生前贈与の落とし穴

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

生前贈与は相続税対策として非常に有効であることは昨日お話いたしました。しかしその対策としての生前贈与には落とし穴があるんです。

誰しもが親の方が子供よりも先に亡くなる、と思っていることでしょう。実際統計的にもかなり高い確率でそうなのではないでしょうか。相続税対策としての生前贈与はまさにそれが大前提なのです。親から子へいかに税金を低く抑えつつ財産を移転するか、というミッションがあるわけです。

ということはその前提が崩れた場合、つまり子が親より先に亡くなってしまった場合はどうでしょうか。せっかく長年計画的に行ってきた親から子への財産の移転が仇になってしまうんです。

どういうことかと申しますと、子へ移転した本来であれば自分の財産が相続財産となって相続税が課税されてしまうのです。子が独身または既婚でも子供がいない場合、親が相続人となります。となると本来自分の財産であった子供の財産に対し自分が相続税を支払うというおかしなことが起きてしまうのです。

一般的には確率は低いでしょうが、それをリスクと考え生前贈与をしないか、それともいやいやそんなケースは稀だよ、ということで生前贈与をするか、判断しなければならないところです。

専門家としてはリスクがあるということを納税者の方にお知らせしたうえで相続税対策として生前贈与という手段があるんですよとお伝えしなければならないのでしょうね。

東京都文京区の税理士です

相続税対策としての生前贈与

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

みなさん、生前贈与という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。読んで字のごとく生前、生きている間に贈与をするということです。

生前贈与は相続税対策として非常に有効だといわれていますし、確かにその通りだと思います。そもそも相続税が課税されるのは亡くなった方の保有していた財産に対してです。そして当然その保有した財産が多ければ多いほど相続税も多額になります。とすると相続税を安く済ませるにはどうすればよいのか、そうです、その保有財産を減らせばいいんです(意図的に少なく申告してはダメですよ)。

その保有財産を減らすにはどうすればいいのかと言いますと保有者ご本人が好きなように使っていただく、というのが一番です。。。いや本当です。私は本気でそう思っています。ご自分が築き上げた財産です。どうぞご自分の生きているうちに好きなように使ってください。海外旅行、温泉、豪華な食事等々。。。できれば形に残らないようにしていただけるといいでしょう。というのは不動産・宝飾品・有価証券等々資産として残ってしまうとそこにも相続税がかかりますのでできるだけその場で消えてなくなるものがいいです。

いやいや何をおっしゃる、私は子供に自分の築き上げた財産を残してあげたいんだよ、という方もいらっしゃるでしょう。といいますか大半の方はそうだと思います。親の愛は海より深き!ですね(そんな言葉ありましたっけ)。

そうなりますとある程度の相続税の負担(実際負担するのは相続人ですが)を覚悟していただく必要があります。しかし子供への財産の移転を生前に計画的に行えばご自分の財産を減らして相続税の負担を減らすことができ、かつ、子供へも財産の移転を税金の負担を少なくしつつすることが可能なのです。それが生前贈与です。

以前お話したことがあるかと思いますが、贈与税というのは暦年課税という仕組みを取っています。暦通りの1年間に贈与をした額の合計額を集計しそれに対し贈与税がかかる、という仕組みです。しかしながら少額不追及という考え方から年間110万円の贈与までは贈与税を課税しない、というルールを設けているのです。そうです、年間110万円までは無税で子供に財産を移転することができるのです。これを計画的に行えば例えば20年で2,200万円子供に財産を無税で移転することができます。子供に財産を残したいという方はこれを使わない手はありません。

と、ここまで書いた通りいいことずくめの生前贈与ですが、実は予期せぬ落とし穴があります。。。それはまた次回にお話しますね。

東京都文京区の税理士です

住宅ローン控除の誤申告

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

昨日このブログで住宅ローン控除の借り換えがあった場合についてお話しました。同じの日経新聞の夕刊に住宅ローン控除で誤申告がかなりの数あるという記事が載っておりまして、二日連続で恐縮ですがまた住宅ローン控除についてのお話です。

記事によると住宅ローン控除の申告を誤った事例が2013~2016年の4年間で1万人を超える件数あった、とありました。

住宅購入資金の一部を親御さんなどから贈与してもらい残りはローンを組んで住宅ローン控除の適用を受けるために申告したケースでミスがあったとのことでした。

申告をする際の控除額の計算の基礎となるものは通常は住宅の購入対価と借入金(の年末残高)のいずれか少ない金額です。そのいずれか少ない金額を元に一定率を乗じて控除額を計算しますが、贈与を受けた場合は借入金と比較すべき住宅購入対価はそこから贈与を受けた金額を引いたものとしなければなりません。この作業を忘れてしまい(そもそもそれを知らない場合も含みます)申告をしてしまったということです。

住宅購入対価が5,000万円、借入金年末残高が4,500万円、贈与を受けた金額が700万円とすると本来は

 (5,000-700)  = 4,300 < 4,500  ∴ 4,300

としなければならないところ

 5,000  >  4,500  ∴ 4,500

としてしまったということですね。そうすると控除額が正しいものよりも多くなってしまいますので申告ミスということになります。

このミスは実は借り入れがあった場合のミスと本質的には同じでして、そもそも借入金の方が多くなるケースというのは購入対価以外に保証料、登記費用などもローンに組み込んだ場合です。これらの費用は決して安いものではありませんのでローンに組み込んでる方も結構多いかと思いますが、当てはまる方は申告の際十分ご注意ください。

記事にはもう一つの誤りの例があると書いてありました。それは住宅ローン控除と自宅を売却した場合の3,000万円控除を同じ年にダブル適用をしてしまったケースでした。こちらの詳細につきましてはまた改めてブログに書きたいと思います。

東京都文京区の税理士です

住宅ローン控除(借り換えの場合)

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

今回は住宅ローンを借り換えた時の住宅ローン控除の計算のお話です。

借り換え前の残高と借り換え額が異なる場合、通常と異なる取り扱いをする場合があります。

①借り換え前の残高より借り換え額が少ない場合(同額も含みます)

 → 従来通り借入金年末残高の数字をそのまま使用してください

②借り換え前の残高(A)より借り換え額(B)が多い場合

 → 年末残高 × A/B の調整が必要です

借り換え前より多く借りた場合にその多い部分は面倒は見ませんよ、ということです。たとえば借り換えに要する保証料・登記費用などを借り換え額に組み入れた場合にこのようなことが起きます。ですので借り換えに要した経費の部分までは住宅ローン控除の適用はできないですよということですね。

年末調整の時期です。借り換えがあった場合は十分お気を付けください。

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創業時に経理は何をすればいいのか

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

創業時に何をすればいいのか。

これから事業を立ち上げようとする方、まさに立ち上げたばかりの方。種々たくさんやらなければならないことがありますね。本業以外のことに時間を取られてしまい本業がおろそかになってしまうなどということがよくあるかと思います。

本業以外のこと、例えば事務所を探す、人を募集する、ネット環境を整備する、会社登記をする、、、本当にいろいろやることがあります。

そうした種々やるべきことの中には経理という業務もあります。この経理というのはよく聞く言葉ですがでは経理とは、と尋ねられるとなかなか一言では説明できないところではないでしょうか。

自分なりの解釈では、会社のお金の出入りを管理すること、なのかなあと思います。しかしこれではざっくり過ぎます(スミマセン)。では具体的に何をすればいいの、ということですが、創業して間もない時はまず第一優先で現金の管理をしてください。これは常に私が申し上げていることですが、現金管理をきちんとすれば経理の95%(あくまでも概念的な数字、つまりは体感です)は達成したといってもいいです。現金管理の怖いところは過去に遡れないところですね。ですからはじめはとにかく現金管理だけでもしてください。あとはどうにでもなりますから(すこし言い過ぎかもしれませんが)。

現金管理は難しいものではありません。金庫の残高と帳簿の残高を突合するだけです。金庫は別にテレビでよく見るあのダイヤルがついた立派なものでなくてもいいです。100円ショップで売られているようなジッパー付きのビニール袋のようなものでも構いません。そこに現金を入金してそこから現金支払いの経費を出金する、それだけです。帳簿は金庫に対応するものは現金出納帳になりますが、これはエクセルで自作していただいて構いません。そこに日々の出入金を入力するだけです。そしてその帳簿上の残高と金庫の実際在り高をできれば毎日業務終了時に確認をする、ただそれだけです。これ、習慣にすると結構楽しいですよ。ああ、今日も残高が合ってた、よかったよかった、、、と。これで安心して眠れますね!!

何度も申し上げますが現金管理は本当に大事ですし、習慣にしてしまえば全然苦になりませんので実行を是非お願いいたします。

東京都文京区の税理士です

経営者にとって大事なのは利益?キャッシュ?

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

利益がものすごく出ていてもお金がない、などということが企業ではよくあります。利益とお金、キャッシュは比例するはずです。利益が出ていればそれなりのキャッシュも会社に残っているだろう。理屈ではそうです。ただし長い目で見ればですね。企業活動というのは日々動いています。いくら利益が出ていてもその日々の企業活動の中で一時的にでもキャッシュが枯渇してしまう可能性は十分考えられるのです。

それは利益とキャッシュに時間的なズレがあるからに他なりません。例えば掛売上などは典型例です。掛売上とはご承知の通り代金は後でいいですよ、ということですからね。このようにして時間的なズレは生じます。

創業時あるいは事業拡大の時にはとにかく売上を伸ばさないとというところがあり、またそうであるべきだと思います。しかしある程度事業が軌道に乗ってきたら目を向けるべきところは資金繰りもっと言えば預金の残高です。例えば毎月同じ時期の残高を比較してみてみるだけでもおおまかな資金繰りの傾向がわかります。そのようにして常に残高だけでも見ておくといいと思います。

資金繰りが苦しくなる原因はいくつかあると思います。①売り上げが下がる②経費が増える・・・要するに利益が減るということですね。それ以外にもいろいろ原因はありまして、売掛金の回収が進んでいない、売掛金の回収期間が長い、逆に買掛金の支払期間が短い、毎月の借入金の返済が毎月の利益よりも多い等々です。

売掛金・買掛金の入金・支払期間については相手があることですので難しいところはありますが、逆に交渉の余地はありますので改善策としては有効です。借入金の返済額が利益を上回ってしまうとこれはもう会社としては赤信号です。借入金の返済は利益の範囲内でしかできないからです。そうなった場合は銀行との交渉により月々の返済額を減らしてもらう等しない限り存続は厳しいと言わざるを得ません。

本来の業務が忙しい中資金繰り等に目をやるのはなかなか大変かと思いますが経営者の重要な仕事の一つですので常にチェックをしていただきたいところです。

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消費税の納税義務の判定

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

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消費税には免税制度があるというのは以前お話しました。まさに費用対効果ではありませんが、小規模な事業者からは消費税を徴収しませんよという規定です。

免税事業者になるには一定の条件を満たす必要がありますがその判定が少し厄介です。ここでは法人の場合の設立一期目からについて説明いたします。

まず①資本金が一千万円未満であることです。一千万円以上なら小規模ではないよねということで消費税の納税は免除されません。

①を満たした場合設立一期目は免税です。

次に①を満たした場合は、②設立一期目の上半期の売上が1千万円以下であることです。

②を満たした場合設立二期目は免税です。

次です。②を満たした場合は、③設立一期目の売上が1千万円以下であることです。

③を満たした場合設立三期目は免税です。

四期目以降は2年前の売上が1千万円以下であることのみを条件とします。

ざっとこのような判定の流れになります。ご参考になさってください。

 

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税理士試験

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

今年も税理士試験の合格発表の日が近づいてきました。今年(平成30年)は12月14日です。なので少し税理士試験のお話を。

税理士になるには主に3つのルートがあります。①国家試験に合格②大学院で所定の課程を修了③税務署で所定の年数を勤め上げる、です。私は①の国家試験に合格して税理士になりました。

税理士試験はとにかく難問奇問、出題者でさえ所定の時間内(2時間です)に解くことは難しいだろうといわれています。税理士はもう必要がないから試験問題をむずかしくしているのだというまことしやかな噂もあるくらいです。

私自身も試験に合格するまでには数年を費やしました。自慢ではありませんが私は決して特別な能力を持った人間ではありません。ごく平均レベルの学力を持ち合わせていると自覚しております。そんな私でも挑み続ければいつかは合格できる、そんな試験が税理士試験だと思います。

税理士試験は11ある科目のうちの5科目に合格すれば試験合格となります。私も最終的に5科目の試験に合格したのですが、最も苦戦したのが相続税法という試験科目です。あともう少しというところで涙をのんだことが何回もありました。

先ほど申し上げたように出題者でさえ時間内に解くことは不可能ではないかというくらい税理士試験はとにかく時間との戦いです。そして相続税法はとにかくボリュームが多くとてもではありませんが時間内に解くことは不可能です。最後の最後で時間切れとなり十分な回答を作ることができなかった試験がほとんどでした。

このままチャレンジをし続けても合格するのは難しいと思いある年に戦略を変えました。知識量は誰にも負けてない!あとは時間管理、タイムマネジメントを大切にしようと。

普段の勉強から本番の試験に臨むと同様の意識をもってストップウォッチ片手に試験中に時間割をする癖をつけるようにしました。

そうすると見事その年に難敵だった相続税法の試験に合格できたのです。

あくまで自分の体験談でしかありませんが、私と同じようになかなか同じ科目に合格できず足踏みをしている方がいらっしゃったら少し意識を変えて違った戦略を立ててみてはいかがでしょうか。

 

東京都文京区の税理士です

 

 

税金の納期限と届出書の提出期限

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

税金の納期限(支払期限のことです)には次のような決まりがあります。

納期限が土日祝日の場合はその翌日を納期限とする(国税通則法第十条第二項、国税通則法施行令第二条第二項)

納期限は月の末日のものが多いです。法人税・消費税は決算日から2か月です。決算日は通常は月末ですので納期限も月末になります。そうしますと例えば直近では今年(平成30年)の9月は末日である30日が日曜日でしたので7月決算の会社の法人税・消費税の納期限は本来は9月30日ですが今年はその翌日である10月1日となります。仮に9月30日が土曜日の場合は翌日は日曜日ですのでそのさらに翌日である月曜日になります。このように年によっては2日得をすることになります。

ちなみに12月31日が納期限の場合は1月4日まで納期限がのびます。

このさきは少し怖いお話です。

納期限が土日の場合は翌週の月曜日にのびるのだから届出書の期限も同じようにのびるんだよな、と勘違いしがちなのです(特にこの業界の関係者です)。実は届出書の期限は厳格になっておりまして、期限が土日でもその末日までとなっています。猶予規定はありません。

届出書関係で特に怖いのは消費税です。詳しくは長くなりますのでここではお話しませんが、消費税の計算には原則的な方法と簡易的な方法があり、一定の場合には簡易的な方法を選択することができるようになっています。この簡易的な方法を選択することによって消費税が安く抑えることができるケースがあるのですが選択するには税務署へ届出が必要となります。この届出書の提出期限を1日でも過ぎてしまうと適用を受けることができません。ですのでこれを納期限の特例と一緒に考えてしまい、届出書を翌週の月曜日に提出してしまって適用を受けることができなくなっていまう、などということがよくあるのです。これは納税者からすれば損害賠償ものですね。払わなくていい税金を払わなければならないわけですからね。

と、このように税務では期限つまり締め切りというのが非常に重要な意味を持ちますので特に月末が近くになると緊張感をもって業務に当たる必要があります。いやいや怖い怖い。。。

東京都文京区の税理士です

 

みなし譲渡

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

みなさんは「みなし譲渡」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。

譲渡してないのに譲渡したとみなして譲渡所得税を課税する、このことをみなし譲渡と言います。

例えば会社に自分の資産をタダであげたとします。タダであげる=贈与ですね。贈与税はもらった方に課税されます。ですのでこの場合もらった方、会社に贈与税が課税されて終わりでしょ、となりそうですが実はそうではありません。あげた方には譲渡所得税課税、もらった方には受贈益課税(もらった側が会社つまり法人ですので法人税が課税されます)となります。

理屈はこうです。あげた方にあげた時点で譲渡益課税しないと値上がり益(譲渡時の時価―買った時の値段)に対する所得税課税が永久にできなくなるからです。。。と、お聞きになっても納得いかないと思います。しかし法律がそうなっているので覚えておいてくださいというしかないところなのです。

つまり会社に自分の資産を贈与してすると譲渡所得税と法人税がダブルで課税されるという恐ろしい事態が待ち構えています(さらに同族会社ですと株主間で贈与税課税が発生する可能性があるのです)。

会社に自分の財産を移転する際には注意深く行わないと思わぬ負担が生じることがありますので十分ご注意ください。

 

東京都文京区の税理士です