みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
今週もよろしくお願いいたします。
例えばご自宅など所有している不動産を売却した時の譲渡所得税にまつわるお話です。
不動産を売却した時の譲渡益にかかる譲渡所得税、その計算方法はいたってシンプルです。
① 売却価格 - 譲渡費用 = 譲渡益
② 譲渡益 × 税率 = 譲渡所得税
税率は所有期間が短期(5年以下)か長期(5年超)で異なります。短期の場合は住民税を含め約40%、長期の場合は約20%です。
売却価格はまさに売った値段ですの割と論点になりにくいです。上記の数式で唯一論点となるのは譲渡費用です。この場合譲渡費用とは売却した資産を取得するための費用(取得費と言います)及び売却にまつわる経費(仲介手数料等ですね)を言います。この取得費、ご自分が取得した時の売買契約書があれば何の問題もありません。申告時にそのコピーを提出してハイ終わり、です。ところが取得が随分と昔にさらにご自身ではなく親御さんだった場合にその売買契約書の行方が分からなくなってしまう、などということがよくあります。そうなるとどうなるか。本来払わなくてよい税金を払わなくてはならない事態になってしまいます。どういうことでしょうか。
売却価格1億円(所有期間5年超)、取得費5千万円、売却にまつわる経費1千万円だったとします。
①売買契約書がある場合の税金の計算
(1億円―(5千万円+1千万円))× 20.315% = 8,126,00 円
②売買契約書がない場合
(1億円―(1億円×5% +1千万円))× 20.315% = 17,267,750 円
②の数式にありますように売買契約書がない場合には原則として売却価格の5%でその資産を取得したものとみなされるんですね。そうするとこれだけ税金が違ってきてしまいます。いやいや恐ろしい。ですからくれぐれも売買契約書は無くさないように、です。
でもご安心ください。売買契約書を無くされてもまだ大丈夫です。そもそも売買契約書がなぜ必要かと申しますとご自身(または親御さん)がその資産を取得した時の取得金額を最も客観的にかつ簡単に証明できるものだからです。ということは客観的に証明できるものであれば何も売買契約書でなくてもいいんですね。では他に何があるか。
取得時の通帳のコピー、抵当権の設定金額がわかる謄本、住宅ローンの金銭消費貸借契約書、業者から購入した場合はパンフレット・チラシなど
により取得金額が証明できれば本来の譲渡所得税で済むこともあるでしょう。しかしながら、一般的にこれらは売買契約書に比べると証明力が弱いです。ですからやはりしつこいようですが売買契約書はくれぐれも無くさないようにお願いいたします。