大企業が中小企業の特許を吸い取る?

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

「中小の知財 大手が奪う」。今日の日経新聞の記事を読んで唖然としてしまいました。取引上の優位的な立場を利用し大企業が中小企業の例えば製品製造に関するノウハウを無償で手に入れるというものです。これを知財の吸い取りというそうです。

詳細は記事をお読みいただけたらと思いますが、非常にゆゆしき事態です。公正な競争という社会に根本が揺るぎかねない出来事ではらわたが煮えくり返る思いがしました。

政府もこの事態を見過ごせないということで例えば特許侵害については原告が提訴しやすくなるよう特許法が今国会で改正されたとのことです。

しかしながら取引継続を望む中小企業からするとそもそも大企業を訴えることに躊躇してしまうという実態があるようで、法改正だけではこの問題はケアできないのではないかとのことでした。

資本主義経済においては原則として自由競争ですからいわゆる弱肉強食の世界ということで弱いものが市場から去るというのがルールですが、それは根本として競争が公正であることが担保されてこそではないでしょうか。

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生計一について考えます

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

税務では様々な場面で生計が同じかどうかを判断することがあります。同じことにより、または同じでないことにより特例が適用される場合、されない場合があるからです。

特例というと納税者にとって有利なイメージがあります。有利というのは特例を適用することにより税金が安くなるという意味でですね。しかしながら逆の効果をもたらすものも少なくありません。今回はそういったお話です。

所得税では生計が同じ(生計一といいます)ことにより必要経費算入が制限されてしまう規定があります。通常認められるものであれば例え支払先が誰でも経費算入できるのが原則ですがその支払先が生計一親族なだけでそれができなくなるという特例です(所得税法第56条)。この規定の立法趣旨は、所得の分散による租税回避行為の防止にあります。所得の分散がなぜ租税回避行為につながるのでしょうか。

生計一の親族間では基本的に利害が一致していますのでだれがいくら所得を得るかは少なくとも税金面では問いません。だれがいくら稼ごうが結果的に世帯所得が多ければいいですよね。

家族のうちの一人がお店を始めて利益が1,000万円までになりました。他に生計一親族が一人(ここでは奥様とします)がいてこちらは収入が0だとします。お店は奥様の所有です。奥様に月々家賃として30万円支払ったとすると年間360万円。

①一人で所得1,000万円をあげた場合の所得税

1,000万円 × 33% - 1,536,000  =   1,764,000

②本人が640万円(1,000-360)、奥様が360万円の場合の所得税

640万円 × 20% – 427,500 + 360万円 × 20% – 427,500 = 1,145,000

このように累進税率により所得は分散した方が合計の所得税は低く抑えられることがわかります。

奥様への家賃30万円が適正な金額だとしても必要経費として認められないのはかえって課税の公平が図られないような気がいたしますが現状では致し方ありません。

ではこの家賃30万円が必要経費として認められるにはどうすればよいか。生計一ではないことを証明すればよいことになります。しかしながら同居をしている親族間においてそれは容易なことではありません。過去の判決(東京高裁平成16年6月9日)においても同居していても別生計であるから所得税法第56条は適用されないとする納税者の主張は退けられています。

一旦生計一となった状況を別生計にすることはとても困難です。別居する、同居でも玄関・食卓・水回りを分ける等々結果としてお金も手間も余分にかかってしまうことになりかねません。損得は税金だけを考えてはいけないという良い例ではないでしょうか。

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法人と個人を比較しても、、、

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事業を行う際に会社組織(法人)にするか個人事業にするか。昔からあるテーマです。今回はそのお話です。

最近これをテーマにした記事を読んで思ったことは法人と個人の税金つまり法人税と所得税を比較してもしょうがないでしょ、です。法人税は所得が800万円を超えると一律で23.2%に対し、所得税は累進税率により最高で45%(所得が4,000万円超の場合)だからある程度利益が出たら法人にした方が良い、というロジックですね。

でもそもそも法人と個人は別人格ですからその比較をすることが意味があるかどうか。例えば利益が1,000万円を超えたら法人にすべきです、と言ったところでじゃあ法人になった場合は社長であるその方が給料を取らないんですか取りますよね、当然取りますからでは両者の利益を単純比較することはできませんよね、となると思います。

そうするとどのような比較が良いのか。社会保険の負担額を加味しようとすると途端に複雑化しますのでとりあえず税金のことだけを考えるとどうなるでしょうか。一つの答えは事業所得と給与所得を比較することが挙げられます。

個人事業で1,000万円の利益を出すことができたということは要するにその利益はその方の給料と考えることができます。つまり同じ事業(収益構造が同じという意味です)を法人で行った場合に社長が法人から1,000万円のお給料を取ることができるということです。ということは個人事業の場合の所得区分は事業所得、法人の場合の役員報酬は給与所得ですから両者の所得税を比較すればよいということになりますね。

この比較は以前もこちらで行いましたのでよろしければそちらをご覧ください。結果は給与所得の方が有利となります。これにより同じ事業をやるのなら法人組織にした方がいいですよと結論付けられます。ただし先ほども申し上げましたがあくまで税金面の比較をしただけです。社会保険を考慮するとまた違った結論になる可能性もありますのでご注意ください。

法人か個人かを考える際にご参考になればと思います。

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時給30円上げました

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人手不足解消・労働条件改善のためユニバーサルスタジオジャパン(USJ)が4月よりアルバイトの時給を30円アップしたとのことです。

これを聞いた率直な感想は「えっ、30円?」です。30円で従業員の方々は経営者のこの判断に感謝するでしょうか。これを見てじゃあUSJで働こうか、となるでしょうか。動機づけにはあまりにもインパクトが小さい、そう思いました。1日7時間の1か月20日で月約4千円のお給料アップですよ。

ZOZO(ZOZOTOWNの運営会社)がやはりアルバイトの時給を最大300円引き上げるというニュースを最近拝見しました。社長の富豪ぶりはみなさんもご承知かと思いますが、もう少し従業員に還元してもいいのかな。働いている方はそう思わないでしょうか。

大企業になると動く数字がとても大きくなります。USJだって大きな組織ですのでたとえアルバイトの時給を30円上げただけでも総額にするととても大きな金額になるはずです。だから30円上げるだけでもたいそうなことをしたんだ、と経営者の方々は思うんでしょうね。でも大事なことはそこじゃないような気がします。30円アップのもつ意味合いではないでしょうか。30円で人は動くのだろうか。ゼロではないにしてもあまりいないような気がします。

国の運営ともなるともっと数字が大きくなります。景気対策だ、とか称して国民全員に5千円をばらまくなどということをすると総額は6千億円ほどですからとても大きな金額です。ところがもらう側の立場になると5千円もらったところでねえ、となりますよね。規模が大きくなればなるほど金額が大きくなりますから恩恵を受ける側の視点というものが持ちにくくなるのかな。そんなんでしたらやらない方がましだよなどということはこの世の中にたくさんありますね。

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相続でもめないように

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今週もよろしくお願いいたします。

相続でもめるのはつまり何がもめるのかと申しますと財産の分け方です。遺言書があっても何かしらの不備があった、遺言書がそもそもなく財産の分割方法で争いになった等々ですね。

遺言書がない場合は相続人間で協議し分割方法を決定するという流れになります。その方法は全相続人が賛成すればどのようなものでも構いません。相続人が5人いてそのうちの3人にのみ財産を与える、などというものでも合意があれば問題ありません。

ところで法定相続分という言葉を聞かれたことがあるかもしれません。法定相続分とは法律で定められている相続人の取り分のことで、例えば相続人が妻と子供二人だった場合は、妻は1/2、子供はそれぞれ1/4ずつです。遺言書がない場合は原則として法定相続分通りに財産を分割します。ただし実際の分割はこの法定相続分通りに行う必要は必ずしもありません。さきほどのように偏った分割方法も可能です。合意さえあればです。

相続でもめないようにするにはどうすればよいでしょうか。遺族のために遺言書を作成するというのがもっとも有効な手段でしょう。その遺言書はもちろん本人以外のだれにもその内容を知られることなく作成することが可能ですが、そうすると必ずしも書いた側の意図がうまく伝わらない場合があります。思いを文章にしようとすると書いた本人はもちろんその文章の意図するところはわかりますがそれを読んだ本人以外はその意図を100%くみ取れない場合がありますよね。

ですから生前に書いた遺言書の内容を関係者に説明するというのが良いのではないかと思います。相続人一人ひとりにご自分の思い、これまでのことに対する感謝などを伝えるいいきっかけになるのではないでしょうか。遺言書の作成者ご本人の説明ですのでこれ以上説得力を持つものはありません。それで相続人のみなさんに納得していただけたらもう安心してその後の人生を歩むことができると思います。いかがでしょうか。

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贈与税は誰が納めるの

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贈与税は誰が納めるの、そんなの知ってるよという声が聞こえてきそうですが意外と勘違いをされてらっしゃる方が多いので今回はこのお話を。

通常個人から個人への贈与があった場合にその贈与という行為に着目して税金を課するというのが贈与税です。税金というのはすべてにおいてそうですがある取引があった時にその取引を行った者に対し税金を負担する力(担税力と言います)を見出してそこに課税をするというのが基本的な考え方です。所得税なら個人名義で儲けを得た者、法人税なら法人名義で儲けを得た者、相続税なら相続により財産を取得した者、それぞれの者に担税力があると考えそれぞれの税金を課税しています。

そのように考えると贈与税は贈与があった場合に誰に担税力があるかというと財産をもらった側ですので贈与をしてもらった側が贈与税を納めるんだ、という結論に達することがわかると思います。

しかしそのことで一つ問題があります。これは相続税にも言えることですがもらった財産が現預金または換金性の高いものでしたら納税資金に困るなどということはありませんが(税率が100%未満ですので)、もしも換金性の低い財産を贈与でもらった場合はどうなるでしょうか。

もらった側にもともと資金力がない場合、もらった財産を換金することが難しいとすると贈与税を納めることが困難になりかねません。そうすると税金の滞納となりますので延滞税等の罰金が科されることになります。そうなるとまさに有難迷惑となってしまいますね。

ですから贈与はあげる側ももらう側の納税資金を考慮したうえで行わないと困った事態になりますので注意が必要ですね。

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本物ならわかってもらえる

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今朝のNHKの番組で新日本プロレス社長のハロルド・ジョージ・メイ氏の特集を拝見いたしました。今回はこれに関連したお話です。

私も子供のころは大のプロレスファンでした。本気であれは真剣勝負だと思っていましたから応援する選手が血だらけになろうものなら画面に向かってここでは言えないような罵声を相手選手に浴びせるなどしてテレビの前で大いに盛り上がったものでした。体育の授業の時が走り幅跳びの時はしめたものです。経験のある方ならすぐピンときたのではないでしょうか。そうです。着地用のマットが絶好のプロレスのリングとなるのです。バックドロップ、ドラゴンスープレックス、パイルドライバー、、、

おっとすみません、今日は平日でした。

ニューヨークのマディソンスクエアガーデンでの興行を大成功させたときのお話です。ちなみにマディソンスクエアガーデンは全世界のプロレスの聖地です。

その中で、日本でしていることを変えないでそのまま持って行ったのが受けたのだろうと思う、本物ならどこでも通用するはずだから、とこのようなことをおっしゃってました。この本物という言葉については以前こちらで申し上げたことがありましたので、テレビで拝見した時はとてもうれしかったです。自分の気持ちを代弁してくれていると。

よく海外進出が失敗に終わったなどということを記事で読むことがあります。進出するにあたり現地にあわせて日本でのやり方を変えたらそれがうまくいかなかった、とか、日本でのやり方を変えずにいったらうまくいかなかった、とかですね。結局それらは本物ではなかったのかもしれません。たまたま日本では受けたが本物ではなかったから海外では通用しなかったのでしょうか。逆に本物ならそのまま持って行ってもうまくいくのではないでしょうか。ですからそこでの失敗が自身が行っている事業が本物かどうか見つめなおすいい機会となるような気がします。

本物を追求することは非常に困難を伴います。が、それを見つけた時は無上の喜びとなるでしょう。今日テレビを拝見してあらためて思いました。

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税抜経理と税込経理

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税抜経理と税込経理、みなさんはお聞きになったことがあるでしょうか。この場合で言うところの税とは消費税です。税抜経理、税込経理とは消費税を抜いた数字で経理処理をするか込みの数字で処理をするか、という意味になります。

売上、経費、その他すべての会社における簿記上の取引をすべて消費税を除いた金額で記録しようとするのが税抜経理、すべてを消費税込みの金額で記録しようとするのが税込経理ですので例えば税込みで10,800円の売上があった場合には税抜経理では売上=10,000円、税込経理では売上=10,800円という捉え方になります。売り上げに併せてお客様から預かる消費税はお店にとってはまさに預り金であって売上ではありませんので本来はその部分(先ほどの例では800円)は売上としてカウントするのはおかしな話ですが、実務上は認められております。どちらを選択するかは会社にゆだねられているんです。

なぜ認められているかと申しますと様々な理由があるかと思いますが、事務処理の負担の軽減が挙げられます。取引ごとに消費税を抜いた金額で処理を行うという税抜経理は事務負担が大きいので税込経理も認められているという理屈ですね(ただし現在は会計ソフトで自動的にそのような処理を行えますので税抜経理だから事務負担が大きいという理屈は成立しずらい面がありますが)。本来の経理処理は税抜経理とすべきです。会社が外部に売り上げを公表する時に売上です、とした数字に実はお客様から預かった消費税が含まれています、では見た方にとっては判断を誤る可能性がありますからね。そのため、そうした外部へ公表する書類には税抜経理と税込経理のどちらをその会社が選択しているかを記載しなければならないことになっておりますのでそうした判断を誤る危険性は排除されておりますが。

ところで税抜経理と税込経理いずれを採用した場合でも最終的に計算される利益は同じなのでしょうか。基本的には同じです。経理方法によって利益が異なるのはおかしなことですからね。同じになる理屈を例を挙げてみていきましょう。

売上10,000(税込10,800)、仕入5,000(税込5,400)

税抜経理の利益は 10,000 - 5,000 = 5,000 です

一方、税込経理の利益は一旦  10,800 - 5,400 = 5,400となりますが

預かった消費税(800)から預けた消費税(400)を差し引いた400が納付すべき消費税ですのでこれを例えば租税公課などの経費勘定とすることで最終利益は

5,400 - 400 = 5,000

となり両者の利益は同じになる、という仕組みを取っています。

先ほど基本的に同じになると申し上げましたが、高額な資産を購入し経費を何期かにわたって期間配分するいわゆる減価償却をおこなうと両者の利益は異なります。なお、期ごとの利益は異なりますがトータルの利益は一緒です。期ごとの利益が異なる理屈についてはまた別の回で述べたいと思います。

以上が税抜経理と税込経理の基本的な考え方です。

 

東京都文京区の税理士です

キッシュレス時代到来です

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

今週もよろしくお願いいたします。

時代が令和になりいよいよ今日から本格始動ですね。あらためまして皆さま令和もどうぞよろしくお願いいたします。

時代も令和になるとどうやらキャッシュレスの流れが加速しそうだ、という意見が大勢を占めていますね。私もそれに関しましては全くその通りだと思っております。今や若い方々の間ではお店で現金で会計すること自体いわゆるイケてないということらしいですから、今後ますます現金の活躍する場面が少なくなるのでしょう。

私がこちらで何度も申し上げている「現金管理は大事ですよ」などということは何を時代遅れなことを言っているんだと思われているかもしれませんね。

ただそこで私が申し上げたいことは、現金管理はしなくていいのならそれにこしたことがないということなんですね。現金管理は慣れてしまえばそれほど手間がかかるものではありませんがそうはいっても一定の時間がとられてしまうという事実がありますし、何より勘定が合わなかったときは原因を追究するのにもやはり時間を取られてしまいます。ですからそういった作業自体する必要がなくなるのが一番だと私も思っているんですね。

キャッシュレス取引は逐次記録が残ります。しかも第三者を通してですね。改ざんの可能性はほぼ考える必要がありませんので管理もする必要がないといえるでしょう。ですからキャッシュレス社会はむしろ歓迎すべき姿ですね。現金管理ができていない会社(実際はその会計処理を行っている会計事務所)は現金管理をしていないことをいいことに適当な処理を行っているところが残念ながら存在します。現金はそれを管理していないと会計処理上の不明なものなどのゴミがたまる場所となってしまいます。ゴミをゴミのままにしておいても帳簿を締めて決算をしてしまえますので言ってみるととても都合がいいものなんですね。そういう方々にとってはですよ。

キャッシュレスが進めば現金勘定の登場する場面がなくなりますのでいよいよごまかしようがなくなります。ですから現金の存在価値が薄れつつある今こそ現金管理を徹底して行い来るべき時代に備える必要があるんですね。

今一度申し上げます。現金管理ってとても大事ですよ。

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毎月真剣勝負です

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

今日が平成最後の平日ですね。こちらのブログも今回が平成最後となります。毎日更新の方針は変わりませんので令和になってもどうぞよろしくお願いいたします。

平成最後に何を書こうかなと考えましたがあくまで自然体ということで特別なことではなく日頃思うことを書きたいと思います。

月次決算という言葉、みなさんはお聞きになったことがありますでしょうか。決算とは算を決めるですので計算を確定するということになります。この場合の計算とはその事業の当該月の会計処理のことですので月次決算とはその月1か月の会計処理を確定させることです。

会計処理はこのようにして1か月ごとに確定させたものを1年間積み重ねてそのそう仕上げてある年間決算が出来上がる、本来はそうでなければなりません。何が申し上げたいかと言いますと、毎月の会計処理を毎月決算をする覚悟で取り組みましょうということです。毎月決算をするということは次の月に入ったらもう前の月の修正は行わないということです。会計事務所では毎月お客様のところへ毎月訪問し最終処理月の会社の試算表(貸借対照表・損益計算書など)を報告するというのが重要な業務の一つとなっていますが、そこでお客様にご覧いただいた試算表は最終値だということです。後からその数字を変えてはいけませんよということです。何だ当たり前のことを言ってるなと思われたと思います。そうなんですこれって当たり前のことなんです。

ではなぜこのようなことを申し上げたかと言いますと、会計事務所ではこれは必ずしも当たり前のことではない現状があるからです。えっ、と驚かれたかと思いますが本当のことなんです。今巷に出回っている会計ソフトはそのほとんどが後からいくらでも修正ができるんですね。跡形もなくです。そうすると期の途中でお客様にご覧いただいた試算表は実は後になって数字が変わっている可能性があります。といいますか可能性大です。それじゃあ今まで見てきた試算表は何だったのか。。。おっしゃる通りです。。。

毎月の月次処理は真剣勝負です。何回も見直してこれで大丈夫と思った段階で帳簿を締めます。締めるということはもはや修正ができない状態にするということです。月次決算をきちんとすると年間決算はその積み重ねでしかないので相対的に作業量が少なくなりますし、精度も上がります。何よりお客様から信頼していただけます。

でもこれって未だにこの業界では非常識なことなんですね。えっ遡って修正できないの、不便だね、、、同業者によく言われます。そんな時は気が弱いので面と向かっては言えませんが心の中で「直せるほうがおかしいんですよ」とつぶやいています。そしてこれからもその不便なシステムを使っていこうとあらためて思うんですね。

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