医療費控除の注意点をいくつか

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

今日で1月も終わりです。

償却資産、住民税、法定調書の申告・提出はお済でしょうか。お済の方はお疲れ様でした。

そして週明け2月3日からは贈与税の申告がスタートします(今年は3月16日まで)。

特に住宅資金贈与の非課税を受けようとする方は必ず期限内に申告をしてください。非課税額が大きいだけに申告を失念した時の贈与税負担額が不必要に多額になる恐れがあります。どうかよろしくお願いいたします。

確定申告の時期が近づいてまいりましたので(既に還付申告の受付は始まっています)、適用対象者の多い医療費控除についての注意点をお話していきます。

①10万円という金額が独り歩きしてしまっており、医療費の合計が10万円を超えないと受けることができないと認識をされてらっしゃる方も多いかと思いますが、以前もお話したとおり場合(所得が少ない場合です)によっては10万円以下でも適用可能ですのでご自身のケースではどうかということをご検討ください。

②出産に伴い入院費用などが多額にかかりますがその全額を医療費控除の対象としていないでしょうか。お住いの市区町村から出産手当金等の名目で金品が支給されているかと思いますがその金品を出産にかかった医療費からマイナスをし、まだ余りがあればその超えた部分のみ対象としてください。

③公的機関からの各種手当の他、保険会社から医療費の補てんとして支払われた一時金等も同じくかかった医療費からマイナスをする必要があります。ここで注意点が一つ。医療費と補填金は1対1の関係にあるということです。つまり補填金は紐づけされた医療費のみからマイナスをしてください。くれぐれも全体の医療費の合計からマイナスをしないように。

③について補足説明を。

例)A医院にかかった医療費が1年間で15万円、B病院の入院費用として合計20万円かかったとします。後日B病院の入院について保険会社から一時金25万円が支給されたとすると対象となる医療費は

15万円 + ((20万円-25万円)<0 ∴0) = 15万円

と計算することができます。

該当する方はご参考になさってください。

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即時償却できるものとは

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高額な資産は購入時に全額を経費として計上することができず会計上のルールである減価償却という方法に則って耐用年数に応じた期間に渡り按分して経費計上していく。

これは以前からお話をしていることです。では高額とはいくら以上のことを言うのか。

①少額の減価償却資産
取得価額(≒購入金額)が10万円未満のもの

②少額減価償却資産
青色申告法人である中小企業者等(資本金1億円以下などの要件あり)、青色申告の個人事業主については取得価額が30万円未満のもの

①についてはすべての法人、個人事業主に認められている制度です。少額不追及の考え方から取得価額が10万円未満のものについては購入した年度において全額を経費計上することができます。このその年度において全額経費計上できることを即時償却と言います。

②については青色申告の特典と言っていいものでして、法人については中小企業に適用が限られますが、即時償却できるものの範囲が広げられています。

なお、金額の判定をするときに税込の金額を用いるか税抜の金額を用いるかはその法人、個人事業主が税込経理を採用しているか税抜経理を採用しているかにより異なります。税込経理を採用しているときは税込金額、税抜の時は税抜金額です。

例えば本体価格298,000円のものを購入した時は両者で会計処理が異なりますので注意が必要です。

①税込経理 298,000×1.1 = 327,800≧300,000
・・・少額減価償却資産とならず即時償却不可
②税抜経理 298,000<300,000
・・・少額減価償却資産となり即時償却可

②については注意点がもう一つありまして、年間の取得価額の合計が300万円までです。例えば25万円のパソコンであれば12台まで即時償却できますが13台目以降は即時償却不可です。

ちなみにこの規定は租税特別措置法いわゆる時限立法ですが年末に公表された税制改正大綱の中でその延長が予定されています。

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プロゴルファーの税務

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先日、昨年大活躍だったプロゴルファーの渋野日向子が地元岡山県の岡山東税務署で一日税務署長を務めたとの話題を目にいたしました。

業務の一環として電子申告のPRをされていたのですが記者から昨年(令和元年)の確定申告について聞かれた際に優勝の副賞としていただいた牛の価格を計算しなくてはならず大変です、とコメントをしていました。

なぜ計算をしなくてはならないかと言いますともちろん確定申告のためです。

確定申告とは個人の前年1年間の所得を確定する作業ですがプロゴルファーなどの個人事業主の場合はその所得を確定するためには収入と経費を確定させなければなりません。

このうち収入を確定させるために牛の価格を計算しなければならないということです。

賞金だけではなく副賞についても貨幣価値の換算して収入として申告しなければなりません。

ところでこの副賞、実はその性質により所得区分が異なります。

国税庁のホームページのこちらにその答えがありますが要するに事業所得になるか一時所得になるか、です。

その質疑応答事例によりますとその副賞が主催者(A社)が自己の名のもとに交付されるものであれば事業所得における売上に該当し、実質的に協賛者(B社)が自己の名で交付した場合には一時所得になると読むことができます。

その上で牛の価格をネットで調べながら計算してらっしゃるということですので実力者はそれはそれで大変なんですね。

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個人の消費税について

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個人事業主の方で不動産賃貸業も営んでいる方についてのお話です。

消費税の納税義務は2年前の売上(厳密には課税売上高)が1千万円超の場合に生じます。

ここで2年前の売上とは事業ごとの売上ではないところに注意が必要です。

事業売上と不動産賃貸収入を合計してその中から課税売上を抽出しその金額が1千万円超であるかどうかで判断することとなっています。

所有物件を事務所として他人に賃貸している場合には特に注意が必要ですね。

事業売上が900万円、賃貸収入が200万円の場合には賃貸収入の全額が課税売上となりますので1,100万円の課税売上となり2年後には納税義務が生じることになります。

そしていざ納税義務者となった場合には消費税の計算は非常に厄介なものとなります。例を挙げて見ていくこととします。

事業売上が900万円、賃貸収入のうち課税売上(主に事務所、店舗として賃貸)が200万円、非課税売上(住居として賃貸)が500万円としますと課税売上割合が
(900+200)/(900+200+500) = 68.75%

となります。課税売上割合が95%未満の場合には課税仕入れ(支払った経費のうち課税取引によるもの)を3種類に分けなければなりません(詳細につきましてはここでは触れないこととします)。

①課税売上にのみ要する課税仕入れ
②非課税売上にのみ要する課税仕入れ
③共通して要する課税仕入れ

の3つです。

①は例えば仕入です。
②は例えば賃貸アパートの修理代です。
③は例えばご自分の事務所の光熱費です。

もちろん経費はこれだけではありません。そして中には判断に迷うものも少なくありません。

消費税の厄介なところはすべての取引についての判断のうち一つでも間違えてしまうと税額に影響が及ぶところです。

ですので該当する方は十分な注意が必要であることをお知りおきください。

東京都文京区の税理士です

 

 

確定申告は今まさに佳境?

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今週もよろしくお願いいたします。

1月の会計事務所は実はやることが盛りだくさんです。

住民税・償却資産税の申告、法定調書の提出の提出期限が1月末ですので通常業務にこれらの業務が加わり2月の確定申告期と並んで一年で最も忙しい時期の一つです。

そんな中でも忘れてはいけないことが一つあります。確定申告の準備です。

確定申告とは皆さんご存知かとおもいますが個人の前年一年間の所得を確定させその年の納めるべき所得税を計算するというものです。

納税者の方にとっては1年に一度のことですので以前どのような書類を用意したかお忘れの方もいらっしゃいますのでそこは会計事務所としては先んじてお客様にご用意いただく資料の一覧を提示し、早めの準備をしていただくことが肝要です。

これができるか否かで3月1日~15日の会計事務所の過ごし方が決まってくるといっても過言ではありません。

もちろん早いに越したことはありませんが遅くとも1月末までには必要書類リストをご覧いただく必要があります。

ということで確定申告作業の本当の勝負は1月にあり、がタイトルの真意です。

税理士に確定申告をお願いしている方、何卒ご協力のほどお願いいたします。

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企業内弁護士5年で2倍

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今朝の日経新聞で企業内弁護士が5年で2倍に増えていることを知りました。

私は弁護士ではありませんので弁護士制度については詳しくはありませんが、企業内弁護士とはある企業で従業員かつ弁護士として企業との雇用契約の下に働いているという理解をしております。

なぜこのようなことを申すかと言いますと、対する税理士には企業内税理士という立場は法律上あり得ないからです。

資格専門学校のパンフレットによく企業内税理士という言葉が躍っていますが、厳密な意味でそう言う税理士は存在しえません。

なぜか。税理士には開業税理士、所属税理士、社員税理士の三種類があります。

開業税理士は自ら事務所を構えて業務を行っている者、所属税理士は他の税理士が構えている税理士事務所(または税理士法人)に勤務をしている者、そして社員税理士は税理士法人の社員(いわゆる役員)を言います。この三区分の登録方法しか法律上認められておりません。

とすると企業内税理士はこの三区分のいずれにも当てはまりませんので存在しえない、ということになります。

とはいえ実際には企業税理士を名乗っている方もいらっしゃいます。

こうした方は自分の事務所は構え、開業税理士として登録はしていますが実際の業務は所属する企業のもののみ、ということらしいです。

他の士業の制度はあまり詳しくないのですが、社会保険労務士にも企業内社会保険労務士が法律上存在し得るそうですので、そうなると税理士と言う制度はとても窮屈なものなのかもしれません。

しかしながら税理士の使命を規定した税理士法1条

「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」

とあるように独立した公正な立場でなければならないことからその制度上の制限も納得できるような気がいたします。

私もこの独立した公正な立場、という言葉を噛みしめながら日々業務をおこなっているところです。

~今日のひとこと~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
NFLは各カンファレンスの決勝戦が行われ、スーパーボウル出場チームが決まりました。何と!私の予想通りのAFCはカンザスシティ、NFCはサンフランシスコ49ersです(昨年12月27日付のブログに予想記事を書いておりますのでよろしければそちらをご覧ください)。この手の予想はあてたことがないの自分でも驚いておりますが、、、。まあとにかく2月2日(日本時間2月3日)に今シーズンのチャンピオンが決まりますので今からとても楽しみです!
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個人事業と交際費

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法人税法上(厳密に言いますと租税特別措置法上です)、企業が支出する一定の交際費(資本金1億円以下の法人は年800万円を超える部分、資本金1億円超は全額)については法人税が課税される規定が設けられています。

交際費に法人税が課税される、とは交際費のうち一定額が利益に加算されるということです。

経費として支出したのにそれが損金(法人税計算上の経費です)として認められないということで二重課税になってしまいますがそれだけ厳しい規定を設けているのは企業に対し、いわゆる冗費(無駄な支出)の抑制を国として求めているということなのですが、要するに「大きなお世話」ですね。

交際費として支出するということは飲食店にとってそれは売上になるわけですからそれに対して税金を納めることになるのです。その大切な納税者である飲食店の首を絞めるような政策はどう考えても必要のないものではないかと思いますがいかがでしょうか。

と、少し脱線してしまいましたがでは個人事業における交際費については同様の規定があるかと申しますと、ありません。

個人事業では税法上は交際費はいくらでも使ってもよい、ということになっています。法人がダメで個人は良い。これもよくわからない理屈ですね。

では個人事業の場合はどんどん交際費を使っていいのか、となると話は別です。

そもそもの大前提として、まず経費として計上することができる要件を満たさなければなりません。その要件とは事業に関連しているかどうかです。

要するに売上に貢献するかどうか、というところです。

ですからもちろん個人的な飲食やご家族との休日の食事はそもそも経費としては認められません。

この売上に貢献するかどうかの基準はもちろん営む事業の異なるごとに、また事業者ごとに個別の事情があるでしょうからこれはもう税務署の職員に合理的に説明ができるかどうか、というところにかかってきます。

そこで日常的にこの費用は交際費として経費計上が可能かどうかはその観点から判断していただけたらと思います。これは得意先との会食でどうしても必要だな、とか取引先ではない知人との食事でも事業についての知見を得るために有用だったな、などですね。

顧問の税理士がいらっしゃる方は是非積極的にお尋ねください。税務署の職員への説明を想定して、その税理士に説明していただき意見を聞く、などしていただくと良いかと思います。

と、ここまでお話しておいてなんですが、経費になるといっても支出を伴うことは確かです。支出によって節約できる税金は支出額を超えることは絶対にありえませんので是非懐事情とご相談をお願いいたします。

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奥様の背中をそっと押してあげてください

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女性の起業した方からご相談をいただくことがよくあります。

「売上がどのくらいまでならご主人の扶養の範囲内か」
(→言外にはご主人からのプレッシャーが見て取れますね、、、)

そんな時はこうお答えするようにしています。

起業したからにはそんなことは考えてはいけません、と。

みなさん、夢をもって起業へと踏み出されたはずです。起業したからにはたくさんの方にご自身の商品・サービスを購入していただきたいはず。

だったら一番身近な存在であるパートナーが「扶養の範囲とか気にせずに頑張れるところまで頑張ってみて」と背中を押してあげるのが当たり前だと思います。

もちろん人によって様々なご事情があるでしょうから一概には言えないと思いますが、それを「俺の扶養をはずれるなよ」とか「家事に支障をきたさないようにな」とか、、、

残念で仕方がありません。

多くの方が事業を起こし、誰もが自分の思うように働くことができる社会。創造的で素敵だと思いませんか。

もちろん起業には様々なリスクがつきものですがそのリスクを背負う覚悟をしている方はとても輝いて見えます。

どうかそんな奥様の背中を押してあげてください。

 

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外食産業は今営業時間短縮がトレンドです

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外食産業で営業時間の短縮を実施する企業が増えてきているようです。

ファミリーレストラン最大手のすかいらーくはグループの店舗であるガスト、ジョナサンで155店舗での24時間営業を4月までに廃止すると発表しました。

ロイヤルホストは既に24時間営業を全廃していますし、他の外食大手でも営業時間短縮や休業日の導入などこれに追随する動きが数多く見受けられます。

となると今までの24時間営業のビジネスモデルは何だったのでしょうか。ライフスタイルの変化をとらえ今の営業時間短縮の流れができているかの如く報道がされていますが、そもそも無理があったのではないかという可能性もあります。

ですから外食産業の24時間営業の経営面における効率性をあらためて検証する必要性があるのではないでしょうか。

「従業員の健康に配慮した職場環境づくり」という哲学の下に実施がされていればよいのですがただ単に人手不足によりやむを得ずでは優秀な人材は離れていってしまいますのでそこは徹底してほしいものです。

東京都文京区の税理士です

 

 

 

 

 

 

中小企業の資金繰りが変わりつつあります

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今週もよろしくお願いいたします。

中小企業の金融をフィンテック関連のベンチャー企業が支えている、そんな記事を今朝の日経新聞で拝見しました。創業から2年のOLTA社という企業です。

顧客企業から請求書をオンラインで買い取るというビジネスを行っている同社です。収入源はもちろん買取手数料でして、2~9%の幅で設定をしているとのことです。

既存の金融機関の金利よりも割高なものの、オンラインによるやり取りを徹底させ、買取の審査を24時間以内に行い、早ければ即日入金を実現しているそうです。

審査にはAIを用い、貸し倒れを極小化しておりそこが同社の武器です。

金融は特に創業間もない事業者にとっては非常に重要な課題であり、こうしスピード感のある企業が登場することは日本経済全体にとってとても有用なことであると考えます。

業種によってはどうしても支払いが先行し、急成長に伴い資金繰りが一時的に悪化してしまうことも少なくありません。そのようなせっかく生まれようとしている新たな産業の種を積まないためにもぜひがんばってほしいものです。

東京都文京区の税理士です