みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
今週もよろしくお願いいたします。
個人事業主や法人役員の方向けに将来の退職金代わりになるものとして独立行政法人である中小企業基盤整備機構が運営する小規模企業共済制度というものをみなさんご存知でしょうか。個人事業主はもちろんのこと中小企業においても一般的に退職金の財源を確保するのは困難を伴い結果として老後資金に十分な退職金が確保されないことが多々あります。老後に不安を抱えたままですと消費にお金が回りにくくなりひいては経済活動に悪影響を及ぼすと国は考え、そのような状況に置かれている方々の特に老後資金の確保をサポートしようとこの制度を設けました。
制度の概要はこうです。月々最高7万円までの掛け金を積み立てそれを自身が引退した時に受け取ることによりそれを退職金代わりにしようとするものです。えっ、自分が積み立てたものが戻ってきただけだから全然お得じゃないよね。確かにそうですがそうでもないんですね。
①掛金全額が所得控除を受けられる
②積立金の受け取りは退職金扱いされる
以上の2点から税務上とても有利なんです(中小企業基盤整備機構の回し者ではありませんのでご安心ください)。①は掛金のうちご自分の税率に応じたの税金分がお得になりますよ。②は退職金扱いつまり退職所得扱いされると退職所得控除が使えますから税金面でとても有利なんです。この退職所得控除、例えば勤続年数が20年ですと800万円です。この場合800万円までの積立金には税金がかかりませんよということなんですね。退職所得扱いされるというのは基本的には税金面でとても有利になると考えていただいて結構です。ですので多くの税理士が納税者の方には積極的にこの制度をお勧めしております。
と、ここまでが前置きです。今回のタイトル節税に絶対はないと付けましたがそのこころについて。
掛金は全額所得控除が適用され、積立金は退職所得扱いされる。このおぜん立てがあるからこそ成り立つロジックですがそれが崩れたらもう成り立ちません。当然ですがそうです。何が申し上げたいかと言いますとこの前提は100%保証されたものではないということです。今は税法上そのように規定されておりますがこのさき永久にそうなるかというとそれは誰にもわかりません。ですからこのロジックはあくまで「現行法における」という但し書きが必要です。現行法が未来永劫不変であるかどうかは誰にもわかりえないところですからそういう意味で現行法下で編み出された節税法はあくまでも「現行法における」ですから絶対的なものではないということです。
みなさん、「絶対に節税になりますよ」のセリフにはくれぐれもご注意くださいね。
※でも現行法下における小規模企業共済制度は魅力あるものだと思いますのでご検討の価値はあるかと思います。