相続の開始があったことを知った日

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

相続税の申告期限は被相続人(亡くなった方です)の死亡の日から10月以内というのが一般的な認識だろうと思います。それを条文で見ると

相続税法第27条では「相続の開始があったことを知った日の翌日から十月以内」と申告期限が規定されています。「相続があった日」つまり亡くなった日がスタートではないところがポイントです。

なぜそうなっているのでしょうか。例えば相続人が海外に住んでいるとします。日頃連絡を取り合わない間柄だとすると被相続人がなくなったことを知るのに時間がかかるかもしれません。極端な話1年近くたってようやく知ることができる何てこともあるでしょう。

申告期限を相続があった日の翌日から十月以内としてしまうとこの方は落ち度もないのに期限内に申告ができないことになります。期限内に申告ができないと無申告加算税などの無駄な税金を負担することになってしまいますのでこれではあまりにも酷です。

こうした事情を考慮し規定では相続の開始があったことを知った日を起点としているのです。ところが今度はそれを逆手に取りずっと知らないふりをして申告をしないなどというケースも出てくるでしょう。ですからいわゆるそうした逃げ得を許さないために税務署は相続人であろう方にお尋ねという形で事情を聴取する手段を取っています。具体的には過去の申告の状況から財産の在り高を推計し基礎控除を超えていそうな方に目星をつけその相続人であろう方にまずはいわゆるお尋ねという名の書面を送付し適正な申告を促すようにしています。

~今日のひとこと~

NFLは第7週が終わりました。全勝は変わらずペイトリオッツと49ersです。この2チームは本当に強いですね。どこまで全勝が続くか楽しみです。ここまでくると明暗がくっきりと分かれます。好調なチームの中ではグリーンベイパッカーズとニューオリンズセインツがこのまま地区優勝まで行きそうな勢いですね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

東京都文京区の税理士です

 

二次相続まで考える?

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

今週もよろしくお願いいたします。

二次相続、みなさんはこの言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。二次、つまり二回目に起こる相続を言いますが通常は一次相続の被相続人(亡くなった方です)の配偶者を被相続人とする相続を指します。

この二次相続がなぜ話題になるかと言いますと一次相続における財産の分け方でその二次相続での税負担が変わってきてしまうからです。一次相続での財産の分け方が二次相続の相続税に影響を与えるんですね。

被相続人の配偶者には「配偶者の税額軽減」に代表されるようにさまざまな相続税法上の優遇規定があります。例えばこの配偶者の税額軽減によれば配偶者の財産取得額が1億6千万円まで相続税がかからない、かつ、1億6千万円を超えても法定相続分(相続人が配偶者と子供の場合は1/2です)まではやはり相続税がかからないそんな規定です。これは被相続人の財産形成に配偶者が寄与するところが非常に大きく夫婦は一体であるという考え方を基につくられた規定なのです。

ですから一次相続だけを考えればこの配偶者の税額軽減の枠を目いっぱい使って税負担をできるだけ少なくすればよい、となるのですがそれをしてしまうと将来起こるであろう二次相続の時の税負担が重くなってしまうという結果になります。

詳細はここでは省きますが何時の相続においても被相続人の財産は下の世代に流した方が税負担は軽くなるのが一般的です(二次相続で税額軽減が使えないのが主な理由です)。ですから一次相続の段階からある程度子供の代に財産を相続させた方が一次・二次相続全体の税負担が結果的に少なくなるという理屈です。

とはいえそれは二次相続が一般的に考えられる期間で起きる場合です(5~15年くらいでしょうか)。比較的近い将来のためある程度様々な状況の予測がしやすいケースと言えるでしょう。これが30年後くらいかなという場合は必ずしもそれが当てはまりません。30年も経てば状況が様々に変わりますので全く予測が不可能です。ということは二次相続を考えた財産の分け方を一次相続で実行してもあまり意味がありません。このような場合は一次相続での税負担を最小限に抑えるべきと言えましょう。すなわち配偶者の税額軽減を目いっぱい使うべきです。

そして配偶者が取得した財産はその配偶者ができれば使い切ってしまう(好きなことをして、好きな人のために等々)のが理想的な二次相続対策ではないでしょうか。

~今日のひとこと~

赤トンボというトンボはいません。よく言う赤トンボは通常アキアカネのことです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

東京都文京区の税理士です

 

 

相続時に精算します。決して非課税ではありません。

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

つい先日相続時精算課税制度について誤解をしていたため税負担が想定以上に重くなってしまったという記事を拝見いたしました。その方はこの制度を使えば2,500万円の贈与まで贈与税が非課税になるとの認識のもとに相続税対策の一環として相続時精算課税制度を適用したとのことでした。

この相続時精算課税制度、読んで字のごとくですが相続時に精算をするんです。何を。贈与した財産を、、、?

贈与時には2,500万円まで贈与税がかかりません。贈与税はかかりませんがその贈与した財産を贈与者(贈与をした方です)が死亡した時に相続財産としてカウントして相続税が課税されます。決して贈与税が非課税で終わりではないんですね。ですから贈与税がかからないという表現をし、非課税とは言っていないんです(このあたりわかりずらいですね、、、)。

住宅取得資金贈与の非課税は贈与時に一定額まで贈与税が非課税となりそれで課税関係は終わりです。あとからやっぱり相続財産としてカウントします、ではありません。ですからちゃんと非課税という表現を使っています。制度の名称が一つの判断材料となるでしょう。

おそらくその方はセミナーか何かで相続時精算課税制度の説明で2,500万円まで贈与税が非課税になるからお得ですよ、などと説明を受けていたのではないでしょうか。講師の側も2,500万円まで贈与税がかからないという意味と2,500万円まで非課税という意味を混同している可能性があります。

ですから以前にもこちらで申し上げましたが、この制度の適用はとても慎重にご検討ください。場合によっては税理士等の専門家にご相談いただくのがよろしいかと思います。

~今日のひとこと~

NFLは第三週の日程を終了しました。全勝チームは7チームです。昨季の王者ペイトリオッツはさすがです。チーフスは優勝候補筆頭ですので当然の結果ですね。パッカーズ、カウボーイズが名を連ねているのはNFCファンとしてはうれしい限りですね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

東京都文京区の税理士です

セットバックを要する土地

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

事務所の最寄り駅は東京メトロ丸ノ内線の新大塚駅です。ちなみに新大塚駅は丸ノ内線の始発駅である池袋駅から東京駅方面に一つ進んだ駅です。事務所のある東京都文京区大塚6丁目は古くからの住宅街で家と家の間の路地が狭く木造住宅が密集しているいわゆる木密地域なのですが駅に向かう途中に車1台がようやく通ることのできる道路があります。

事情をご存知の方はおそらく通らないであろうその道路ですが、大きな通りへ抜けることのできる数少ない道であることから地元以外のナンバーの車が迷い込んでくることがよくあります。駅周辺の道ですからそれなりに人通りのありますから歩行者や自転車に乗っている方の冷たい視線を感じながらゆるりゆるりと通過していくことになります。

建築基準法に定義する道路とは原則的に幅員が4m以上のものを言いますがその道はどう見ても4mありません。このような道路に面している敷地に建つ建物を建て替える場合は将来的に4m以上になるように中心線から2m以上後退しなければなりません。これをセットバックと言います。

このように所有する土地のうちに将来的にセットバックをしなければならない部分がある場合にはその部分については相続税を計算する際の相続税評価額の計算上一定の考慮がされます。将来的に自分の土地ではなくなるという事情からですね。ちなみに相続税評価額とは相続税を計算する際に対象財産につける貨幣的価値のことを言います。

具体的には70%の評価減をすることができます。例えば通常の計算で1千万円と算出された場合、その70%つまり700万円が減額されその土地の相続税評価額は300万円として良いですよということです。

敷地全体からするとセットバックしなければならない部分は一般的にはそう多くはありませんがそれでも70%減額できるのですからそれなりのインパクトです。ですからみなさん是非知っておいてください。

東京都文京区の税理士です

 

 

財産を遺さないという考え方もあるのではないでしょうか

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

相続対策、相続税対策。いろんな情報が巷に溢れています。そんな中私が考える究極の対策は財産を遺さないことです。極端なことを申し上げると生きているうちに財産を使い切ってください。

とは言え、それは本当に極端すぎます。人はいつ亡くなるか分かりませんから亡くなる前に使い切ってしまうなどということがあると大変です。ですから相続税がかからない範囲内のお金を残しておくというのも有効な手段ではないでしょうか。

ここで相続税がかからない範囲内について見ていくことにします。相続税は生前財産の合計が基礎控除を超えた場合その超えた部分に対しかかります。ということは財産の合計が基礎控除以下であれば相続税がかからないということになりますね。この基礎控除ですが被相続人(亡くなった方)ごとに次の算式により決まります。

基礎控除 = 3千万円 + 600万円 × 法定相続人の数

法定相続人の数についてはこちらで既にお話したことがありますが通常は相続人の数です(相続の放棄があった場合、相続人の養子がいる場合に相続人の数と異なることがあります)。被相続人に奥様とお子さんがお二人いらっしゃる場合(相続の放棄がなく、お子さんは実子とします)には法定相続人の数は3人ですからこの場合の基礎控除は

3千万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円

ですね。ご自宅の相続税評価額が3千万円だとして他に財産が現預金のみだとすると1,800万円までは手元に置いておいても相続税がかからない計算になります。

なお、実際にはご自宅については小規模宅地等の特例を受けられれば土地部分のみですが最大で評価額が80%軽減されますので例えば土地分の評価額が2千万円とすると最大で1,600万円が軽減されることになります。そうしますと

土地(400万円)+建物(1,000万円)=1,400万円

ですので

4,800万円 - 1,400万円 = 3,400万円

これだけ預貯金を手元に置いていても相続税がかからない計算になります。ただし小規模宅地等の特例の適用を受けるには相続税の申告が必要となりますのでご注意を。

東京都文京区の税理士です

 

 

 

生命保険契約に関する権利

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

前回は保険の課税関係についてお話をいたしました。そこで触れなかった保険契約者に関する論点を「生命保険契約に関する権利」に絡めて今回お話をいたします。

生命保険契約は被保険者(この方が亡くなると保険金が支払われるという場合の「この方」のことです)の死亡により保険金が支払われるものです。ですから被保険者の死亡時のみ課税関係が生じると考えがちですが実はそうではありません。被保険者以外の方が死亡した場合でも相続税が課税される可能性がありそれについて見ていくことにします。

亡くなった方(被相続人)が被保険者以外の方で保険料を負担していたときです。この場合保険契約者が「生命保険契約に関する権利」を取得したものとされ相続税の課税を受けます。なお、契約者が誰かによって相続税法上の取り扱いが異なります。

①被相続人が契約者の場合

本来の相続財産として取り扱われる

②被相続人以外の方が契約者の場合

みなし相続財産として取り扱われる

本来の相続財産とみなし相続財産でその取り扱いで何が異なるかと申しますと遺産分割の対象になるかならないかということです。本来の相続財産は対象となり、みなし相続財産は対象となりません。なお、この論点について詳しくはまた別の機会にお話をしたいと思います。

この生命保険契約に関する権利で大事なことは相続財産としての計上を漏らしてしまうことです。先ほど申し上げたように被保険者が亡くなったわけでなく保険金の受け取りもありませんのでなかなか気が付かないところです。そして税務署はそこをついてきますので十分ご注意ください。

なお、生命保険契約に関する権利の相続税計算上の財産としての価値は相続時の解約返戻金相当額です。これは保険会社にお問い合わせいただくと教えていただけます。

今週もご覧いただきまして誠にありがとうございました。

東京都文京区の税理士です

保険の課税関係

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

保険はかなりの方にとって非常に身近な存在ではないでしょうか。にもかかわらずその課税関係は非常に複雑です。誰が保険契約者・保険料負担者・被保険者・保険金受取人かにより課税される税金がそもそも違ってきます。そこで今回はその課税関係の概要についてお話をいたします。

先ほど申し上げた保険契約者・保険料負担者・被保険者・保険金受取人。これらの方がどのように組み合わされるかによってその課税関係が変わってきます。

①死亡保険金の場合

被保険者の死亡により保険金受取人が保険金を受け取るという保険です。

(1)保険料負担者が被相続人(亡くなった方)で保険金受取人が親族の場合

→ 受取人に相続税が課税されます

(2)保険料負担者が被相続人以外のAで保険金受取人もAの場合

→ 受取人Aに所得税が課税されます(一時金の場合は一時所得、年金の場合は雑所得)

(3)保険料負担者がAで保険金受取人がBの場合

→ 受取人B に贈与税が課税されます

②満期保険金の場合

(1)保険料負担者と保険金受取人が同一人の場合

→ 受取人に所得税が課税されます(一時金の場合は一時所得、年金の場合は雑所得)

(2)保険料負担者と保険金受取人が異なる場合

→ 受取人に贈与税が課税されます

保険金受取人が自分以外の方に保険料を負担してもらっていた場合にはその負担者が被相続人であれば相続税、そうでなければ贈与税が課税されると覚えておいていただければと思います。そして自分で保険料を負担していた場合に所得税が課税されます。所得税が課税される場合は保険金全額が課税対象となるわけではなく保険金から払込済保険料を差し引いたいわゆる儲けの部分だけが対象となります。

以上が保険金の課税関係についての概要です。なお、今回は保険契約者については触れませんでしたがまた別の論点がありますので次回お話をしたいと思います。

東京都文京区の税理士です

 

 

お盆に話し合ってみるのもいいかもしれませんね

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

今週もよろしくお願いいたします。

お盆ですね。みなさんいかがお過ごしでしょうか。この時期は親族で集まる機会も多いと思います。今回はそれにちなんだ話題を。

「明治安田総合研究所の調査によりますと55~69歳の男女のうち親の預貯金を把握している人は50代後半では男性が37.6%、女性が40.1%、一方。60代後半では男性が63.7%、女性が50.5%です。また、親の保険の加入状況は50代後半では男女ともに約3割の人しか把握していない」というニュースを先日拝見しました。相続という話題が身近な世代に対する調査として興味深いものです。

相続税の申告手続きで最も困難な作業は被相続人(亡くなった方)全財産を把握することです。財産の把握さえできればその財産の評価(財産に相続税を計算するための値段を付けることです)は基本的には難しくありません(もちろんとても困難なもの、困難なケースもあります)。悪魔の証明ではありませんがこれ以上財産がないということを証明するのは難しいですし理論的には不可能ですからね。

財産の中でもとくに預貯金はその占める割合が大きいので把握は必ず必要ですが、人によってはいくつも口座をお持ちですので全口座の把握はまさに困難であると言えましょう。そこで生前に親御さんの方から自分の所有口座はここにこれだけあって残高はこれくらいあるなどということが聞ければいざという時に遺された家族は負担が大幅に減ることにつながります。また保険の加入状況についても自分が受取人に指定されていることを知らないまま相続を迎えるなどというケースはかなりあるのではないでしょうか。そうなると本来受け取れるはずのものが受け取ることができず保険加入の意味が無くなってしまいます。

親子間といえでもお金の話は少し憚れるというお考えの方も多いでしょう。しかしながら愛するご家族の負担を少しでも減らしたいと思えば積極的に親御さんの方から働きかけをするということも大事なことと思います。

東京都文京区の税理士です

 

相続税における二世帯住宅の取り扱い

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

昨日で税理士試験の三日間の日程がすべて終わりました。受験された方、暑い中本当にお疲れ様でした。緊張から解放された途端に体調を崩すなどということが往々にしてありますのでどうかご自愛ください。

今回は二世帯住宅の相続税の計算における取り扱いについてのお話です。なお、今回は主として一棟の建物に一階に親御さんが二階に子供が住んでいるような二世帯住宅を想定しています(敷地は親所有、建物は親子でそれぞれ所有)。

二世帯住宅の取り扱いは相続税の小規模宅地等の特例において論点となってくるところです。一昔前ですと中で行き来できないと特例を受けることができないという規定になっておりましたが平成25年改正により建物の構造ではなく登記の方法が問われることになりました。

親子と言えどお互いのプライバシーを大事にしたいという場合は玄関を別々にしかつ居住空間は完全に独立した住居をつくりたいと考えるかと思いますが改正前はそれをしてしまうと特例が適用できませんでしたが改正によりそういった希望がかなうようになり使い勝手がよくなりました。

しかしながら一つ気を付けていただきたいポイントがあります。先ほど登記の方法が問われることになりました、と申し上げましたがその登記の方法を区分所有で行ってはならないということです。区分所有登記をしてしまうと特例を受けることができなくなる恐れがあるのです。それは次のような場合です。

一階に父親が一人で住んでおり二階に息子家族が住んでいて区分所有をしている

この場合に親御さんに相続が発生した場合(親御さんが亡くなった場合ということです)は特例を受けることができません。しかしながら登記を共有にすれば特例を受けることができます。

ということで登記の方法が違うだけで相続税の負担が大きく異なることになりますので十分ご注意ください。

今週もご覧いただき誠にありがとうございました。

東京都文京区の税理士です

不動産賃貸業はむずかしいですね

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

今朝の日経新聞にサラリーマン大家についての記事が掲載されておりました。サラリーマン大家とは会社勤めをしながら不動産賃貸業を営んでらっしゃる方を言うそうです。

その中でこの業界では著名な経営者が新規の融資を金融機関から断られた、とありました。スルガ銀行がずさんな投資用シェアハウスへの融資を行ったことを金融庁は重く受け止め、以降特に不動産賃貸業に対する融資については運用を厳格化するようにお達しを出したためこのようなことがあちこちで起きてしまっているようです。

一昔前までは相続税対策と言えばまずはアパート経営、という税理士がほとんどでした。アパートつまり所有物件を他人に賃貸することにより物件自体の相続税評価額を大幅に下げることができるので節税効果が大きいですよ、という理屈です。でも未だにそれを持ち出す税理士はほぼおりません(いたとしたらちょっと??ですが)。なぜか。相続税対策には確かになるかもしれませんがアパート経営にまつわるリスクがそれを上回るであろうからです。アパート経営にまつわるリスクというのは様々あります。少子高齢化・人口減(特に大都市圏以外)・店子が起こすトラブルなどなどですね。

こちらで再三触れておりますが昔アパートを何棟も持ってらっしゃる納税者の方からさんざん「アパート経営などやるもんじゃないよ」と聞かされたことがあります。その方は店子が起こすトラブルについて頭を抱えてらっしゃったようです。扱う物件数が多ければ多いほどそのリスクは一般的に高まりますから手を広げれば広げるほどそういった悩みを抱えることになりますね。

日当たりが良い物件もいつの間にか周りに高い建物が建ってしまいほとんど日が当たらなくなるなどということもよくあります。私も以前賃借していた物件がそうでした。入居当時窓がある側には高い建物が無くとても日当たりが良かったので即決しました。ところが1年ほど経過した時に一軒、さらにそれから1年後にもう一軒隣接する場所に高い建物が建ってしまいとても日当たりが悪くなっていまったという経験があります。不動産にはそうしたリスクもあるんです。

そうしたこともあり今では相続税対策としてアパート経営がいいですよ、などという税理士は少なくとも知っている方ではいなくなりました。

今不動産賃貸業をやろうと検討されてらっしゃる方はそのあたりを慎重にご検討いただけたらなと思います。

東京都文京区の税理士です