みなさんこんにちは、税理士の古見です。
東京の文京区で税理士事務所を開業しております。
日産の会長だったカルロス・ゴーン氏逮捕のニュースが連日報じられております。こちらでは税務に絡めたお話をいたします。
役員報酬のうち一定の金額を有価証券報告書へ記載しなかったことが逮捕容疑の一つとなっているようです。あくまで新聞記事を基にということですが、報酬とすべきものの一部には会社所有のマンションを自由に使用していたことによる利益が含まれているとのことです。
報酬つまり一般的に言う給料というのは現金または預金で受け取ったもののみととらえられがちですが実はそうではありません。現預金で受け取ったもの以外に会社から何かしらの利益を受けた場合は原則としてそれも給料に含まれるというのが税務の考え方です。
一例をあげます。Aさんには基本給20万円の他に住宅手当として月7万円を支払っています。一方Bさんには基本給20万円を支払っていて会社が他から借りている社宅(家賃7万円)に無償で住まわせています。もしも給料は現預金で受け取ったものに限る、とした場合、Aさんの給料は27万円として税金が計算されます。一方Bさんの給料は20万円として税金が計算されることになります。AさんとBさんの受けている経済的な利益は全く一緒のはずなのにこれでは課税の公平が図られないことになります。よって税法ではちゃんとそこら辺の手当はされていまして、現預金で受け取ったもの以外のものであっても給料としてカウントして税金を計算してくださいねとなっているんですね。そして結果としてBさんも7万円という経済的利益を給料としてカウントすることによってAさんと同じ税金を課せられるということになるのです。
話を元に戻しますと、ゴーン氏の場合は会社所有のマンションを対価を支払わずに自由に使用していたという点で会社から経済的な利益を受けていますのでその部分が給料つまり役員報酬として認定されることになります。
このように現金・預金で受け取った以外のものでも給料としてカウントし、そこにもきちんと所得税を課税しますよという考え方がありますので、源泉徴収事務を担当されている方は十分ご注意ください。