みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
今回は立ち退き料をもらった時にどのようにして課税されるのかというお話です。
不動産の賃貸物件の借主は借地借家法などの法律によりその権利が手厚く保護されています。借りている物件が生活・事業に書くことのできない重要なものである場合がほとんどであり、その権利関係が不安定であると国民の生活に重大な影響を及ぼすからですね。
ということで今現在では貸主の都合で借主に、はい出ていってください、などということは通常は不可能です。
でも貸主にもやむにやまれぬ事情が生じどうしても店子に出ていってもらわないといけない事態が起こり得ます。
そのような場合にはそれ相応の立ち退き料を貸主側が借主へ支払うことになりますが、その借主がもらった立ち退き料は税務上どのように課税されるのでしょうか。なお、貸主が個人の場合を前提とします。
基本的には一時所得となります。しかしながら以下のものに該当した場合、その該当する部分はそれぞれに定める所得区分となります(以下は国税庁ホームページより)。
①資産の消滅の対価補償としての性格のもの
家屋の明渡しによって消滅する権利の対価の額に相当する金額
→ 譲渡所得の収入金額となります。
②収入金額又は必要経費の補填としての性格のもの
立ち退きに伴って、その家屋で行っていた事業の休業等による収入金額又は必要
経費を補填する金額
→ 事業所得等の収入金額となります。
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②はわかるとしても①はどの部分がそうなのか非常にわかりにくいです。支払う側立ち退き料として一括で支払うのが通常ですので、その中から性質に応じて所得を区分けするという作業はとても難しいのが実情です。
ですから受け取った側は支払者側にその金額の根拠を教えてもらい、どの部分が①に該当するのかを検討する必要があります。
ここが所得税の難しいところです。これらの所得区分はいずれも最終的に総合課税されますので(①の譲渡所得も土地建物のような分離課税ではなく総合課税です!)区分はどうでもいいのではないかというところですがそうではありません。
譲渡所得(総合)は特別控除が50万円ありますし、長期であれば1/2をしたものが課税所得となるからです。
一時所得についても特別控除が50万円あり、その控除後の金額の1/2が課税職となります。
このように所得区分を誤ってしまうと最終税額が間違ったものとなりかねない計算構造になっているので区分が非常に重要だということですね。
ちなみにこの立ち退き料は消費税の課税対象外取引です。