高額な資産を購入した時

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

今日はこれから起業をしようという方向けのお話です。

減価償却、という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。高額な資産を購入した場合に全額がその時の経費になるわけではない、わかりやすく言うとこういうことです。

経費というのは売り上げに貢献するものだけが認められる、と以前こちらで申し上げたことがあります。これを専門用語で費用収益対応の原則といいます。この考え方の応用が減価償却です。

例えば運送業を営んでいる会社で考えます。荷物を運ぶのに車が必要です。ということは車の購入代金が売り上げに貢献しているのは明らかです。じゃあやっぱり車は購入時に全額経費にしてもいいんだね、となりそうですが実はそうではありません。売り上げに貢献しているのは確かですが当期の売り上げだけに貢献しているのではないというところがポイントです。一般的に車は毎年買い替えるものではありません。5年、10年と乗り続けていくものです。たとえば購入した車を5年間乗り続けたとすると5年分の売り上げに貢献した、と考えることができます。そうすると車の購入代金を5年で割って1年ごとに経費にしていったほうがよさそうだね、となりますよね。それがまさに減価償却の考え方です。

実際の減価償却の計算には何年乗るかどうかは実は関係がありません。税法で細かく資産ごとに何年で購入代金を案分するかが定められています(国税庁のホームページのこちらに詳細が載っています)。

ちなみに高額な資産と申しましたがいくら以上が高額かと申しますと、30万円以上です。逆に30万円未満の資産を購入した場合は全額購入時に経費にすることができます。ただしこれは青色申告の特典です。青色申告をしていない場合は10万円以上です。10万円未満の場合にのみ全額購入時に経費にできますのでご注意ください。

減価償却というのはその考え方がわかりにくいものです。ですので特にこれから起業をしようという方向けに今回取り上げてみました。

 

東京都文京区の税理士です

青色申告特別控除の適用順位について

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

今日は個人でご商売をされている方でそのご商売以外に不動産賃貸業を営んでらっしゃる方のお話です。

青色申告特別控除額には二種類あります。65万円と10万円です。65万円控除を受けるには複式簿記で記帳していること、現金主義(簡単に言うと収入した時に売上、支払いの時に経費にすることです)でないこと、申告時に貸借対照表も提出すること、などという要件を満たす必要がありますが不動産賃貸業の場合はもう一つ「事業的規模」でなければなりません。

では事業的規模とは何か、どのような基準で判断するのか。一般的には生活の糧をそこから得ているかどうかで判断すべきといわれていますが、不動産賃貸業の場合は国税庁のホームページのこちらに記載してある基準を用います。よく5棟10室基準と言われるものです。

でここからが本題です。個人でご商売(事業所得)をされている方がマンションの一室を他人に貸して家賃収入(不動産所得)を得ている場合を例に挙げて考えます。なお、この方はご商売の申告については65万円の控除を受ける要件を満たしているとします。

青色申告特別控除の適用順位は1.不動産所得 2.事業所得 と定められております。そうすると不動産所得から控除する特別控除額はいくらでしょうか。所有する不動産はマンションの一室です。そうすると事業的規模という要件を満たさないので不動産所得からは10万円しか控除できないはずですね。ところがそうではありません。事業所得の方で65万円控除を受けることができる場合、不動産所得についても65万円控除を受けることができるのです。

ただしこの言い方は誤解を生じますので、例を挙げて再度ご説明いたします。

事業所得200万円、不動産所得20万円(特別控除適用前です)とします。65万円控除はまず不動産所得から適用しますので不動産所得の20万円を限度として引くことができます。そうすると残り65-20=45万円を事業所得から引くことができるので200-45=155万円が事業所得となります。最終値は不動産所得0、事業所得155万円です。

不動産所得が事業的規模でないにもかかわらず65万円控除ができるところがミソです。結構誤解されている方がいらっしゃるので今回取り上げてみました。

 

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スシローが頑張りました

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

スシローが5日、昨日から二日間一斉休業(一部店舗を除く)

頑張ってますねー。そうは言っても二日だけでしょ。いやいやスシローほどの全国規模になると二日間の売上は単純計算で10億円近くになるそうで、それをいわば犠牲にしてまでもの一斉休業を敢行したということです。すばらしい!

このような一斉休業は今のように全国展開するようになってからは初めてだそうです。いま飲食業界は深刻な人手不足と言われております。限られた人材を奪い合うような状況なのでしょう。そうした中でいかに優秀な人材を確保するか、が一番の課題だそうでして、スシローもそうしたことから二日分の売上を犠牲にしてもおつりがくるとして今回踏み切ったのでしょう。

飲食店は人手が慢性的に不足しているため必要最小限の人数でまわしているのが現状です。そうしますとなかなか休みがとれずかつ労働時間も長くなりがちになってしまいます。だからでしょうか、厚生労働省による飲食サービス業の離職率は30%にものぼっているそうです。

そうした中スシローは現在でも12%ほどの離職率ですがこうした取り組みをすることによりさらに働きやすい環境を整備しようとしているのですね。

こうした取り組みが他のお店にも広がることを切に願います。

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フリーランスって楽しそう

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

確定申告の時期が近づくとブログでそれに関連する記事が多くみられるようになります。その中で特に面白いのがフリーランスでご自分一人で仕事をされている方の記事です。

経費の領収書・請求書、なんだかよくわからないけどお役所から来た書類、保険会社から来たハガキ(控除証明書のことだと思いますが契約の確認などというハガキが来たりしますのでそれも含まれます)などなど、様々な書類でとりあえず確定申告に使えそうなものをデスクの下の引出などに放り込んでいて、毎年2月が過ぎ3月になろうかという時期にやっと確定申告に取り掛かる、というのがどうやら一般的なフリーランス像みたいです。。。

今回はそれに対してどうこういう回ではありません(もちろん日ごろからそういった書類は整理しておき、帳簿も遅滞なく記録してくださいね、ということは申し上げておきます)。何か記事から、「この方々はこの状況を楽しんでいるな」というのが何となく伝わってくるんですよ、ということが言いたかったのです。

何をのんきなことを言ってるんだ、本当に大変なんだから、、、という声が聞こえてきそうですが、要するにそういう大変な状況もひっくるめてフリーランスの方々はフリーランスという立場を楽しんでらっしゃるんだなって思えるんですよね。

私もフリーランスの端くれですので気持ちはよくわかります。楽しんですよね、フリーランスって。まさに自由なんです。それだけに責任は半端ではありません。だから楽しさと不安が同居する不思議な感じです。

3月15日までもう1か月半ありませんが、とりあえず確定申告頑張ってください。でも、どうしてもダメそうだ、というときは専門家に頼ってみてくださいね。

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金の密輸?

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

今週もよろしくお願いいたします。

先週のことですがニュースで「金を密輸したとして男が逮捕されました」とありました。この金の密輸って何が問題なのでしょうか。密輸で思い出されるのが覚せい剤などの禁止薬物ですね。でも金はもちろん禁止薬物ではありません。何が問題なのでしょう。

実は消費税法・関税法などの法令に違反するのです。金を密輸した時の罰則がそれぞれの法律で定められております。このうち消費税法について見ていきましょう。

保税地域から課税貨物を引き取る際には消費税が課税される(消費税法47条、50条)。。。

すみません、いきなり専門用語の連発で。これを意訳しますと「外国から物品を輸入する際にはその物品に対し消費税が課税される」、となります。外国から商品を日本に持ち込むとその持ち込んだ時点で消費税を納めなければなりません。どこに?税関です。税関にこうこうこういうものを持ち込みますよと申告し、それに対する消費税を同時に納付する、というのが原則的な流れです。物品には当然金も含まれます。

これが金の密輸とどう関係があるか。納める消費税というのはその物品の経済的価値(課税標準)に消費税率を乗じて計算します。金というのはとくにその経済的価値が高いのでそこにかかる消費税も当然高くなります。そうすると悪いことを考える輩はその高い消費税を払わないようにするにはどうすればいいか考えるわけです。そこで税関で見つからないように金を隠し持って日本国内に入国することにしたのです。そうすれば金にかかる消費税を納付する義務を免れることになります(もちろん違法に)。そして日本国内で金を売却すれば少なくとも消費税の分は丸々利益になる、というわけです。

ちなみに消費税法では金を密輸した場合は十年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金、またはこの両方が科されます(消費税法64条)。

 

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住宅購入資金を贈与した場合の贈与税の非課税

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

お子様またはお孫さんが住宅を購入する際の資金を親御さんまたは祖父母が援助した場合には一定額(一般の場合700万円、省エネ住宅など一定の住宅の場合は1,200万円)まで贈与税がかかりません、という特例規定があります。

相続対策としても非常に有用な制度です。ですから受けるためには税務署にきちんと申告しなければなりません。今日2月1日から3月15日までが申告期間ですので期限までに必ず申告してください。期限までというのが非常に重要です。なお、ご用意する書類は通常

①戸籍謄本(親族関係を証明するためです)

②住宅の謄本(登記事項証明書)

登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅に適用されますのでその証明のため。契約書に書いてある床面積ではありませんのでくれぐれもご注意ください。

③売買契約書の写し

の3つです。

今日から贈与税の申告期間が開始しましたので今回お話しました。期限内申告を是非お願いいたします。

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創業時に気を付けること

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

今日は以前お話した創業時に経理で気を付けなければならないことの続きです。

最優先事項は現金管理です。以前にもこちらで申し上げました。現金管理は過去には戻れません。ですからはじめが肝心です。これだけしていれば経理の9割はできたといっても過言ではありません、と何度も申し上げておりますが本当に重要なのでまたまた申し上げました。それから

①領収書の整理

→ 支払い手段別にかつ日付順に整理することをお勧めします。特に現金出納帳との突合が迅速にできるように現金支配の経費の領収書を日付順に例えばスクラップブックに貼り付けていただくといいですね。とにかく現金は漏れ・ミス(まれに不正)などが起きやすいのでそのようにしていただき常にチェックをしてください。

②領収書の裏側に細目を記載する

→ 領収書などの裏側は通常空白です。そこに後でわかるように支払いの内容(表に書いていない場合ですね)を記入します。ここで特に重要なのは飲食です。飲食の領収書の裏には必ず同席者の氏名を記載してください。あとで監査をするときに(税理士または税務署などが)福利厚生費になるのか会議費になるのか交際費になるのかそもそも経費にならないのか、を判断する材料となります。この記載がないと判断のしようがありませんので経費と認められない可能性があります。ですから非常に重要なことなんです。

とりあえずはこの2点だけお願いします。これらは過去に遡れませんので(②は遡ろうと思えばできますが記憶があいまいになる危険性がありますので支払から日にちが経たないうちにすべきでしょう)、創業時から待ったなしです。

経理の仕組みを作るには、などといったことはネットで調べると色々な方が仰っているようです。ところがそもそも何が重要かという視点が欠けているようなものも見受けられますので今回取り上げてみました。

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相続が起きた時にあわてずに

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

相続が起きた時、つまり親族がお亡くなりになった時のお話です。

相続税の申告が必要か否か、どうやって判断するのでしょうか。相続税法では被相続人(亡くなった方)の相続財産の合計額(相続税法に則って評価した金額)が基礎控除以下である場合は申告不要、と規定されています。ということで考えることは二つです。

①基礎控除額=3千万円 + 600万円 × 法定相続人の数

例)法定相続人が妻、子供二人の場合 3,000 + 600×3 = 4,800万円 です。

※法定相続人の数につきましては以前こちらでお話しましたのでそちらをご参照ください。

②相続財産の合計額

②について見ていきましょう。まずは②が基礎控除額以下かどうかまずざっと見積もる必要があります。一番多いパターンとしては(1)現預金(2)自宅が相続財産のすべてだと思われます。それぞれの財産について金額を見積もるときに必要になるものは、、、

(1)現預金は金額ズバリが相続税法上の財産の金額になります。そこで特に預金につきましてはまず知りうる範囲でよいので口座があったであろう金融機関に残高を照会していただく必要があります。

(2)自宅、すなわち土地と建物は相続税法で定められた一定の方法により計算した金額が財産の金額になります。

土地は通常は 路線価×地積 で計算します。路線価は国税庁のこちらのホームページをご参照ください。地積はざっとでしたら巻き尺でおうちの周りを計測して本当にざっとでいいので計算してみてください。これで土地のおおよその金額がわかります。なお、マンション等の集合住宅ですと一番いいのが購入時の契約書をご覧いただくことです。そちらに書いてありますからね。それが見当たらないようですとお近くの登記所に出向いていただきご自宅の地積を調べていただくことになります。謄本には全体の面積と持分が書いてありますのでそれぞれを乗じていただくと計算することができます。

建物は通常は固定資産税評価額がそのまま相続税法上の財産の金額となります。ではそれを調べるにはどうしたらいいか。お住いの市町村(都内の場合は管轄の都税事務所)で固定資産評価証明書をとってください。そちらに記載がありますので。

このようにしてざっとでは相続財産の総額を見積もることができます。その金額が基礎控除を超える、またはギリギリの場合には今度は精密な計算が必要になりますので税理士などの専門家に依頼していただくのがよろしいかと思います。

 

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確定申告は不要でも住民税の申告は必要です

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

「雑所得が20万円以下であれば確定申告不要」

副業が盛んになり始めた昨今、このような言葉をお聞きになったことがある方も多いかと思います。副業といってまず思い浮かぶのがブログ収入、せどりの利益などでしょうか。これらは生活の糧である給与収入を補完するものであり規模も比較的小さいことから雑所得に区分されるのが通常です。ちなみにせどりの場合の雑所得はせどりの売上ではありません。雑「所得」ですから利益つまり売上-(仕入+諸経費)ですね。

このような雑所得は20万円以下であれば確定申告不要、確かにそのような規定はあります。ただし、給与所得者つまり会社勤めの方で年末調整により所得がその年の所得が確定している方に限ります。また医療費控除、住宅ローン控除を受けるため確定申告をする方は20万円以下でも雑所得を申告する必要がありますのでご注意ください。

さらにさらに、住民税にはこのような申告不要などという規定はありません。ということは確定申告は不要ですが住民税の申告は必要となります。これはすごい落とし穴だと思います。なぜ住民税にもこのような規定を設けなかったのでしょうか。申告不要の規定は納税者の利便性を図るという大きな役割があるはずなのに住民税の方だけは申告してね、はあまりにもひどくないですか。

ということでみなさん、規定がそうなっている以上仕方がありません。充分ご注意ください。

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起業に際して困ること

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。

起業をした方の体験談を読む機会があって、そのなかで起業に際し苦労したことを2つ挙げてらっしゃいました。

1つは起業に際し遵守すべき各種法令を学ばなければいけないことでした。例えば飲食店を開業しようとする方は保健所への届出、食品衛生責任者の資格の取得などが必要、といった具合にですね。

そして2つ目が帳簿の付け方だそうです。商売を始める以上帳簿を付けるのは絶対的に必要なことです。特に青色申告の特典を受けるには一定水準以上の帳簿を備え付けなければならないことは以前お話したとおりです。

帳簿とは総勘定元帳、補助簿、仕訳帳、現金出納帳、預金帳、売掛台帳、仕入台帳、等々です。これらの帳簿は正規の簿記の原則に従って(要するに簿記のルールに則ってくださいねということです)記帳されなければなりません。そうです、独自のルールにもとづいて記帳してもそれは正しいものではないですよということになります。

それはなぜでしょう。帳簿を備え付けるのは

①税務上、帳簿の備え付けが義務付けられているため。そもそもなぜ義務付けられているかというと簿記のルールに従って記帳することで帳簿の追跡可能性(トレーサビリティ)を担保し、取引の正確性・妥当性を検証するためです。ですから簿記のルールに従うことが絶対条件となるのです。

②第三者に訴えられたときまたは訴えるときに帳簿が有力な証拠になり得るから

③自身で特定の取引をたとえば過去にさかのぼって確認したいときに必要となるから

これらの理由から帳簿の備え付けが必要となります。そしてそれらは簿記のルールに従って記帳されなければなりません。

その方はこのようにもおっしゃっていました。簿記は義務教育化すべきだと。まさにそうだと思います。日本はまだまだ起業率が他の先進国と比べると低いそうですがその要因の一つに帳簿の備え付けというハードルがあるのではないでしょうか。ご自分ではやり方がわからず結局税理士等の専門家にすべて任せるなどということになってしまっているようですが、そもそも帳簿をつけるのは税理士の仕事ではなく納税者ご自身で行わなければならないことなんですね。税理士はあくまでその納税者の付けた帳簿を監査するというのが本来の仕事のはずですから。

簿記の知識を広めていくのは会計の専門家である税理士の社会的使命の一つであると前々から思っていますので何かお役に立てたらいいなあといろいろ企てております。

東京都文京区の税理士です