みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
中小企業では「うちは退職金なんて出るかどうかわからないよ」が現状ではないでしょうか。出るにしても大企業並みの何千万円などとは望めないものです。それは社長にしても同様ではないでしょうか。日々の資金繰りに頭がいっぱいなところにそんな大金どこにあるのよ、というのが正直なところでしょう。
以前自分の会社を売れる会社にすることは社長の大きな動機づけになるのではないかというお話をしました。会社を引き継ぐ方法は何も売却することだけではありません。親族または従業員でそれらしい人がいればそれはそれで素晴らしいことです。で、そうした場合会社はそのままで社長自身は引退ということになるかと思いますが、そこでその時退職金が出せるかどうかというお話です。
例えば2千万円くらいは退職金が欲しいな、とした場合それ相応の現預金を会社に貯めておかなければなりません。退職金には当然原資となるものが必要ですし、それで資金がショートしそうだとなれば後継者が黙っていないでしょう。だから長期間にわたり計画的にお金を会社にプールする必要があります。
会社にプールする余裕があるんだったらその分その都度給与としてもらった方がいいよ、確かにそうでしょうね。何年か先にもらえるかどうかわからないもののために置いておくよりもあるときにいただいた方がいい、となるのもよくわかります。ですからそれは価値観の違いかなと思うんですね。ただ退職金を貯めるために頑張ろうというのはもう一つの動機づけになるのではないでしょうか。老後資金として2千万円が必要だという金融庁の試算もあるくらいですから老後のためのお金はやはりまとまって入ってきた方が安心です。それにその都度いただいてしまうとその都度使ってしまう可能性もありますからね。
ただ会社にお金を貯めるということはそれなりの法人税を払うことに他なりません。赤字の会社はお金を貯めることは不可能ですから。税金を払わないと会社も個人もお金は貯まらないようにできているんですね(税務署の回し者ではありませんのであしからず)。
じゃあ2千万円貯めるのに20年かけて貯めようとなると毎年100万円貯める必要があります。つまり毎年100万円の利益を出す必要があるということになります。なお、この利益は税引き後です。現在会社の実効税率はおおよそ30%と言われていますので割り戻すとおよそ140万円ほどの税引き前の利益が必要です。
退職金でもらうメリットが実はありまして税制上の優遇があるんですね。老後の生活保障という意味合いからそのような措置がとられております。ですからそれもあって退職金をお勧めしているんです。なお、その優遇措置につきましては次回とさせていただきたいと思います。もったいぶってスミマセン。