期末商品 20 (貸方)仕入 20

ですね。その期間中に売り上げた本数が80本なら売れた都度数えてもそれほど煩雑ではないかもしれません。しかしこれが千本、一万本となるとどうでしょう。かなり煩雑になり、数え間違いも生じやすいです。そこでどうするか。期間中に仕入れた本数を仕入の都度帳面に記入し、総仕入本数から期末に残っている大根の本数(期末在庫)を数えてそれを差し引くことにより期間中に売れた本数をカウントしたほうが合理的じゃないですか。

総仕入本数―期末在庫本数=期中売上本数

これが棚卸をすることの意義です。いかがでしたでしょうか。棚卸って非常に重要な作業なんですね。

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決算書に社長借入金はないですか

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

以前申し上げました、何だかわからないけど社長が会社にお金を貸していることになっている、に関連したお話です。

何だかわからない、時点で由々しき事態ですがそれを放っておくともっと危険なことになります。

決算書に仮に社長からの借入金(社長借入金)が残った状態で社長にもしものことがあった場合に、その社長借入金、社長から見ると会社への貸付金が相続財産とされ相続税の課税対象となるんです。

会社からは返済される見込みが少ないのに一方では相続財産になり相続税が課税されるといういわば二重に痛手をこうむることになります。ですから訳の分からない社長借入金を無くすために早急に手を打たなければなりません。

社長が若いうちは長い年月をかけて実際に会社から返済をすることによって無くすことも可能でしょう。しかしながらある程度お年がいってしまうとそういうわけにはいきません。会社に返済するだけの原資があればいいのですが必ずしもそうではないケースが大多数です。そもそも原資があればとっくの昔に何とかしているはずですからね。そうなると取れる手段は限られてきてしまいます。

その一つに社長が貸付金債権を放棄するという方法があります。俗に言う借金をチャラにしてあげる、ですね。この方法一つ問題があります。会社からしてみると借金を帳消しにしてもらった、という経済的利益を受けたことになりますからこれがまさに会社の利益になりそこに法人税が課税されるという危険性があるのです。その利益を計上してもまだ赤字、または過去から繰り越された赤字と相殺できればいいのですが、そうではない場合は多額の法人税を納める必要が出てくる可能性があります。ですからこの方法は非常に限定的にしか使えません。

もう一つは会社をたたんでしまう、という方法です。詳細は専門的になりますので省きますが、この方法を使うと場合によっては法人税の納税を回避することができます。ただし会社をたたんでしまうといういわば最終手段ですのでできれば使いたくない方法ですね。

ということで、社長借入金は少額のうちに何とかしてくださいね。あとに禍根を残すことになりますから。

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