みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
今週もよろしくお願いいたします。
今回はガソリンと軽油に関する会計処理のお話です。
車の運転される方はご存知かと思いますがガソリンにはガソリン税(正確には揮発油税及び地方揮発油税です)、軽油には軽油税(正確には軽油引取税です)がそれぞれ課税されております。これらの税金、実は性質が異なるんですね。ガソリン税が課税されているのはガソリンの元売会社(出光興産、昭和シェル石油などです)です。それをガソリンスタンドへ卸す際にガソリン価格に上乗せする形でガソリンスタンドにとっての仕入価格の一部になっております。一方軽油税は軽油を実際に使用する者に課税されます。軽油を入れてもらった後の支払の中に軽油税が含まれており、それをお店に支払い、そのお店が預かった軽油税をお店が地方自治体へ納めます。ちなみに納める自治体はそのガソリンスタンドが所在する都道府県です。ですので地方自治体としてはできるだけ軽油は地元のガソリンスタンドで入れてくださいねということなんですね。そしてガソリンと軽油にはさらに共通した税金として石油税(正確には石油ガス税です)というものが課税されています。この石油税は国税でありその納税義務者はガソリンスタンドです。ガソリンスタンドはガソリン、軽油を販売する際にこの石油税を対価に上乗せしています。
とここまでは今回のお話の前提です。ではここからが本題です。ガソリンと軽油では消費税のかかる部分が異なります。
①ガソリン
本体価格 + 石油税 + ガソリン税
②軽油
本体価格 + 石油税
です。なぜでしょう。石油税とガソリン税は売上価格に上乗せされているつまり売上価格の一部を構成しているにすぎませんからそこに消費税が課税される、一方軽油税は消費者からの預り金であり売上ではありませんのでその部分を除いたところに対して消費税が課税されるからです。
この説明でお分かりいただけたでしょうか。お酒の場合をイメージしてください。お酒には酒税という税金が課税されていますがこの税金はお酒を蔵元から運び出した際にその蔵元に課税されるものです。そしてその蔵元がお店にお酒を卸す際に仕入価格に転嫁して卸します。それをお店がお客さんに売るときには仕入価格に利益を上乗せして売り、その売上に消費税が課税されます。この仕組みによるとお客さんは酒税を全く意識することなくお酒を購入することになります。ガソリン、軽油の場合もそうです。お客さんがガソリン、軽油を入れてもらう際にはガソリン税・石油税は全く意識することはありません(と言いたいところですがガソリンの領収書にガソリン税いくらいくら、、の記載がありますので混乱するところです)。石油税・ガソリン税は仕入の一部だということですね。
一方、軽油税はお客さんが負担するものです。お店としては単なる預り金ですから売上ではありません。ですからそこには消費税がかからない、そういう理屈なんですね。
両者にこのような違いがありますので経理上、ガソリンを購入した際は全額を例えば車両維持費として消費税の課税取引として処理できる一方、軽油の場合は(本体価格+石油税)×消費税率の部分を車両維持費として消費税の課税取引とし、軽油税は租税公課として消費税の課税対象外取引として処理をすることになります。実際にはレシートに軽油税が別書きされていますので支払額からそれを差し引いた金額を車両維持費とするのが実務的です。
このような会計処理上の違いがありますのでご注意ください。