経済的利益について(2)

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

経済的利益について以前お話したことがあります。経済的利益について何が問題になるのかと申しますと、税務調査時などにそれが給与認定されて所得税の源泉徴収義務が生じ、過去のその時点での源泉徴収義務を会社が怠ったということですから会社には源泉税の不納付加算税のペナルティが課せられる可能性があるというところです。以前お話した時は従業員を社宅に無償で住まわせた場合を例に挙げてお話をしました。それ以外にも経済的利益と認定されるケースがありまして、実はそれだけで一冊本がかけるくらいなんです。なので専門家としても色々気を使う分野なんですね。いろんなところに罠が潜んでいるんです。

社員旅行に会社から補助を出す場合は原則として経済的利益と認定されませんが参加者が特定の人に限られるような旅行(例えば私の好きなアメフトの観戦ツアーみたいなものでしょうか)に対する会社からの補助についてはそれは限られた人にのみ与えられたものですから経済的利益と認定される、つまり給与と認定され源泉徴収の義務が生じることになります。

社員旅行などは一般的には福利厚生費として処理をします。そこに経済的利益などという話は出てきません。なぜかといいますとそもそも福利厚生とされるには全社員公平にいきわたるようなものでなければならないという考え方があるからです。これを機会均等と言います。福利厚生費として処理できるかどうか迷った場合はこの機会均等というのを判断基準にしてください。忘年会・新年会などもそうです。全員の参加は必ずしも必要ありませんが、前提は全員参加です、つまり全員が参加することを前提でアナウンスする必要があるのです。特定の気の合った社員同士だけで忘年会を行いそこに補助を出す、などという場合は機会均等ではありませんので福利厚生とはならず給与認定されます。

経済的利益については結構奥が深いテーマですので今後もこちらで随時とりあげていきます。よろしかったらご参考にください。

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合計所得金額と総所得金額等

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

昨日お話した合計所得金額とよく似た概念で総所得金額等という用語があります。総所得金額等は合計所得金額から純損失などの繰越控除後の金額を言います。

では純損失とは何か。「純損失の金額とは、事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得の4つの所得の損失の金額のうち、損益の通算をしてもなお控除しきれない金額をいいます(国税庁ホームページより)」。

例えばお店を個人でやってらっしゃる方で他に不動産賃貸業もされている方がいたとします。商売はその年に100万円の赤字、不動産賃貸業はプラス50万円の場合、この年の純損失は50万円となります。ちなみに青色申告の場合はこの純損失は翌年以降3年間繰り越せます。つまり翌年通算して100万円の黒字だった場合は黒字の100万円と前年の赤字50万円を相殺し、50万円の所得として申告ができるというわけです。

純損失等がない場合は両者は同じ金額になりますがあった場合は異なります。各種特例の所得制限がある場合(ある一定の所得を超えた場合にその特例を受けることができない場合です)または計算過程で所得を使う場合のその所得はほぼ合計所得金額を指しますが例外があります。

医療費控除・寄付金控除・雑損控除など

です。

これからの確定申告シーズンに際し該当する方はどうぞご注意ください。

 

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合計所得金額とは

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

年末調整、確定申告の作業の中でよく出てくる言葉に「合計所得金額」があります。

読んで字のごとく所得金額を合計したものです、、、答えになってないですね。

所得税においては個人が得た所得を10に分類することをしています。

利子所得、配当所得、給与所得、事業所得、不動産所得、譲渡所得、退職所得、一時所得、山林所得、雑所得、です。

これらを合計したものが合計所得金額です。

合計所得金額が登場する場面で最も多いのは扶養控除・配偶者控除(配偶者特別控除も含みます)でしょう。

扶養控除・配偶者控除を受けるための条件の一つに合計所得金額が使われます。扶養親族・控除対象配偶者に該当するには合計所得金額が38万円以下でなければなりません。また、配偶者特別控除では配偶者の合計所得金額によって受けることができる控除の金額が変わってきます。では合計所得金額はどのように算出するのでしょうか。

給与所得者を例にとると年収から給与所得控除額を控除した金額が給与所得になり、収入が給与しかない場合はそれが合計所得金額となります。では給与所得控除額はどのようにして計算するかと言いますとこちらのように行います。なお、年収が660万円未満の方は所得税法別表第五を使用して計算します。またはこちらの冊子の81ページ~を見ていただくと給与所得控除後の金額つまり合計所得金額がダイレクトに求められますのでご活用ください。この表から例えば年収162万円の方は合計所得金額が97万円だということがわかります。親族が年金受給者の方の場合は先ほどの冊子の21ページの3雑所得の欄を参照にしていただき計算をしてみてください。

このように扶養親族・配偶者控除の判定では所得という概念を使用します。収入そのものではないところに注意が必要です。

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年末調整をしないと、、、

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

年末なのでまたまた年末調整のお話です。

年の途中で退職をし、その後しばらく再就職をされていない方、そうあなたです。退職時に源泉徴収票をもらってそのままにしてませんか。

ちょっと先走ってしまいましたが、実は今はそのままでもいいんです。しかし、できれば年明け早々にでもご自身で確定申告をしてください。還付金が発生する方は年が明けてすぐに確定申告(正確には還付申告です)をすることができます。

では還付金が発生する方にはどういう方が該当するかと言いますと、生命保険に加入している方、地震保険を支払ってる方、などが主に考えられます。これらの方は源泉徴収票には反映されていない生命保険料控除・地震保険料控除などの各種控除を申告により受けるができ、結果としてそれらは所得を下げる効果があるので在職時の源泉徴収額が超過、つまり天引きされ過ぎの計算結果にほぼなります。そしてその天引きされ過ぎの部分が還付金としてあなたの口座に戻ってきます。

住民税についてもまったく同じことが言えます。確定申告をしないと退職時の源泉徴収票を元に住民税が計算されます。そうすると申告をした場合と比較して高い税額になっていまいます。

このように本来払わなくてもいい税金を負担しなければならない結果となりますので面倒くさがらずに是非申告をお願いいたします。

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青色事業専従者給与について

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

専従者という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。

正式名称は青色事業専従者です(専従者には他にも事業専従者がありますが通常は青色事業専従者を指します)。

以前青色申告をすると色々特典があるよ、という中にこの青色事業専従者があります。青色申告者のみが適用を認められる制度です。何がどううれしいのか、これから説明していきますね。

個人事業者が事業に必要な経費は本来であればすべて認められます。親族例えば奥様に毎月支払う給与であっても事業に必要(事業関連性と言います)があれば本来であれば認められるべきです。ところが税法では親族のうち生計を同じくしている人に対して支払う経費(給与以外にも例えば家賃なども)は計上を認めていません。なぜかそれが租税回避につながると考えるからです。

ん、よくわからないな。なぜ租税回避につながるの?

答えは所得税が累進税率を採用しているからです。所得税は累進税率を採用している、つまり所得が高くなるほど税率も上がるということですね。次に例を挙げます。

例えばご主人が個人で事業を行っていて年間の所得が1,000万円あったとします。これをご主人が一人で負担した場合の所得税は1,764,000円です(復興特別所得税は含みません)。

一方奥様に給料を500万円支払う、つまり1,000万円の所得を二人で分散した場合はどうなるでしょうか。500万円の所得に対する所得税は

①ご主人の所得は事業所得です。その場合は572,500円です。

②奥様の所得は給与所得です。その場合は264,500円です。              ※給与所得は給与所得控除という経費を500万円からさらに引くことができますのでこのように同じ所得でも税金がこれだけ安くなります!

③①+②=837,000円

ご主人が一人で負担した場合と奥様と二人で負担した場合とではこれだけ税金が違ってきます。

親族への給料というのは恣意性が介入しやすいです。平たく言うとアバウトに決めやすいということですね。この税金の仕組みを少しでも理解していると例えば全く仕事をしていない奥様へ給料を支払うなどということをする人も出てきます(多少仕事をしている場合でも相場より高く設定するなどという人もいるでしょう)。これを100%認めてしまうと租税回避が簡単にできてしまうというのが国の言い分でそれじゃあ禁止しましょうということにしたのです。

しかしながら奥様がまっとうにお仕事をしている場合に支払うお給料(もちろん相場に見合った金額の)まで禁止するのは逆に合理性を欠き、課税の公平が保てません。

そこで両者の間を取った形で一定の要件のもと青色申告者に限って専従者への給料を経費として認めますよ、としたのです。

意外に深い専従者給与のお話でした。なお、専従者にすると扶養親族にすることができない等不利になる場面もないことはないのでそこは慎重にご検討ください。

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年末調整で臨時収入?

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

いよいよ今年もあと10日余りとなりました。みなさんの会社ではもう年末調整は済みましたでしょうか。年末調整でうれしいのは何といっても還付金という名の臨時収入です。いつもの給料明細に12月分だけ年末調整還付金という名称で給料にプラスされるあれですね。

自分自身もこの業界に入るまでは年末調整って何か知らないけどいつもより多く振り込まれるアレね、という感じでなんだかよくわからないけど少しうれしかった記憶があります。

実はみなさん、騙されてはいけません。といってもそんなに大したことではないのですが、あれは天から降ってきたご褒美、ではなくご自身がお給料から天引きされた所得税の一部が還付されただけなんです。ご自分が支払ったものの一部が戻ってき、ただそれだけなんですよね。だから損も得もしていないんです。

年末調整というのは給料所得者の1年間の所得を確定する作業です。要するに確定申告みたいなものですね。それまでの1年間に給料から天引きされた所得税の合計と本来その人が支払うべきその年の所得税とを比較して天引きされた方が多ければ還付金が発生し、少なければ追加で天引きされる、という仕組みになっています。

そもそもなぜそのようなズレが生じるかと言いますと、毎月天引きされる所得税はあくまでも概算で計算されているからです。その人の今年の年収がどれくらいになるかおおまかに予測して天引きすべき所得税の金額が規定されています。

さらに生命保険料控除などの各種控除を考慮せずに計算されていますのでそのようなことが還付金が発生する原因となっております。ただ、場合によっては例えば賞与の金額によって逆に追加で天引きしなければならないケースも出てきます。賞与の金額が国が想定している金額よりも多い場合は月々の天引きすべき所得税の計算の前提としている年収を超えるわけですから天引き額が不足して追加徴収となります。

大部分の方は年末徴収でお金が戻ってきますがこのように賞与の金額等により追加で支払う場合もあります(年の途中で扶養親族に移動があった場合などそれ以外にも原因があります)。なので年末調整=お金が戻ってくるもの、とあまり期待しないでくださいね。

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住宅ローン控除の誤申告

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

昨日このブログで住宅ローン控除の借り換えがあった場合についてお話しました。同じの日経新聞の夕刊に住宅ローン控除で誤申告がかなりの数あるという記事が載っておりまして、二日連続で恐縮ですがまた住宅ローン控除についてのお話です。

記事によると住宅ローン控除の申告を誤った事例が2013~2016年の4年間で1万人を超える件数あった、とありました。

住宅購入資金の一部を親御さんなどから贈与してもらい残りはローンを組んで住宅ローン控除の適用を受けるために申告したケースでミスがあったとのことでした。

申告をする際の控除額の計算の基礎となるものは通常は住宅の購入対価と借入金(の年末残高)のいずれか少ない金額です。そのいずれか少ない金額を元に一定率を乗じて控除額を計算しますが、贈与を受けた場合は借入金と比較すべき住宅購入対価はそこから贈与を受けた金額を引いたものとしなければなりません。この作業を忘れてしまい(そもそもそれを知らない場合も含みます)申告をしてしまったということです。

住宅購入対価が5,000万円、借入金年末残高が4,500万円、贈与を受けた金額が700万円とすると本来は

 (5,000-700)  = 4,300 < 4,500  ∴ 4,300

としなければならないところ

 5,000  >  4,500  ∴ 4,500

としてしまったということですね。そうすると控除額が正しいものよりも多くなってしまいますので申告ミスということになります。

このミスは実は借り入れがあった場合のミスと本質的には同じでして、そもそも借入金の方が多くなるケースというのは購入対価以外に保証料、登記費用などもローンに組み込んだ場合です。これらの費用は決して安いものではありませんのでローンに組み込んでる方も結構多いかと思いますが、当てはまる方は申告の際十分ご注意ください。

記事にはもう一つの誤りの例があると書いてありました。それは住宅ローン控除と自宅を売却した場合の3,000万円控除を同じ年にダブル適用をしてしまったケースでした。こちらの詳細につきましてはまた改めてブログに書きたいと思います。

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住宅ローン控除(借り換えの場合)

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

今回は住宅ローンを借り換えた時の住宅ローン控除の計算のお話です。

借り換え前の残高と借り換え額が異なる場合、通常と異なる取り扱いをする場合があります。

①借り換え前の残高より借り換え額が少ない場合(同額も含みます)

 → 従来通り借入金年末残高の数字をそのまま使用してください

②借り換え前の残高(A)より借り換え額(B)が多い場合

 → 年末残高 × A/B の調整が必要です

借り換え前より多く借りた場合にその多い部分は面倒は見ませんよ、ということです。たとえば借り換えに要する保証料・登記費用などを借り換え額に組み入れた場合にこのようなことが起きます。ですので借り換えに要した経費の部分までは住宅ローン控除の適用はできないですよということですね。

年末調整の時期です。借り換えがあった場合は十分お気を付けください。

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みなし譲渡

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

みなさんは「みなし譲渡」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。

譲渡してないのに譲渡したとみなして譲渡所得税を課税する、このことをみなし譲渡と言います。

例えば会社に自分の資産をタダであげたとします。タダであげる=贈与ですね。贈与税はもらった方に課税されます。ですのでこの場合もらった方、会社に贈与税が課税されて終わりでしょ、となりそうですが実はそうではありません。あげた方には譲渡所得税課税、もらった方には受贈益課税(もらった側が会社つまり法人ですので法人税が課税されます)となります。

理屈はこうです。あげた方にあげた時点で譲渡益課税しないと値上がり益(譲渡時の時価―買った時の値段)に対する所得税課税が永久にできなくなるからです。。。と、お聞きになっても納得いかないと思います。しかし法律がそうなっているので覚えておいてくださいというしかないところなのです。

つまり会社に自分の資産を贈与してすると譲渡所得税と法人税がダブルで課税されるという恐ろしい事態が待ち構えています(さらに同族会社ですと株主間で贈与税課税が発生する可能性があるのです)。

会社に自分の財産を移転する際には注意深く行わないと思わぬ負担が生じることがありますので十分ご注意ください。

 

東京都文京区の税理士です

生命保険料控除

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

またまた年末調整のお話です。

今回はタイトルにある通り生命保険料控除について。

生命保険料控除には大きく分けて3種類あります。

①一般の生命保険料

②介護医療保険料

③個人年金保険料

これら3種類の保険料を支払った場合にそれぞれ4万円を最高に(旧契約の場合は5万円)合計12万円まで控除を受けることができます。この時期会社から年末調整の書類書いてね、と言われ記入をされている方も多いかと思いますが、一番難易度が高いのがこの生命保険料控除の部分かなと思います。その中でも最も厄介なのが控除額の計算ではないでしょうか。説明書きがとにかく難解です。忙しい時にこんなところ読んでられないよ、という声が聞こえてきそうなところですね。一方間違いが多いのが保険料の区分に関するものです。例えば本来なら個人年金保険料の欄に書くべきものを一般の生命保険料の欄に書いてしまう、またはその逆、という間違いが多く見受けられます。ご本人の認識では確か年金で受け取るのだからこれは個人年金の欄に書くんだなあなどといったことが原因かと思います。

ここではそうした保険の種類というのはひとまず忘れてください。見ていただく箇所はただ一つです。金額が書かれている箇所の近くに「区分」欄があるかと思います。そこだけです。なお、区分欄がない場合はやはり金額の近くに「一般」「介護医療」「年金」と記載があるかと思いますのでそれが区分です。それぞれが一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料にあたるものですのでそれぞれの欄に記載をしてください。

また、もう一つ悩ましいことがあります。「証明額」と「参考または申告額」のどちらを使うかです。「参考または申告額」をご使用ください。これも非常に混乱の原因となっていますね。感覚的に証明額の方を使うのかなと思っていまいますよね。ここも注意が必要な部分です。

みなさんくれぐれもご注意を

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