みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
今週もよろしくお願いいたします。
早いものですね、いよいよ12月です。会計事務所業界はこれから半年間の繁忙期に突入いたします。気合が入ります!!
昨日の日経新聞にこんな記事が載っていました。節税封じあの手この手と題して政府が法人・個人の行き過ぎた節税策を封じ込める様々な案を検討しており、その中の一つにアパート大家における金取引による節税策をやり玉に挙げているとのことでした。
この節税策のスキーム自体はごく簡単なものです。前提として
(1)仕入税額控除は通常、課税売上に対応する部分のみに認められる
仕入税額控除とは納付税額を計算する際に預かった消費税から引くことができる他のお店に預けた消費税のことです
(2)しかしながら課税売上割合が95%以上の場合には全額控除が認められる
そしてそのスキームの概要は以下の通りです。
①アパートの家賃は消費税の非課税売上である。
②家賃収入のみの場合は仕入れにかかる消費税を売上にかかる消費税から控除できない(そもそも消費税を預かっていないから)
③そこで大量の金取引(消費税の課税取引)を行い課税売上割合を95%以上にまでもっていく(この金取引では利益が出ることはあまり重要なく、短期間に売買を繰り返すことになります)
④これにより仕入税額控除を全額受けることができるようになる
以上です。このスキームを用いる場面は建物を建てた時など多額の投資を行った時です。建物を建てるときには本体価格に消費税が上乗せされますがその消費税はその事業主体が家賃収入のみの場合は控除できずに全額負担することになります。
そこでこのスキームを用いることにより建物にかかる消費税について仕入税額控除を適用し、あわよくば還付を受けることが可能となります。
預かった消費税が預けた消費税より少ない場合はその少ない部分の還付を受けることができるという仕組みになっているからですね。
そこで政府は賃貸アパートであるアパートにかかる消費税についてそもそも仕入税額控除を受けることができないようにするのではないかと記事ではありました。
おそらくどこかの税法に詳しい者が考えたスキームなのでしょうがそれにしてもくだらないことを考えるものです。明らかに公正さを欠いていると言わざるを得ません。
こういった節税策はどんどん封じてほしいものです。