法定相続人の数

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

今回は相続税についてのお話。

相続税には基礎控除という考え方がありまして、相続財産の合計がその基礎控除以下の場合には申告不要となります。つまり課税最低限の定めというわけです。ちなみにこの課税最低限の定めという考え方は他の税目にもありまして例えば贈与税にも同じく基礎控除が定められています(年110万円です)。これは少額不追及の考え方から来ています。要するに行政側から見た費用対効果ということです。例えば100円の贈与があった場合でも申告をしなくてはならない、となると贈与税の税率は累進税率になっていまして、最低の税率は10%ですから10円の納税が必要となります。この10円を徴収するために行政コストがいくらかかるかということになると恐らくそれ以上になるのではないかと思います。これでは明らかに不合理ですのでそうした少額の納税のケースはそもそも申告さえ不要としてしまおうという仕組みにしたわけですね。

話を元に戻します。では基礎控除はどの様に定められているのか説明しますね。

基礎控除 = 3,000万円 + 600万円×法定相続人の数

です。法定相続人の数が2人の場合は4,200万円になりますね。

この数式が意味するところは、誰しもが基礎控除として3,000万円は保障されているんだなとことと、法定相続人の数が増えれば基礎控除の額も増えるんだなということです。ここで「法定相続人」の数となっているところがポイントですね。「相続人の数」ではありません。ん、何が違うの、、、

ではご説明いたします。相続人と法定相続人の違いというのは以前「相続税の計算」のお話をしたときにご説明しましたが、「相続人の数」としてしまうと相続人等の恣意性が介入する余地があり数を意図的に増やすつまり基礎控除を意図的に増やすことが可能となってしまうとため恣意性が介入する余地がない法定相続人という概念を創出し、基礎控除の計算をするときの計算要素を「法定相続人の数」と定めたのです。

相続人の数を意図的に増やすというのはどういうことでしょうか。例えば亡くなった方の子供が一人でご両親がご尊命の場合、子供が相続を放棄すると相続人はそのご両親となります。そうしますと当初相続人の数が一人であったものが相続の放棄という手段によって二人に増えることになります。

一方法定相続人の数は法律上「相続があった場合でも相続の放棄がなかったものとした場合の相続人の数」と定められておりますので相続の放棄があったとしても依然として法定相続人の数は一人です。

このようにしていわば租税の回避行為を事前に制限しています。

皆さんが聞きなれない法定相続人という言葉ですが、このような理由から定められました。

 

東京都文京区の税理士です

投稿者: you-furumi

東京都文京区で税理士をしております。お客様に本業に専念していただけるようサポートをすることを使命と考えております。

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