みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
法人税法132条の適用に関する注目すべき判断が6月末の東京地裁で示されました。この法人税法132条はいわゆる伝家の宝刀と言われる同族会社の行為計算の否認規定です。同族会社を用いた取引は他人会社を通じた取引に比して一般的に恣意的になりやすいです。それが租税を回避するために用いられることもありがちでその租税回避行為があった事実が認定された場合、その行為が最初からなかったものとして法人税の計算を行う、そういったオールマイティな規定です。ですからその適用には慎重な判断が求められます。
同条の規定の適用の代表例が日本IBM訴訟です。訴訟の対象となったものはグループ会社間で株の売買を行い赤字を計上し連結納税制度において他の事業利益と相殺をしたという取引でした。訴訟は最高裁まで持ち込まれ最終的に日本IBM側の勝訴が確定しましたがその訴訟の中で東京高裁が「グループ企業間取引は独立企業間取引と異なり税負担の軽減が図られた場合にはそれは経済的合理性を欠くというべきだ」という注目すべき判断が示されました。
この判断は国税側にとってその後の税務行政の運用上有利となるものでした。グループ間取引を利用した租税回避行為について一定の抑止力を与えるものだったからです。
ところが今回の訴訟の中で示された判断は132条の適用を限定的にし納税者有利ともいえるものでした。具体的には「グループ企業間のみでなしえる取引でも直ちに税負担の公平が害されることはなく、法人税の負担が減少する場合にのみ132条は適用される」としたのです。これは逆読みをすると他に合理的な理由がある場合には同条は適用されない、と解釈可能ですのでそういった意味で日本IBM訴訟の中で示された判断よりも納税者有利と言えます。
ある方が仰っていました。租税回避も立派に経済合理性がある、だから企業の取引に経済合理性がないものはないと。それは極論だと思いますが、企業の自由な取引の保証と法律の運用上の縛り付けこの二つの間をうまくバランスを取っていかなければならないのでしょうね。
~今日のひとこと~
NFLは第4週の試合結果が出揃いました。前週までの全勝チームが軒並み負けたため未だ全勝チームは3チーム(サンフランシスコ49ersはバイウィークのため3戦全勝です)となりました。この中で注目はやはりカンザスシティチーフスです。前評判通りの強さでスーパーボウル優勝候補筆頭です。QBマホームズの活躍から目が離せませんね。
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