相続税の小規模宅地等の特例を誤解していませんか

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

相続税には一定の財産について最大で80%財産の評価額を軽減するという「小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例」があります。

適用関係が非常に複雑なのですが簡単に申しますと、被相続人(亡くなった方)所有であった財産のうち今後の相続人の生活維持のため必要欠くべからざるものです。一番の例は自宅ですね。被相続人の自宅に同居していた相続人がその自宅を相続した場合、それは相続人にとってまさに必要欠くべからざるものです。よってそのようなものにまで相続税を課税してしまうと税金を支払うために自宅を売却せざるを得ない状況になりかねません。そこでそのような必要欠くべからざるものについては最大で80%財産の価値を減額し(それでも20%については課税はされますが)相続人の生活をある程度保証しようとしたのです。

今私はあえて自宅という表現を用いました。自宅というのは財産名では土地と建物からなりますがでは自宅である土地・建物の両方が最大で80%減額されるんだな、と理解しがちですが実はそうではありません。小規模宅地等の、、、とあるように宅地等すなわち土地についての特例です。土地についてのみの特例ですので建物につきましては手当されていないのです。

なぜ土地のみにしたのでしょうか。恐らくですが、手当てすべき自宅というものを長年暮らしてきた居宅というイメージでとらえているのではないかと推測されます。土地は基本的には時の経過とともに価値が下がるものではありません(外的要因がない限り物質的な価値という意味で)が建物はそうではありませんね。経年劣化を必ずするものです。そこで相続税を計算するにあたり建物の財産的価値を求める際はその経年劣化を考慮して築年数が長ければ長いほど金額が低くなるように計算方法が設定されています(固定資産税評価額×1.0と定められております)。そうすると長年住んでいた自宅ですとその相続税法上の価値はかなり下がります。ですからそもそもの価値が低いのだから建物については手当てする必要はないでしょう、という理屈なのでしょうね。

比較的築年数が浅い物件の相続の際には思わぬ税負担になる可能性がありますのでご注意ください。

東京都文京区の税理士です

投稿者: you-furumi

東京都文京区で税理士をしております。お客様に本業に専念していただけるようサポートをすることを使命と考えております。

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