支出の妥当性

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

今週もよろしくお願いいたします。

個人的な支出だとして会社の経費算入を否認された、そんなニュースが最近世間を賑わせました。ここで改めて経費として認められる支出とはいったい何なのかを考えてみます。

事業に必要なものとして合理的な説明が第三者にできるか、これが経費性が認められるかどうかではないかと私は考えています。事業に必要なものというのは売上に貢献するものであったり事業継続のためやむを得ない支出であったりですね。これを最終的には税務調査の際に当局に説明できるかどうかというところなのでしょうが、まずは日ごろからお付き合いをされている税理士がいらっしゃるのであれば支出の妥当性について質問をしてみる、グレーなものについてはその税理士に説明をしてみて説得ができるかどうか、これだけでもいざ調査において経費算入が否認される危険性は格段に下がるはずです。

ですから交際費は売上の何パーセントくらいまでは認められる、とか輸入車はダメだけど国産車はいいみたい、といった都市伝説級の話は信用せずにそのポイントだけ抑えていただければいいのかなとおもいます。

恐らく経費にできるかどうかを一番よくわかってらっしゃる方は納税者ご本人だと思います。例えば税理士に資料を提出する時にレシートの束をそのまま渡す方もよく見掛けられますがたくさんの束の中に家族で休日に行った焼き肉店の領収書なんかを紛れ込ます、などということがあったりします。それを受けた税理士の側としてもその妥当性を納税者の方に問えばいいのですがそのまま何も問題にせずに経費として処理するというケースも散見されます。

納税者からしたらラッキー、くらいに思うのでしょうがこれはもはや税理士の仕事ではありませんね、ただの記帳屋です。税理士の使命である「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」(税理士法第1条)を自ら放棄していると言えましょう。

今回のニュースで税理士の責任が強く問われるのは無申告であったことではなく個人的支出の経費性を否認されたことです。前者は税理士ではどうしようもできませんが(もちろん無申告を回避する最大限の努力はすべきですが)後者は税理士が最後の砦となれたはずです。これは経費として認められませんと言うべきでした。このニュースを聞いて当事者はどう感じているのでしょうか。

~今日のひとこと~

ニトリさんがやってくれました。「重い毛布」です。「軽い」ではありません飛ぶように売れているのだとか。やはりそうでしたか、、、

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年末調整と確定申告

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今年も年末調整のシーズンが近づいてまいりました。国税庁ではすでに令和2年分の扶養控除等申告書が公開されておりますので必要な方はご覧いただきたいと思います。なお、そこに行きつくまで分からないという方はこちらより探してみてください。主に使用するものは1、3、4あたりでしょうか。

さてその年末調整では適用を受けられないものが有名なところで2つあります。一つは医療費控除、もう一つは住宅ローン控除です。

長年この仕事をしていると色々な方がいらっしゃいます。ある時ある会社の年末調整を行っていたところ書類の中に医療費の領収書が入っていました。その方は年末調整で医療費控除が受けられると思ったのでしょうね。ところが医療費控除は年末調整では受けることができません。ご自身で確定申告を行っていただくことにより初めて適用を受けることができます。

あと主要なところである住宅ローン控除もそうですね。住宅ローン控除は初年度は確定申告をしなければ受けることができません(2年目以降は年末調整で適用できます)。なお、住宅ローン控除は税金が安くなる制度ですので通常のケースですと税金が還付されることが多いはずです。そうしますと年明け早々から申告が可能ですので早く還付を受けたいという方は年明けすぐに申告してはいかがでしょうか。

ということでこの2つの制度は年末調整では受けることができませんのでくれぐれもご注意を。

 

~今日のひとこと~

NFLは第六週が終わりまして全勝はニューイングランド・ペイトリオッツとサンフランシスコ・49ersのみとなりました(49ersはバイウィークがありましたので5戦全勝です)。49ersの全勝は少し驚きをもって受け止められているようですね。NFC西地区はシーホークスやラムズという強豪がいる激戦区ですから今後の成績がどうなるか注目したいところです。

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手数料という名の不透明な資金

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昨今新聞紙上を賑わせている関西電力を巡る話題ですが、そもそもことの発端はある原発関連工事を手掛ける会社への税務調査の可能性を指摘する報道があります。その会社から当事者の一人である福井県高浜町の元助役へ約3億円もの手数料が支払われていたことが税務調査で明らかになりました。そのお金が元助役から関西電力側にまわったということで報道が事実であればいわば典型的な資金還流の仕組みが出来上がっていたことになります。

税務調査での指摘事項までは明らかでないので推測の域は出ませんがおそらく会社から元助役への手数料3億円を経費計上したことについて何かしらの確認があったものと思われます。

この手数料という経費ですが一般的によく使われるものです。きちんとした取引の実態があり金額が合理的に算定されているものであれば全く問題ないものですが、時に実態を伴わない支払いをする際に用いられることがあります。以前勤務時代にある業種を担当していたのですが、日常的に業務委託手数料などという「~手数料」がよく出てきたのを思い出します。取引を穏便に進めたいため地域の実力者に支払われる金品であったりということでした。

関係者に対する支払いの際にもよく用いられます。例えば関係会社に利益を付け替えるために業務指導料として毎月100万円を支払うなどというときにですね。このような支払でもきちんと税務当局に説明ができれば問題はありません。そもそもの業務として例えば経営の指導をしてもらっているという実態とその毎月の100万円が妥当であるという点です。

しかしながらそのような支払については納得できる説明ができないことがほとんどです。ですから税務当局も手数料という勘定科目については神経をとがらせていますし特に高額なものは必ず確認します。そして納税者が合理的に説明ができないとなると経費が否認され追徴課税および加算税等となります。

一見便利な科目である手数料ですが、それゆえに税務当局も目を光らせている部分ではありますのでその使用には十分注意が必要となります。

 

~今日のひとこと~

ギターのFコードが弾けるようになったときはうれしかったです。最初はこんなもの弾けるわけないでしょと思いましたからね。

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今週もご覧いただきまして誠にありがとうございました。

 

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減価償却とキャッシュフローのお話

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今回は減価償却とキャッシュフローの関係について見ていくことにします。減価償却とは高額な資産の取得価格を費用化する手段で、具体的には法定の耐用年数に応じた年数で按分して各年度に費用按分していくことでした。一方キャッシュフローとはその名の通り現預金の流れです。今手元に100万円があったとしてその源泉または形成過程を過去から見ていくことによりその会社の財務内容を見ていこうとするものです。平たく言ってしまうと「利益は出ているのに何でこんなにお金がないの?」を理論的に分析しようということですね。

1,100万円の木造アパートを11年ローンを組んで建築し、店子に貸して不動産所得を得ようと考えます。木造アパートの耐用年数は22年ですから1年あたりの減価償却費は

1,100 / 22 = 50万円 (定額法による)

です。一方ローンの返済額は1年あたり

1,100 / 11 = 100万円

です。仮に年間の家賃収入が100万円とします。そうしますと毎年の不動産所得は

100 - 50 = 50万円

ですが現金収支はローン完済の11年目まではトントンです。他に収入がない場合お金がないのに税金だけ取られるということに理論上はなりますね。

このことから借り入れをして設備投資を行う場合、なるべくなら返済期間は法定耐用年数以上にしないと完済までの資金繰りが非常に苦しくなることがわかります。

 

~今日のひとこと~

郵便料金が10月1日より一部改定(値上げ)されています。特にレターパックプラスとレターパックライトは10円値上げされていますがぼうっとしていると旧料金のものをそのままポストに入れかねませんのでご注意を。

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伝家の宝刀 ~法人税法132条~

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法人税法132条の適用に関する注目すべき判断が6月末の東京地裁で示されました。この法人税法132条はいわゆる伝家の宝刀と言われる同族会社の行為計算の否認規定です。同族会社を用いた取引は他人会社を通じた取引に比して一般的に恣意的になりやすいです。それが租税を回避するために用いられることもありがちでその租税回避行為があった事実が認定された場合、その行為が最初からなかったものとして法人税の計算を行う、そういったオールマイティな規定です。ですからその適用には慎重な判断が求められます。

同条の規定の適用の代表例が日本IBM訴訟です。訴訟の対象となったものはグループ会社間で株の売買を行い赤字を計上し連結納税制度において他の事業利益と相殺をしたという取引でした。訴訟は最高裁まで持ち込まれ最終的に日本IBM側の勝訴が確定しましたがその訴訟の中で東京高裁が「グループ企業間取引は独立企業間取引と異なり税負担の軽減が図られた場合にはそれは経済的合理性を欠くというべきだ」という注目すべき判断が示されました。

この判断は国税側にとってその後の税務行政の運用上有利となるものでした。グループ間取引を利用した租税回避行為について一定の抑止力を与えるものだったからです。

ところが今回の訴訟の中で示された判断は132条の適用を限定的にし納税者有利ともいえるものでした。具体的には「グループ企業間のみでなしえる取引でも直ちに税負担の公平が害されることはなく、法人税の負担が減少する場合にのみ132条は適用される」としたのです。これは逆読みをすると他に合理的な理由がある場合には同条は適用されない、と解釈可能ですのでそういった意味で日本IBM訴訟の中で示された判断よりも納税者有利と言えます。

ある方が仰っていました。租税回避も立派に経済合理性がある、だから企業の取引に経済合理性がないものはないと。それは極論だと思いますが、企業の自由な取引の保証と法律の運用上の縛り付けこの二つの間をうまくバランスを取っていかなければならないのでしょうね。

~今日のひとこと~

NFLは第4週の試合結果が出揃いました。前週までの全勝チームが軒並み負けたため未だ全勝チームは3チーム(サンフランシスコ49ersはバイウィークのため3戦全勝です)となりました。この中で注目はやはりカンザスシティチーフスです。前評判通りの強さでスーパーボウル優勝候補筆頭です。QBマホームズの活躍から目が離せませんね。

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東京都文京区の税理士です

老後の備え、できていますか

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地方税の電子申告の開始届を提出しようとしたところ一昨日の24日からサイトが大幅にリニューアルされていて一から仕組みを構築しなければならないことがわかりました。新しいアプリをインストールし、今までのデータを移行し、、、途中つまずきながらもヘルプデスクに問い合わせをしつつ何とか手続きまで完了しました。これが30日だったらと思うとゾッとします。みなさんもお早目のご準備を。

老後資金の2千万円問題が言われて久しいですが、ある程度はやはり自己責任で準備をしなければならないことは当然といえば当然です。私のような個人事業主は定年がないというメリット(人によってはデメリット?)がありますがそうは言ってもいつかは引退しなければならない時が来ます。とはいえ税理士の平均年齢(平均ですよ!)は未だに60代と言われていますからまだまだこの先何十年と頑張っていくつもりではおります。

個人事業主が老後資金を準備するにあたりいくつかの手段がありますが、最もおすすめは小規模企業共済です。最大月7万円の年間84万円ではありますが老後資金を積み立てることができ、しかも全額所得控除が適用され、さらにさらに廃業時の払戻金は退職所得扱いという非常に個人事業主にやさしいものです。20年継続すれば1,680万円(これにいくらかプラスされます)が払い戻されますので当座の資金としては十分すぎるのではないでしょうか。

その小規模企業共済ですが一つ注意点があります。保険金は受取保険金から払込済保険料を必要経費として引くことができ、その引いた後の金額がプラスであれば一時所得としてカウントされます。一方の小規模企業共済は払戻金の全額が退職所得としてカウントされます(実際にはそこから退職所得控除を控除します)。保険金と違うのは払込済みの掛金を必要経費として引くことができない点です。なぜか。掛金は毎年所得控除を受けているからです。言ってみればその時点で必要経費として引くことができているんですね。ですから払戻時にそれを必要経費として引いてしまうと二重に引くことができますのでそれはあまりにも優遇し過ぎですからそれはできません。

それでも退職所得扱いされる時点で相当お得なのは確かですので個人事業主の方は是非一度ご検討ください。

※法人の役員も加入資格があります。

~今日のひとこと~

電車の中から見える橋の欄干には河川における船の標識がかけてあることがあります。「河川標識」で調べると何の標識か分かりますよ。

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法人税法22条

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税法にはそれぞれ核となる概念が必ずあるものです。所得(もうけですね)に税金を課する所得税法・法人税法は「所得」、消費税法は消費という行為(取引)に税金を課しますのでその「課税対象となる行為(取引)」、相続税法は財産に対して課税されるものですからその「財産の価格」。

その中で今回は法人税法について見ていくことにします。

法人税法においては第22条において所得が定義づけられています。

第一項 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。

この条文に法人税法のエッセンスが詰まっています。税理士試験の法人税法はこの条文の意味するところがしっかり理解できているかいないかで合否が決まってくる、それくらい最重要な条文です。

私がそう思うのも合格した回の試験問題もそうだったからです。本試験も近くなると本番を想定した様々な問題をこなすようになるのですがいざ本番では全くの想定外の問題が出題されました。ですから問題をはじめて読んだ時はどのように答案を作成していけばよいのか何も浮かびませんでした。しかしながら、これは法人税法の本質を問うているな、ならば22条に書いてあることを軸にして解答をしていけばいいんだなと判断できたんですね。あとはペンを走らせるだけです。結果的にその判断が正しかったようでそれが合格へとつながったのです。

法人税法の試験範囲はとてつもなく広いです。すべての内容を完璧にするのはほぼ不可能だと思います。ですからその中でも重要な論点を見極めそこをおさえていくということが大切なのではないでしょうか。

~今日のひとこと~

日本税理士会連合会のホームページで税理士を検索することができます。ちなみに「古見」と検索していただくと私の名前しか出てきません。

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電子申告の利用状況が公表されました

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電子申告の利用状況が国税庁から発表されました。それによりますと平成30年度の電子申告の利用率は税目ごとに

①所得税

57.9%(前年比+3.4%)

②法人税

84.3%(前年比+4.3%)

となっております。電子申告の利用率とは全体の申告数のうちの電子申告の占める割合です。現在所得税・法人税の申告の方法としては書面の提出によるものと電子申告によるものがあります。10年前である平成21年度の電子申告利用率は所得税が39.7%、法人税が48.9%ですからまだ10年前は書面の提出の方が多かったことになります。

私は平成21年にはこの業界におりまして確かにそれ以前は申告書を紙で提出していたのをよく覚えております。この紙で提出するのがまあ手間のかかること。本当に大変でした。私がいた事務所では税務署等から送られてくる用紙に申告書を印刷して(手差し印刷です)いたのですがこの用紙がとにかく印刷しずらいものでした。印刷はできるのですが排出口で蛇腹状になって出てきてしまうんですね。必要枚数しか送付されてきませんからそうなった時は大変です。重いもので重しをして(要するにアイロンですね)伸ばして何とか提出までこぎつけたものです。その他にも手差しですからうまくプリンターに用紙が入っていかず数字がずれるなどということもよくありました。

こういった数々のトラブルも今となってはいい思い出?ですがとにかく大変でした。これから申告書を作成するというときは気持ちが重くなったものです。

私は独立して以降は所得税・法人税のすべての申告を電子申告でさせていただいております。ですから先ほどのような苦労が無く本当に助かっています。

電子申告の利用率に関するニュースを拝見しながらふと昔を思い出した次第です。

 

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税金に関するトピックスを2つご紹介します

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今週もよろしくお願いいたします。

夏休みも終わり今日から本格的に9月がスタートします。暑かった夏も終わり過ごしやすい日も徐々にですが増えてきました。ただ、今日(9月2日)の東京地方の最高気温は33度ですので真夏並みの暑さではありますが、、、

今回は税金に関するトピックスを2つ紹介いたします。

一つ目は消費税の増税(8%→10%)と軽減税率の導入です。消費税の増税は今回で3回目です。経理の現場のみなさんもそれなりに経験をしてらっしゃったと思いますし直近の増税が5年半前ですので増税に関してはそれほどの混乱は起きないと思っております。しかしながら軽減税率は初めてのことですのでとにかく混乱するでしょうね。特に以前も申し上げましたが飲食物を扱う現場では大変なご苦労が予想されます。今朝のニュースでもある企業ではレジの導入が10月1日に間に合わないから当分の間は手書きで領収書を書くなどの対応を迫られているとありましたから混乱は既に始まっているんですね。とは言いましてももう導入の延期はないでしょうから覚悟を決めて対応をしなくてはいけませんのでご不明な点はどうか専門家の手を借りて乗り切っていただきたいと思います。

二つ目は来年度(令和2年度)の税制改正要望が先週金曜日に各省庁から出そろったというお話です。翌年の税制改正の中身を決めるのが通常年末に行われる税制改正大綱決定です。そこへ向けたいわば議論のたたき台になるのがこの時期の各省庁からの税制改正要望です。例えば国土交通省からはこちらにあるように36ページにわたる国土交通省税制改正要望事項が公開されております。各省庁からの要望は今年10月の消費税増税という大きな改正がある影響からか例年に比べると控えめなものとなっているようです。どちらかというと既存の税優遇措置を延長くださいというものが中心だそうです。既存の税金の優遇措置には租税特別措置法で定められているものが多くあります。住宅ローン控除にしろ自宅の売却益の3千万円控除にしろ実は租税特別措置法で規定されているものでしてこの法律は時限立法つまり期限付きの優遇措置なんです。ですから延長します、と法律で定めない限り期限切れで制度が廃止されてしまいます。余談ですがみなさんよくご存じの交際費の損金不算入も租税特別措置法で定められた有効期限付きの規定なんです(第61条の4)。昭和29年に創設されて以来今日まで延長に次ぐ延長が繰り返されて未だに存続しております。

今回は以上2つのトピックスをご紹介いたしました。

東京都文京区の税理士です

 

 

憲法第84条 租税法律主義

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前々回で少しお話しました憲法第84条(租税法律主義)を今回は取り上げます。

憲法第84条「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」

税金を課税するには法律で条件を定めなさい。聞く人によっては当たり前でしょ思う方もいらっしゃることでしょうがその当たり前のことを憲法できちんと規定していることが重要なのだと思います。

もしもこの規定がなかった時のことを考えてみましょう。例えば今日から成人一人当たり月100万円の成人税を課税するなどと突然の発表があるかもしれません。税金を課税するには法律で定めなければならない、とはどこにも書いてないからです。もちろん実際にそんなことをしたら大混乱になりますのでしないでしょうが理論上は可能ですから国民からしたらいつそのようなことになるかもしれないとびくびくしながら生活しなければなりません。それはあってはならないことですのでこの憲法84条の規定は歯止めになる非常に重要な規定であるといえます。

租税法の分野で誰しもが存じ上げている金子宏先生によりますと憲法第84条租税法律主義が要請している内容は具体的に

①課税要件法定主義

②課税要件明確主義

③合法性の原則

④手続的保証原則

の4つであるとおっしゃられております(金子宏「租税法」)。課税の条件を法律で定め、その定め方は明確でなければならない。そして課税は法律に則った手続きで行われなければならないということです。②につきましては必ずしも明確でない場合があり、条文の解釈をめぐり裁判等で争われることが往々にしてあるところではありますが。

ちなみに税理士であれば金子宏先生の名は知らない人はいないというくらい非常に著名な先生です。税法の勉強をするときには必ず登場する神様みたいな方ですからみなさんもこの機会に先生の名前を覚えていただけたらなあと思います。

今週もご覧いただきまして誠にありがとうございました。

東京都文京区の税理士です