憲法第84条 租税法律主義

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

前々回で少しお話しました憲法第84条(租税法律主義)を今回は取り上げます。

憲法第84条「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」

税金を課税するには法律で条件を定めなさい。聞く人によっては当たり前でしょ思う方もいらっしゃることでしょうがその当たり前のことを憲法できちんと規定していることが重要なのだと思います。

もしもこの規定がなかった時のことを考えてみましょう。例えば今日から成人一人当たり月100万円の成人税を課税するなどと突然の発表があるかもしれません。税金を課税するには法律で定めなければならない、とはどこにも書いてないからです。もちろん実際にそんなことをしたら大混乱になりますのでしないでしょうが理論上は可能ですから国民からしたらいつそのようなことになるかもしれないとびくびくしながら生活しなければなりません。それはあってはならないことですのでこの憲法84条の規定は歯止めになる非常に重要な規定であるといえます。

租税法の分野で誰しもが存じ上げている金子宏先生によりますと憲法第84条租税法律主義が要請している内容は具体的に

①課税要件法定主義

②課税要件明確主義

③合法性の原則

④手続的保証原則

の4つであるとおっしゃられております(金子宏「租税法」)。課税の条件を法律で定め、その定め方は明確でなければならない。そして課税は法律に則った手続きで行われなければならないということです。②につきましては必ずしも明確でない場合があり、条文の解釈をめぐり裁判等で争われることが往々にしてあるところではありますが。

ちなみに税理士であれば金子宏先生の名は知らない人はいないというくらい非常に著名な先生です。税法の勉強をするときには必ず登場する神様みたいな方ですからみなさんもこの機会に先生の名前を覚えていただけたらなあと思います。

今週もご覧いただきまして誠にありがとうございました。

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予実管理をしていますか

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予実管理とは目標値としての予算と実績値とを比較することにより目標の達成度合いを見たり両者の差異がどこから生じたかを分析することを言います。会社の状況を把握し必要な場合には軌道修正するなどのためにとても重要な作業ですがその前提として予算を組むという作業が必要であり現実にはできているケースは少ないようです。

一般に予算はまず売り上げの予測を立ててそこに経費の見積もりを当てはめて利益を予測するという段取りを踏みます。しかしながら業種によってはその売上の予測が難しいことがあります。特に売上が受注で立つような業種ではその受注予測をすることによって今後の売上を予測するのですがその受注予測がなかなか難しい場合があります。創業間もないあまり実績のない会社ではなおさらでしょう。

そのような場合には利益を先に設定し経費を見積もってから必要な売上を求めるという方法があります。利益は例えば前年比150%、のように目標値を設定します。次に経費ですが、会社に大きな変動がない限りはそれほど毎年の変動が大きくないことが一般的ですので比較的見積もりが簡単です。前年までの実績値を使うことができますからね。その実績値を見ながら費目ごとに調整をしていけばいいわけです。例えば今期は新たに一人採用するつもりだから給与が500万円増えるなとか遠隔地へ積極的に営業をしていこうとなれば旅費交通費を例えば前年比120%で見積もるとかですね。

利益と経費が見えてくれば必要な売上は自動的に算出されることになります。あとは月次の売上の推移をみながら目標の利益を確保できるかどうかを逐次検討していくことになります。

予算というとちょっと敷居が高いなと思われる方が多いかもしれませんがこのようにやれば意外と難しくないなということがお分かりいただけるのではないでしょうか。そしてそれが軌道に乗ればその会社に応じたよりよい仕組みに変えていくことができることでしょう。

 

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土地・建物の売却損の取り扱い

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今回は土地及び建物を売却した際の損失についてその取り扱いを見ていくことにします。

個人が土地及び建物を売却した際の税金の計算は分離課税と申しまして他の所得(給与所得・事業所得など)と通算せずに単独で行います。分離課税というのは儲けが出た時だけではなく損失を被った場合にもその損失は他の所得と通算しないということです。損失つまり赤字の場合は通算というより相殺しないという表現の方がわかりやすいかもしれません。他の所得の黒字と土地建物の譲渡損失は相殺しないということです。

一方、法人ですと他の所得と通算され法人税の計算を行います。そもそも法人の場合は通算という概念自体がないんですね。ですから会社の本業での黒字と土地建物を譲渡した時の赤字は当然のごとく通算されたうえで法人税が計算されます。

両者を比較しますと明らかに個人での取り扱いの方が不利です。赤字が出ても切り捨てられて終わりだからですね。このことから不動産の名義を個人と法人のどちらにするのかという議論の時の判断材料の一つになることが多いです。

なお、この規定の成立の経緯により規定の合憲性について争われた裁判があります。ここでは詳細については触れませんが例えば最高裁平成23年9月22日第一小法廷判決があります。施行日が平成16年4月1日であるにもかかわらず平成16年1月1日以降の譲渡について適用するといういわゆる遡及適用について憲法84条(租税法律主義)に違反していないかを争った事案です。ちなみに結論は憲法違反ではなかった、でした。

税金に与えるインパクトが非常に大きな規定ですのでもしご存知なかった方はこれを機会に是非覚えておいてください。

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財産を遺さないという考え方もあるのではないでしょうか

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相続対策、相続税対策。いろんな情報が巷に溢れています。そんな中私が考える究極の対策は財産を遺さないことです。極端なことを申し上げると生きているうちに財産を使い切ってください。

とは言え、それは本当に極端すぎます。人はいつ亡くなるか分かりませんから亡くなる前に使い切ってしまうなどということがあると大変です。ですから相続税がかからない範囲内のお金を残しておくというのも有効な手段ではないでしょうか。

ここで相続税がかからない範囲内について見ていくことにします。相続税は生前財産の合計が基礎控除を超えた場合その超えた部分に対しかかります。ということは財産の合計が基礎控除以下であれば相続税がかからないということになりますね。この基礎控除ですが被相続人(亡くなった方)ごとに次の算式により決まります。

基礎控除 = 3千万円 + 600万円 × 法定相続人の数

法定相続人の数についてはこちらで既にお話したことがありますが通常は相続人の数です(相続の放棄があった場合、相続人の養子がいる場合に相続人の数と異なることがあります)。被相続人に奥様とお子さんがお二人いらっしゃる場合(相続の放棄がなく、お子さんは実子とします)には法定相続人の数は3人ですからこの場合の基礎控除は

3千万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円

ですね。ご自宅の相続税評価額が3千万円だとして他に財産が現預金のみだとすると1,800万円までは手元に置いておいても相続税がかからない計算になります。

なお、実際にはご自宅については小規模宅地等の特例を受けられれば土地部分のみですが最大で評価額が80%軽減されますので例えば土地分の評価額が2千万円とすると最大で1,600万円が軽減されることになります。そうしますと

土地(400万円)+建物(1,000万円)=1,400万円

ですので

4,800万円 - 1,400万円 = 3,400万円

これだけ預貯金を手元に置いていても相続税がかからない計算になります。ただし小規模宅地等の特例の適用を受けるには相続税の申告が必要となりますのでご注意を。

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私も科目合格者でした

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今週もよろしくお願いいたします。

税理士試験の制度上大きな特徴として挙げられるのが科目合格制です。11科目あるうちから5科目に合格すれば最終合格者となります。その5科目は一度に合格する必要はなく例えば合格科目を1年に一つずつ積み上げて5年で5科目合格するなどということもよくあります。一度合格した科目は合格の有効期限はありませんので再び受験することは通常はありません(制度上は受けることができたりしますが)。

そんな税理士試験でも何年かに一度は一回の試験で5科目全部に合格するというとんでもない受験生がいます。これはちょっとしたニュースになるくらいですから逆に言うとかなり珍しいということですね。ということは税理士試験を合格して税理士となった税理士はほとんどの方が科目合格者という立場を経験していることになります。私もその例に漏れることなく科目合格者を経験しております。

この科目合格者という立場ですが、税理士界隈においてはそれなりに評価される存在であります。特に最難関である法人税法に合格済みですと一目置かれるようです。私も受験生時代に試験に関する情報を目にする際肩書に「合格科目:法人税法」と書かれている方を目にするとすごいなうらやましいななどと思ったものです。しかしながら自分がいざその法人税法に合格してみるともちろんうれしさはありましたがそれよりもまだ合格しなければならない試験がありましたのでそちらを合格しなければならないという思いに頭がすぐ切り替わったのを覚えています。ちなみに私は最後に相続税法に合格し最終合格者となりました。

今まさにそのような立場におられる方もたくさんいらっしゃると思います。どうか最終合格を勝ち取られますよう頑張ってください。

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住宅ローン控除ではここに注意してください

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住宅ローン控除は所得税の税額控除の一つです。似たような言葉に所得控除がありますがこちらは所得から一定額を控除するものです。同じ20万円の適用があるとした場合に税金によりインパクトを与えるのは税額控除の方です。税額控除は先ほどの例ですと税金から20万円を控除するものです。平たく言えば20万円安くなるということですね。それに対して所得控除はやはり先ほどの例ですと所得から20万円を控除するものです。そしてこの20万円に個々の所得税率を乗じた分だけ税金にインパクトを与えることになりますから所得税率が100%を超えない限り税額控除の方がよりお得ですね、という理屈です。

このように住宅ローン控除は節税効果が非常に大きいものですので適用が可能であれば必ず受けられるようにしましょう。今は多くの会社が住宅の購入時に住宅ローン控除の説明をしどのような書類が必要かというのを教えてくれますのでその指示通りにしていただければそれほど難しいものではありません。仮に教えてくれないようでしたら例えば税務署の無料電話相談などもありますのでそちらもご利用になると良いのではないでしょうか。

なお、この住宅ローン控除ですがいくつか注意をしなくてはいけない点がありますが特に後からではどうしようもないものがあります。それは床面積要件です。床面積が50㎡以上でないと受けることができません。これ意外と落とし穴なんですね。なぜか。

この床面積は登記簿上のもので判定します。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが物件の販売の際のパンフレットの床面積と登記簿上の床面積はほとんどの場合異なっており、登記簿上のものの方が小さいのがほとんどです。これはパンフレットの床面積が壁芯つまり壁の真ん中で床面積を測っているものを載せているのに対し登記簿上の床面積は内法つまり壁の一番内側で床面積を測っているものを載せているためです。

ですからパンフレットの床面積が50㎡に近いものは登記簿上の床面積が50㎡を下回る可能性がないとも言えません。そしてもしも下回った場合には住宅ローン控除を受けることができなくなりますのでご購入の際には業者に確認するなどしてどうか十分ご注意ください。

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マンションを古民家風にリフォーム

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昔からの夢の一つに古民家に住んでみたいということがあります。ただし実際には古民家風の家という表現の方が正しいです。古いマンションを古民家風にリフォームをしてそこに住む、なんとも贅沢ですね。都会にいながら自然を感じられる生活ができるのですからまさにいいとこどりですね。

ですからテレビの番組表に古民家やリフォームといった言葉を見つけたらすぐさま録画予約をしてしまうんです。いつになるか分かりませんがいつかは実現できたらいいなと妄想にふけっています。

ところでその住居リフォームですが税務上論点となるものがいくつかありますので以下で見ていくことにします。

①贈与税

所有者とリフォーム代の負担者が異なる場合にリフォーム代負担者から所有者へ贈与税が課税されることがあります。ただし住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例を適用できれば今年(令和元年)9月末までは700万円(一定の場合は1,200万円)まで贈与税の課税を受けないようにすることができます。

②所得税・法人税

自己所有の賃貸物件のリフォームをした場合(もともと自宅だったものを貸し出そうとする場合を含みます)にはリフォームに要した費用が即時に支出年度の経費となるわけではなく、一定の部分を減価償却費として複数年にわたって経費化しなければならない場合があります。

③所得税

リフォーム代についてローンを組んだ場合に住宅ローン控除の適用がある可能性があります。

所有物件をリフォームされた際はこのような点にご注意ください。

 

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小規模企業にとっての均等割という税金

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みなさん、均等割という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。単に均等割というと色々な意味があります。法人住民税、個人住民税、国民健康保険料などでこの言葉が出てきますが通常は均等割というと法人住民税における均等割を指すことがほとんどです。

この均等割、会社の決算が赤字でも納めなければならないものです。俗に言う場所代とかゴミ処理代とか言われているものでして赤字でも活動している以上何らかの行政サービスを受けているでしょ、ということで課税されているといわれております。

なお、法人の税金(決算時)は大きく2つに分けることができます。

①国税

法人税、地方法人税、消費税

②地方税

法人住民税(都道府県民税、市町村民税)、法人事業税、地方消費税

法人住民税は利益に比例して課税されるものと利益に関係なく一定額が課税されるものがあり後者を均等割と言います。この均等割はいくらくらいなのでしょうか。

東京都を例にとりますと東京都では資本金と従業員数によってその金額が決まります(こちらの「Q1均等割の税率を教えてください」の回答にある均等割の税率表をご参照ください)。そちらを見ますと資本金が1千万円以下で従業員数が50人以下の会社では7万円です。これが最低ラインですのでどんなに小規模な会社でも年間で7万円の税金がかかるということになります。

このことにより法人か個人かを議論するうえで法人化した場合この7万円を上回る節税効果があるかないかが一つの判断材料になりますのでご参考にしていただけたらと思います。

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コシノジュンコさん 日経新聞「私の履歴書」から

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日経新聞の最終頁に毎日連載されている私の履歴書、ご存知の方も多いのではないでしょうか。私も楽しみにしているうちの一人です。各界の著名な方が月替わりで登場するこのコーナーの今月はファッションデザイナーのコシノジュンコさんです。幼少の頃からの波瀾万丈のご自身の半生を毎日楽しく時にはしんみりと拝見させていただいております。

今日8月20日の記事の内容です。運命的な出会いをされた方とご結婚をされたというお話でしたがそのお相手が簿記や財務に明るい方でご自身の会社の経理を任せることのでき人生が大きく変わったとおっしゃっておられました。そして最後に「お金を巡るゴタゴタとは無縁になり、デザイナーの仕事により集中できる環境が整った」という言葉で締めくくられておりました。

私は事務所のホームページの冒頭で「古見裕税理士事務所はお客様に本業に専念していただけるよう、サポートすることを使命と考えます。」と申し上げております。先ほどの記事を拝見して、まさにそういうことなんですよ!!と心の中で思いました。世の中にはご自身の恵まれた才能を活かし独立をされて頑張っておられる方がたくさんいらっしゃいます。しかしながら経営というのは本業以外の雑務も多いのが実情でしてそこに時間を費やさざるを得ない場合も多々あります。実にもったいない、そう思うんですね。ですから専門家または信頼できる仲間にそういう部分は任せていただきご自身の才能をいかんなく発揮していただきたい、そう強く願っております。

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領収書はちゃんとしたものでお願いします

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

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先日あるお店で買い物をしたときのことです。その時は気が付かなかったのですが後でレシートをよく見てみるとお店の名前が書いてありませんでした。お店の名前も電話番号もなかったのです。そこでは個人的な買い物でしたので「ふーん、ここのレシートはお店の名前が書いてないのか」で終わりましたが税務上は問題ありです。

先日こちらで消費税の仕入税額控除のお話をしましたがそこで適用対象となるには領収書等にお店の名前が記載されていること、と述べました。ですから先ほどのようなものではその適用要件を満たさないことになります。そこのお店で購入したものについて仕入税額控除を適用しようと考えたお客さんはそれができないことになりますのでそういった意味で迷惑をかけてしまうことになります。

もちろん購入者側にも注意義務ではないですが税法上の優遇規定を適用するからには領収書等がきちんとしているかどうかを確認する必要があるのでしょうがそれをお客さんの側に課すのはやはりお店としてやってはいけないことなのではないかなと思います。

税務調査等でその点を指摘され仕入税額控除の適用が否認された場合追徴課税され場合によっては加算税も科されますのでお店はちゃんとした領収書等を発行する義務(といいますか責任)があるのではないでしょうか。

東京都文京区の税理士です