みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
今週もよろしくお願いいたします。
法人と違って個人事業主のみが意識しなければならないものがあります。それは源泉徴収です。法人が他者からいただく売上について基本的に所得税が天引きされることはありません。しかしながら個人事業の場合には売上から所得税が天引きされる場合があります。それを意識しないと資金繰りに影響が出てきてしまう、そういうお話です。
所得税法第204条に対象となる職種が限定列挙されていて、それにあてはまる売上については支払者側で所得税を天引きする義務があります。これを怠った場合には支払者側に源泉徴収義務違反による一定のペナルティが科せられてしまいます。
では天引きされる所得税は果たしてどのくらいか。基本的には支払額の10%です(現時点ではこれに復興所得税の0.21%が加算されます)。該当の職種の方はこの10%が天引きされるということを是非頭に入れておいてください。そうしないと月々の資金繰りがおかしなことになりますから。特に予算を組むときには注意が必要となります。
ちなみにこの天引きされた所得税は天引きされたままなのかというとそうではありません。翌年の確定申告時に支払う所得税の前払いとしての性質を有しております。ですから確定申告時に清算されるのです。具体的にはこうです。1年間の天引きされた所得税が100万円、確定申告時に納めるべき所得税が60万円だとすると40万円が前払いし過ぎだったということで申告することにより税務署から還付されます。ですから税務署からの還付金って何か得した気分になりますが実はそうではありません。このようにご自身が払ったものが戻ってきただけですからね。
法人化することにより所得税の天引きから解放されますので毎月の資金繰りがそれだけ楽になります。そういった視点で法人化を検討するのも職種によってはあるんですね。