みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
減価償却とは高額な資産を経費にするときの期間按分の計算方法のことです。会計の世界では基本原則がいくつかありましてその中の一つ費用収益対応の原則からこの減価償却という考え方が出てきました。
費用収益対応の原則とは費用のうち当期に計上できるものは当期の収益(売上)に対応する部分に限る、というものです。例えば1千万円の高額な製品製造機械を購入したとします。その機械は10年間使用することができます。つまり10年間売上をあげるために貢献します。そうするとこの機械の購入費用である1千万円を費用収益対応の原則に則って適正に経費化していくにはどうすればいいかと考えます。一つの答えが10年間働くのだから1年で100万円ずつ経費にしていけばいいのではないか。まさにそれが減価償却の考え方なんですね。
ところが同じ機械を同じ時期に購入してもそれぞれ使用期間にはばらつきが生じます。10年間使用するつもりで購入したのにあるものは12年使えた、またあるものは8年しか使えなかったということはよくある話だと思います。何年間使えるかは使えなくなって初めてわかります。そうすると使用中の減価償却の計算ができなくなってしまい困ります。そこで国が資産を種類ごとに細かく分類しそれぞれの種類の資産ごとに使用期間(耐用年数)を設定しています(ご参考までに機械の耐用年数表はこちらです)。
とここまでは減価償却とは、のお話です。この減価償却にはいろいろな計算方法が実はありまして、主要なものとして定額法・定率法の2つがあります。定額法とはまさに毎年同じ金額を経費として計上していく計算方法です。一方定率法は毎年一定率を経費として計上していく計算方法です。
定率法の説明がこれではわかりにくいですね。具体例を挙げます。
購入費用1千万円の機械で耐用年数が10年(償却率0.200)のものの場合
①1年目
1千万円×0.200=200万円
②2年目
(1,000-200)×0.200=160万円
③3年目、、、
といった具合です。定率法はこのように期首に残っている経費に一定率(償却率)を乗じますので最初の年に大きな金額を計上し、年々金額が少なくなります。
資産により原則的な償却方法が定められており、法人税法上は建物は定額法、機械や自動車は定率法が原則的な方法です。ちなみに所得税法はすべての資産について定額法が原則的な方法です。
法人が自動車を購入した時は原則的な償却方法は定率法ですから年によって償却額が異なります。購入してすぐの期において多額の償却費が計上できるので基本的には定率法を採用したほうが良いのですがいかんせん計算方法がわかりにくいです。予算を組むときなどは頭を悩ませるところではないでしょうか。そういった理由から自動車については定額法を採用したいというケースもあると思いますが、実はそれは可能なんです。採用したい年度の始まるまでに、例えば今年の7月から始まる年度から自動車について定額法を採用したい場合は6月末までに「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を所轄の税務署に提出します。承認申請書ですから承認されなければなりませんが無事承認されると希望通り定額法を採用することができます。
今回は償却方法は変更できますよ、というお話でした。