みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
先週は年度末でした。年度末ということで棚卸の作業をされた方も多いのではないでしょうか。今回はその棚卸のお話です。
タイトルにもありますがなぜ棚卸をするのか、何のためにするのか。
①商品管理のため
②適正な期間損益の計算のため
①は商品が紛失していないか、盗難被害にあっていないか、品質は劣化していないかなどをチェックするためです。そして②、これが本題です。
適正な期間損益の計算のためとはどういうことでしょうか。会計の世界ではいくつかの原則がありますがその中でもとりわけ重要なものに「費用損益対応の原則」があります。これを簡単に申しますと売上に対応・貢献した費用のみがその売上が生じた期間の経費として計上が認められるというものです。この原則により費用は支払った時に全額計上できるわけではなくそのうち売上に対応する部分のみが経費として計上できます。
八百屋さんを例に挙げましょう。ある期間に大根を100本仕入、そのうちの80本がその期間中に売れたとします。そうするとその期間に経費計上していい仕入は100本全部でしょうか。そうではありません。80本分だけです。80本売れたのだからそれに対応する80本分の仕入のみが計上できる。どうですかこの考え方。すごく合理的ですよね。素直に納得できると思います。逆に80本しか売れていないのに100本分の仕入を計上できる、とした方がしっくりきませんね。そうすると100本仕入れたうちの売れ残った分 100-80=20本分の仕入はどうなるのでしょうか。これが棚卸商品として資産に計上され、その期間の経費から除外されることになります。簿記の仕訳で言うと
(借方)期末商品 20 (貸方)仕入 20
ですね。その期間中に売り上げた本数が80本なら売れた都度数えてもそれほど煩雑ではないかもしれません。しかしこれが千本、一万本となるとどうでしょう。かなり煩雑になり、数え間違いも生じやすいです。そこでどうするか。期間中に仕入れた本数を仕入の都度帳面に記入し、総仕入本数から期末に残っている大根の本数(期末在庫)を数えてそれを差し引くことにより期間中に売れた本数をカウントしたほうが合理的じゃないですか。
総仕入本数―期末在庫本数=期中売上本数
これが棚卸をすることの意義です。いかがでしたでしょうか。棚卸って非常に重要な作業なんですね。