親族以外に事業承継する場合の税優遇措置

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

こちらでも再三申し上げておりますが、中小企業の後継者難の解消は日本全体にとって喫緊の課題です。それに応えるべく政府も様々な支援策を検討しているようでして、経済産業省と財務省からは次のような案が出ています。

事業を承継する際には後継者に自社の株式を売却する必要が出てきますがその際に通常売却益について20%の所得税が分離課税されます(分離課税・・・他の所得と合算しないで単独で課税すること)。

経済産業省案ではこの売却益にかかる税負担を軽減・繰り延べるという措置が検討されているとのことです。これにより全オーナーの税負担を軽減し事業承継を促進する効果を得ようとするものです。

一方財務省はこの経済産業省案について税逃れにつながるのではないかと指摘し経済産業省に対し一定の条件を設定するよう求めています。

これにより経産省側では売却額を5,000千万円までとし、売却側の企業が伝統産業やサプライチェーン維持に重要な役割を果たす「地域経済に不可欠な存在」と国に認定された場合に限り優遇措置の適用を受けることができるようにするという案を出しました。

みなさんはこれをお聞きになりどう感じたでしょうか。また使い勝手の悪い制度を作ってくれそうだな、これが正直な感想です。事業承継は国の喫緊の課題だという危機感があまり感じられませんね。

こうした優遇措置にはそれなりにインパクトが必要です。これなら自分も使ってみようという動機づけを得られるようなですね。

政府のすることはたまにオーと驚くようなものもありますが通常はまたか、と失望されられることの方が多いです。

事業承継にももっとインパクトのある優遇措置を是非創設していただきたいものですね。

~今日のひとこと~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
キッザニアでは税を考える週間(毎年11月11日~17日)にあわせて昨日11日から17日まで税務署の仕事を体験できる「TAX OFFICE」を期間限定でオープンしております。ご興味のある方は是非!!
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東京都文京区の税理士です

 

 

個人保証の二重取り禁止へ

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全国銀行協会と日本商工会議所が中小企業の事業承継の際に承継元に融資している金融機関が承継元と承継先の双方から二重に個人保証を取ることを原則として禁止する指針を年内にも作成するとのことです。

後継者に個人保証を負わせるのが嫌で引継ぎを断念する経営者が多くいらっしゃいます。また後継者になろうとする方も個人保証の負担の大きさを考えて引く次のをあきらめる事例も多くあります。

ということで個人保証というのは金融機関にとっては都合のいい制度であることは間違いないのですが日本の将来のことを考えるとできればなくす方向にすべきですのでこの流れは非常に歓迎すべきところではないでしょうか。

会社の借入金から社長の個人保証をはずすということは金融機関にとっては非常にリスクが大きいことです。そこで金融機関に個人保証を外してもらうように働きかけるときに税理士の持つ役割というものは大きいです。まず何しろ会社の経理がきちんとしたものでなければなりません。要するに提出された決算書が信頼できるものではなくてはならないということです。そこは日ごろから税理士と納税者の方との間で信頼関係を構築し会社の経理の透明性、追跡可能性などを担保しなければなりません。

このように税理士の果たすべき責任は非常に大きいものがあり、またやりがいが大きいところでもありますね。

~今日のひとこと~

SOS、OKなど日常的によく使われますがとくに何かの省略形ということではないそうです。SOSは海のおける救難のモールス信号をルーツとしているとのことです。

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廃業支援で助かる道もあります

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今週もよろしくお願いいたします。

少し前の日経新聞の記事に

中小の「廃業支援」広がる

とありました。今回はそのあたりを見ていくことにします。

営業赤字に陥って数年が経つといよいよ資金繰りに窮するようになります。しかし従業員も雇用していることから事業をやめるにやめられずということで夜も眠れないほど追い込まれるなどということがあります。このようなときはもはや長期的な視点には立てず目の前の危機を乗り切るのに精一杯となり、新しいアイディアを考えるなどという余裕もありません。

このように追い込まれた会社であっても落としどころを見つけて廃業までもっていき三方みな幸せにするというのがこの廃業支援だそうです。そこであげられていた例によりますと数年前に赤字に陥り金策で神経をすり減らしていた方でいよいよ廃業を考えていた方が銀行の「廃業支援型バイアウト」事業を頼ることによって最終的には従業員の雇用を維持でき老後の資金もある程度準備できたことでご自身が満点のたたみ方だったとおっしゃられる理想的な廃業をしたというものでした(バイアウトとは日本語で買収を意味します)。

中小企業では金融機関からの借入には個人保証をつけていることがほとんどです。会社が窮地に追い込まれた場合最終的に自己破産までいってしまうなどということも少なくありません。そうなると再チャレンジしようにも様々な制約を受けてしまいます。

ですからこの「廃業支援」という事業はとても意義のあるものだと思いますのでもっと認知されて救われる方が増えたらいいなと思います。

 

~今日のひとこと~

ラグビー日本代表やりましたね。予選リーグ突破、おめでとうございます。決勝トーナメントは南アフリカと闘いますね。南アフリカは4年前の雪辱を果たそうとフルパワーでくるはずですから激戦必至ですね。まさに歴史に残る壮絶な戦い、見逃せません!!

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外食大手が地域のおいしいお店を次々と買っているそうです

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最近のM&Aの流行の一つに大手外食産業による小規模店の買収があります。「牛丼一筋~」でおなじみの吉野家、磯丸水産の運営会社、お好み焼きチェーン店の千房などなど、、、買収する側にとってはすでにその地域で出来上がっているブランド・ノウハウがあり手っ取り早い業務拡大を行える、またされる側は後継者難・受動喫煙対策への投資など単独で事業を継続するには困難な状況である、という両者の思惑が一致した形です。

こちらでも再三申し上げてきましたが小規模企業のM&Aは日本全体にとって喫緊の課題です。ですのでこのような流れは大いに歓迎するところです。とはいえ買収される側もまずは買ってもらえるだけのお店にしなくてはなりません。よって味が差別化できていることはもちろんのこと黒字を出し続けなければならないというところもなかなかハードルが高い部分ではあります。

飲食業というのはなかなか儲けるというのが難しい業種です。売上から仕入を引いたいわゆる粗利から人件費を出したらほぼ利益はゼロというところが大半ではないでしょうか。ましては都会で家賃を払いながらというのは本当に厳しいです。ですから逆に買収されるようなお店は経営者の方がとても優秀なんでしょうね。

~今日のひとこと~

吉野家の有名なキャッチコピー「うまい、やすい、はやい」が時代とともに並び替えられているのをご存知でしょうか。2005年までは「うまい、はやい、やすい」だったそうです。

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会社にお金を貯めましょう

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中小企業では「うちは退職金なんて出るかどうかわからないよ」が現状ではないでしょうか。出るにしても大企業並みの何千万円などとは望めないものです。それは社長にしても同様ではないでしょうか。日々の資金繰りに頭がいっぱいなところにそんな大金どこにあるのよ、というのが正直なところでしょう。

以前自分の会社を売れる会社にすることは社長の大きな動機づけになるのではないかというお話をしました。会社を引き継ぐ方法は何も売却することだけではありません。親族または従業員でそれらしい人がいればそれはそれで素晴らしいことです。で、そうした場合会社はそのままで社長自身は引退ということになるかと思いますが、そこでその時退職金が出せるかどうかというお話です。

例えば2千万円くらいは退職金が欲しいな、とした場合それ相応の現預金を会社に貯めておかなければなりません。退職金には当然原資となるものが必要ですし、それで資金がショートしそうだとなれば後継者が黙っていないでしょう。だから長期間にわたり計画的にお金を会社にプールする必要があります。

会社にプールする余裕があるんだったらその分その都度給与としてもらった方がいいよ、確かにそうでしょうね。何年か先にもらえるかどうかわからないもののために置いておくよりもあるときにいただいた方がいい、となるのもよくわかります。ですからそれは価値観の違いかなと思うんですね。ただ退職金を貯めるために頑張ろうというのはもう一つの動機づけになるのではないでしょうか。老後資金として2千万円が必要だという金融庁の試算もあるくらいですから老後のためのお金はやはりまとまって入ってきた方が安心です。それにその都度いただいてしまうとその都度使ってしまう可能性もありますからね。

ただ会社にお金を貯めるということはそれなりの法人税を払うことに他なりません。赤字の会社はお金を貯めることは不可能ですから。税金を払わないと会社も個人もお金は貯まらないようにできているんですね(税務署の回し者ではありませんのであしからず)。

じゃあ2千万円貯めるのに20年かけて貯めようとなると毎年100万円貯める必要があります。つまり毎年100万円の利益を出す必要があるということになります。なお、この利益は税引き後です。現在会社の実効税率はおおよそ30%と言われていますので割り戻すとおよそ140万円ほどの税引き前の利益が必要です。

退職金でもらうメリットが実はありまして税制上の優遇があるんですね。老後の生活保障という意味合いからそのような措置がとられております。ですからそれもあって退職金をお勧めしているんです。なお、その優遇措置につきましては次回とさせていただきたいと思います。もったいぶってスミマセン。

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ミニM&Aが広がっているそうです

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今朝の日経新聞の記事に「ミニM&A拡大、会社員も事業主」とありました。ミニM&Aとは年商1億円未満の企業を対象とするM&Aだそうです。このミニM&Aを運営するトランビという会社によると特徴は何といっても手数料の安さです。買い手のみが負担し、しかも成約金額の3%だそうです。記事では例としてソフトウェア開発企業が他社から英会話教室を200万円で買収したそうで、そうしますと手数料は6万円で済むことになります。このようにして今まではなかなか市場に出ることがなかった案件が日の目を見るようになったそうです。

働き方改革の一環として企業の副業解禁というものがあります。これに関連して会社員の状態でミニM&Aの買い手となるケースが増えてきているそうでして、ご自身の仕事上の経験を活かしながらリスクもさほど大きくない(成約金額の平均は200~300万円)ことからニーズが非常にあるとのことです。

このように買い手側のニーズが高まってきている一方、では売り手側の状況はどうなのでしょうか。中小企業庁によると6年後の2025年には70歳を超える中小企業の経営者が245万人にのぼるとの予測がされています。その中で買い手が買いたいと思う企業が果たしてどのくらいあるのかという問題があります。

ですから以前申し上げた通り社長には高く売れるような会社にしていただきたいのです。会社の売買というのはつまり株式の売買です。社長も保有している株が高く売れればそれだけでうれしいじゃないですか。ちょっとした退職金代わりにもなりますし、会社経営の大きな動機づけになるんじゃないでしょうか。高く売れる会社というのはズバリ利益を出し続けている会社です。利益を出し続けているということは税金も納め続けているということです。ということはそれだけ歳入が増えることになりますので国・地方公共団体も潤うはずです。それだけにこの中小企業版のM&Aのマーケットというのはいち早く充実をさせる必要があると思います。これからの日本の経済発展には欠かせない仕組みではないでしょうか。

まだまだ怪しい仲介業者も存在しています。ですからそのような業者を排除し、健全な仕組みに育てていく必要がありますね。

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サラリーマンが会社を購入

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今朝のNHKのニュース番組の中で特集としてサラリーマンが会社を購入するケースが増えてきたという趣旨の放送がありました。朝のニュース番組で特集されるくらいですからすでにそのような流れができている、そう判断して間違いなさそうですね。

成功事例としてサラリーマン時代の経験を活かし、買収する前の3倍まで売り上げを伸ばしたというものが挙げられていました。このような成功事例は買った側はもちろん売却した側もうれしいとても幸せなケースです。

一方でやはりといったところですが、売上7千万、利益が1千万円のネイルサロンを買収しようとしていた方の例ではその売上に全くの根拠がなく結果的に失敗に終わったなどという例も紹介されておりました。日本は今優れた中小企業でも後継者難による廃業に追い込まれ非常に危機的な状況にあります。そんななかでそれを解決する一つの道である個人による会社購入があります。しかし先ほどのように非常に怪しいものも少なからず存在しているのが現実です。そのようなことが志がある方を遠ざけてしまいかねないのがとても残念でなりません。

仲介業者自体が悪いのかそのような会社を売りに出す人間が悪いのかわかりません。またはグルになっている可能性もありますね。

購入者が購入するか否かの判断材料とするものには質的なもの(数字に表せないもの、優秀な社員が多い、優良な取引先が多いなど)と量的なもの(数字に表せるもの、売上・利益などの財務書類など)があると思いますが、前者はともかく後者については会計の専門家(公認会計士・税理士等)が責任をもって監査し、安心して購入者に吟味してもらう必要が絶対的にあります。そこが担保されない限り安心して買うことはできませんのでマーケットが形成されることもないでしょう。

日本の経済的な危機を救う可能性がある非常に素晴らしい仕組みだと思います。ですからこの仕組みをより確かなものに育てていく責任が会計の専門家である私たち税理士にはあるのではないかと思う次第です。

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個人が会社を買う時代?

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個人が会社を買う時代がすぐそこまで来ている、ある記事を拝見してやはりそうなんだなとあらためて思いました。

せっかくその会社にしかできない独自の技術力があるにもかかわらず後継者がいないため廃業をせざるを得ない会社が日本にはたくさんあります。そういった会社は運よく買手の目に留まり事業を継続することができればいいのですが現状ではまだまだ「運よく」ですから、そうでない限り廃業に追い込まれるケースが大多数なんでしょうね。

運よくつまり偶然ではなく必然的にそのような会社が売買されるような社会の仕組みができればとても素晴らしいと思います。廃業によりその会社に技術を必要としているところにとっては事業継続上死活問題となりかねません。一つの会社の廃業が連鎖的に他の会社に波及してしまう恐れもあるわけです。誰もが接続用にはマーケットが形成されていればそのような会社の事業が存続される可能性は今よりも格段に向上するでしょう。そうなれば社会的な意義は大きいものとなるのではないでしょうか。

従来会社を買う主体は会社でした。つまり会社が他社を買収するという形がほとんどでしたが、以前こちらでもお話したように個人がどこかの企業で働いている状態の時に買収先の会社を探してそして自らが社長となり事業を行うということが散見されるようになってきました。薬剤師の方がゼロから薬局をオープンするのではなくすでに開業している薬局を買収してそこのオーナーとなり事業を展開していくなどという事例があるようです。

ですから個人が会社を買う時代、というものがすぐそこまで来ているんです。この流れが大きいものになると先ほどのような優良企業であっても事業廃業に追い込まれてしまうような事案を少しでも無くすことことができるでしょう。

買収する側はもちろん失敗したくありませんから買おうとする会社の実力を見極める必要があります。その実力の一つが財務内容です。現預金などの流動性が高い資産がどのくらいあるのか、借入金は規模に応じているか、収益構造はきちんとしているか、などです。そしてなによりもそれらの指標を記載している書類の信ぴょう性が担保されていなければなりません。取引の根本をなす部分ですので非常に重要なことではないでしょうか。そこで普段から経理を拝見させていただいている税理士が担う役割がとても大きいと考えます。税理士はすべて経営者の側にたってものごとを判断しているわけではありません。税理士法第1条にあるように税理士の使命は「・・・独立した公正な立場において・・・」ですから、時には経営者と対立してまでも自分の信念を貫く場面が出てくるのです。そしてそのことが会社の財務書類の信ぴょう性を高めることにつながるわけですね。

税理士が経営者の都合の良いように財務書類を作成すればその信ぴょう性は失われてしまうでしょう。ですからお客様である経営者の方に対しても時には耳の痛いことを言わなければいけません。そこでもし顧問契約が解除になってしまってもかまわない、それくらいの覚悟をもって業務を行わなければなりません。非常につらいことですがそれがまさに税理士に課された使命なのです。

後半は少し脱線してしまいましたが今回は個人が会社を買う時代がそこまで来ていますよ、というお話でした。

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経営者保証なしで円滑な事業承継へ

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

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取引先企業の社長の個人保証をつけない融資が円滑な事業承継につながったと回答した地銀が5割を超えた。金融庁が先週11日に発表した調査結果です。

金融機関は従来中小企業に融資を行う場合はほぼ例外なく社長個人を連帯保証人にとっていました。以前申し上げた通り円滑な融資の実効という面では有効な部分もありましたが、それが今日本経済で最も深刻な課題である事業承継の大きな妨げになっています。なぜ妨げになるのでしょうか。それは事業承継後も旧経営陣の保証を外さず、しかも新経営陣にも保証をもとめる金融機関が多く存在したことから、事業を引き継いでもらおう、引き継ごうという方々のマインドを大きくそいでしまっていたのです。そこで関係機関が協議を行い金融庁が中心となって「経営者保証に関するガイドライン」を平成25年に作成し、個人保証に頼らない融資の仕組みを運営していこうということになりました。

それが少しずつ身を結んでいるということなのでしょうね。そこには税理士が関与する部分が非常に大きいのです。具体的には、書面添付制度の活用により税理士が担当企業の経営、経理、財務諸表等の信頼を担保し信用を付与することです。書面添付制度とは法人税申告書の付属書面として税理士が担当企業の経営、経理、決算書の作成について意見を述べるいわば陳述書を添付することを言います。この添付することにより調査が省略するなどの様々な効用があるわけですが、それだけに税理士はおいそれとは書くことのできないいわば職を賭する覚悟で作成する非常に重大なものです。私もこの制度を利用させていただいておりますが、ほかの税理士もそうだと思いますが、まず現金管理をしていただけていない会社様は書類を作成することはできません。経理体制が整っていない、会社と社長個人のお財布が一緒などの理由により、税理士が胸を張って「この会社はちゃんとしてますよ」と言えないからです。逆にそのあたりをきちんとしていただける会社様には「この会社はちゃんとしてますよ」と精一杯応援させていただいております。

経理って中小企業では後回しにされがちな部分ですが非常に重要なんですよ。

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事業承継が進まないのはなぜでしょう

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戦後の高度経済期から日本の中小企業を引っ張ってこられた経営者の方々が一般企業で言うところの定年を迎える時期にあたり今後のご自身の事業の行く末を悩まれていらっしゃる方がとても多いです。事業を誰かに引き継いでもらうかもう商売は一代限りにするのか。。。

昨年から事業承継税制が大きく変わりました。10年間限定ですが、会社を継いでもらう際に発生するであろう相続税・贈与税の負担を大幅に減らし、事業承継をスムーズにしようという制度が始まりました。これにより今まで引継ぎを躊躇されていた方々の背中を押してくれることでしょう。最近の税制改正にしてはインパクトが非常に大きいものですから大きな効果が表れることを期待しています。

せっかく利益が出て、将来にわたっても利益を生み続けるであろう事業でも後継者がいなければ継続することは不可能です。しかしながら①後継者がいても税負担の重さから引継ぎを躊躇せざるを得ない、②そもそも後継者がいない、などの理由により惜しまれつつ廃業される方はたくさんいらっしゃいます。そこで①については先ほどの新設された事業承継税制である程度ケアできるでしょう。問題は②です。そもそも後継者がいないというのは探しても見つからない場合を含みます。

そもそも中小企業の事業内容、決算内容を第三者が知る機会はほぼ0です。たとえ優良な中小企業を買収して経営者としてやっていきたいと思ってる方がいらっしゃっても目的の会社にたどり着くのは容易ではありません。こうして引き継がせたい方と引き継ぎたい方のミスマッチが解消しないまま廃業に追い込まれる、という事態になるのです。

このミスマッチをいかに解消するかが今問われています。ここに税理士の担う役割は大きいのではないかと考えるのです。仲介業者は今現在はたくさん存在しますが税理士が自分の名前で主体的に活動しているケースはあまり多くありません。買う側だって信用できる業者にお願いしたのは当然です。幸い一般的に税理士は社会的信頼性が高いといわれていますので、その期待に応えない手はありません。この分野でもっと税理士が(多少は出しゃばって)頑張って欲しいし、私自身もお役に立ちたいと思っています(少し前に同じようなお話をしておりましたが。。。)。

今税理士の役割が問われている、そう思っています。

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