みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
この時期会社から配布された年末調整の書類を記入している方も多いかと思います。その際、疑問に思われたことは無いでしょうか。
今回の年末調整で記載する書類は最大で3種類です。扶養控除等申告書、配偶者控除等申告書、保険料控除申告書の3つですね。
このうち配偶者控除、保険料控除の申告書はタイトルが令和元年分となっていますがそれに対し扶養控除等申告書は令和2年分となっていると思います。
翌年1月からの源泉徴収税額の正確な計算の必要のため通常この時期に翌年分の扶養控除等申告書を記載していただいているわけですが、この申告書は翌年から適用される所得税に関する税制改正をいわば先取りしているんですね。
例えば今回のケースでは記載時は令和元年ですが、記載する書類は令和2年分ですので令和2年から適用される所得税法に則った形式が採用されているのです。
そこでお気づきになった方もいらっしゃると思いますが裏面の注意書きに例えば扶養親族の判定の金額を見ると所得の見積額が48万円以下と記載があります。あれ38万円じゃなかったかな?
それこそが実は令和2年から適用される所得税法の大きな改正点なんです。ポイントは2つ。
①基礎控除が38→48万円
②給与所得控除が10万円ダウン
このことにより給与所得者については基本的には令和元年と比較して税負担に違いはありません。例えば年収103万円の方の場合の所得は
103-55=48万円
です。しかしながら税金を計算する場合にそこから引くことができる基礎控除は48万円になりますので
48-48=0
となり、税金の対象となる所得(課税所得と言います)は0ですから所得税も0円となります。
扶養親族とはすなわち所得が基礎控除以下の所得税の負担がない方という意味だったのですね。
ということで扶養になるかどうかの判定は年収ベースでは今まで通り103万円が目安ですが所得と言い換えたとたん48万円となりますので混乱が生じないようご注意ください。