みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
今週もよろしくお願いいたします。
今回は相続税法上の養子の取り扱いについて見ていくことにいたします。養子は当然に相続人となる、これで終わりなら良いんですが話はそう単純ではありません。
①相続税の総額を計算する時に法定相続人としてカウントされる養子の数が制限される
②基礎控除の計算の基礎とされる法定相続人の数に算入される養子の数が制限される
③孫養子は代襲相続人でない限り相続税の2割加算の適用あり
①は先日お話した相続税の計算過程についての規定です。相続税はまず相続財産の合計を法定相続人が法定相続分で分割、取得したものとして各人ごとの相続税を計算し、その合計をしたもの(相続税の総額)を実際の分割割合で按分するのでした。この法定相続人が、の部分に一定の制限がかかります。この制限をかけないとどうなるか。この場合の法定相続人にカウントする養子を無制限に認めてしまうと各人ごとの相続財産が限りなく少なくなります。そうしますと相続税の総額が少なくなってしまい、租税回避がいとも簡単にできてしまいますね。ですから制限をかける必要があります。具体的な規定については後ほどお話いたします。
②基礎控除は3千万円+600万円×法定相続人の数 で計算されます。この法定相続人の数に算入される養子の数に一定の制限がかかります。制限をかけることにより基礎控除を無制限に引き上げていたずらに租税を回避することを防止しています。
③は先日お話したとおりです。
①と②に共通する制限規定としては次の通りです。
(1)実子が既にいる場合
①の法定相続人、②の法定相続人の数としてカウントされる養子の数は一人
(2)実子がなく養子が二人以上の場合
二人
養子を何人もとることを制限するものではありません。ですがそれが租税回避につながる可能性があるので上記のような規定を設けているのです。
最後にもう一つ関連したお話を。連れ子の話です。連れ子はそのままでは姻族にすぎません。姻族とは婚姻により結ばれた親族関係を言います。この姻族は相続人となることができません。連れ子の場合もそうです。相続人とするにはどうすればよいか。血縁関係のない親の方の養子とすればよいのです。そうすれば相続人となることができます。この場合、実子とみなされるので上記の養子に関する規定は適用されません。ご参考までに。