法人税法22条

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

税法にはそれぞれ核となる概念が必ずあるものです。所得(もうけですね)に税金を課する所得税法・法人税法は「所得」、消費税法は消費という行為(取引)に税金を課しますのでその「課税対象となる行為(取引)」、相続税法は財産に対して課税されるものですからその「財産の価格」。

その中で今回は法人税法について見ていくことにします。

法人税法においては第22条において所得が定義づけられています。

第一項 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。

この条文に法人税法のエッセンスが詰まっています。税理士試験の法人税法はこの条文の意味するところがしっかり理解できているかいないかで合否が決まってくる、それくらい最重要な条文です。

私がそう思うのも合格した回の試験問題もそうだったからです。本試験も近くなると本番を想定した様々な問題をこなすようになるのですがいざ本番では全くの想定外の問題が出題されました。ですから問題をはじめて読んだ時はどのように答案を作成していけばよいのか何も浮かびませんでした。しかしながら、これは法人税法の本質を問うているな、ならば22条に書いてあることを軸にして解答をしていけばいいんだなと判断できたんですね。あとはペンを走らせるだけです。結果的にその判断が正しかったようでそれが合格へとつながったのです。

法人税法の試験範囲はとてつもなく広いです。すべての内容を完璧にするのはほぼ不可能だと思います。ですからその中でも重要な論点を見極めそこをおさえていくということが大切なのではないでしょうか。

~今日のひとこと~

日本税理士会連合会のホームページで税理士を検索することができます。ちなみに「古見」と検索していただくと私の名前しか出てきません。

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土地・建物の売却損の取り扱い

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今回は土地及び建物を売却した際の損失についてその取り扱いを見ていくことにします。

個人が土地及び建物を売却した際の税金の計算は分離課税と申しまして他の所得(給与所得・事業所得など)と通算せずに単独で行います。分離課税というのは儲けが出た時だけではなく損失を被った場合にもその損失は他の所得と通算しないということです。損失つまり赤字の場合は通算というより相殺しないという表現の方がわかりやすいかもしれません。他の所得の黒字と土地建物の譲渡損失は相殺しないということです。

一方、法人ですと他の所得と通算され法人税の計算を行います。そもそも法人の場合は通算という概念自体がないんですね。ですから会社の本業での黒字と土地建物を譲渡した時の赤字は当然のごとく通算されたうえで法人税が計算されます。

両者を比較しますと明らかに個人での取り扱いの方が不利です。赤字が出ても切り捨てられて終わりだからですね。このことから不動産の名義を個人と法人のどちらにするのかという議論の時の判断材料の一つになることが多いです。

なお、この規定の成立の経緯により規定の合憲性について争われた裁判があります。ここでは詳細については触れませんが例えば最高裁平成23年9月22日第一小法廷判決があります。施行日が平成16年4月1日であるにもかかわらず平成16年1月1日以降の譲渡について適用するといういわゆる遡及適用について憲法84条(租税法律主義)に違反していないかを争った事案です。ちなみに結論は憲法違反ではなかった、でした。

税金に与えるインパクトが非常に大きな規定ですのでもしご存知なかった方はこれを機会に是非覚えておいてください。

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マンションを古民家風にリフォーム

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昔からの夢の一つに古民家に住んでみたいということがあります。ただし実際には古民家風の家という表現の方が正しいです。古いマンションを古民家風にリフォームをしてそこに住む、なんとも贅沢ですね。都会にいながら自然を感じられる生活ができるのですからまさにいいとこどりですね。

ですからテレビの番組表に古民家やリフォームといった言葉を見つけたらすぐさま録画予約をしてしまうんです。いつになるか分かりませんがいつかは実現できたらいいなと妄想にふけっています。

ところでその住居リフォームですが税務上論点となるものがいくつかありますので以下で見ていくことにします。

①贈与税

所有者とリフォーム代の負担者が異なる場合にリフォーム代負担者から所有者へ贈与税が課税されることがあります。ただし住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例を適用できれば今年(令和元年)9月末までは700万円(一定の場合は1,200万円)まで贈与税の課税を受けないようにすることができます。

②所得税・法人税

自己所有の賃貸物件のリフォームをした場合(もともと自宅だったものを貸し出そうとする場合を含みます)にはリフォームに要した費用が即時に支出年度の経費となるわけではなく、一定の部分を減価償却費として複数年にわたって経費化しなければならない場合があります。

③所得税

リフォーム代についてローンを組んだ場合に住宅ローン控除の適用がある可能性があります。

所有物件をリフォームされた際はこのような点にご注意ください。

 

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小規模企業にとっての均等割という税金

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みなさん、均等割という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。単に均等割というと色々な意味があります。法人住民税、個人住民税、国民健康保険料などでこの言葉が出てきますが通常は均等割というと法人住民税における均等割を指すことがほとんどです。

この均等割、会社の決算が赤字でも納めなければならないものです。俗に言う場所代とかゴミ処理代とか言われているものでして赤字でも活動している以上何らかの行政サービスを受けているでしょ、ということで課税されているといわれております。

なお、法人の税金(決算時)は大きく2つに分けることができます。

①国税

法人税、地方法人税、消費税

②地方税

法人住民税(都道府県民税、市町村民税)、法人事業税、地方消費税

法人住民税は利益に比例して課税されるものと利益に関係なく一定額が課税されるものがあり後者を均等割と言います。この均等割はいくらくらいなのでしょうか。

東京都を例にとりますと東京都では資本金と従業員数によってその金額が決まります(こちらの「Q1均等割の税率を教えてください」の回答にある均等割の税率表をご参照ください)。そちらを見ますと資本金が1千万円以下で従業員数が50人以下の会社では7万円です。これが最低ラインですのでどんなに小規模な会社でも年間で7万円の税金がかかるということになります。

このことにより法人か個人かを議論するうえで法人化した場合この7万円を上回る節税効果があるかないかが一つの判断材料になりますのでご参考にしていただけたらと思います。

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飲食代の領収書の裏に書いておいてください

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個人事業でも会社でも取引先・従業員など関係者による飲食をされると思います。今回はその飲食の際お店から発行される領収書についてのお話です。

領収書の裏にその飲食の参加者の会社名・名前を記入していただきたいのです。なぜか。

①備忘記録として

②税務署対策として

③交際費から除外するため

①は社内における飲食については議事録としての機能を有します(そのためにプラスで議題などを書いておくと良いでしょう)。また取引先との飲食については営業活動の記録として有用となります。このように主に内部管理の面から重要となります。

②は経費の妥当性を説明する時に説得力を増す材料となります。例えば取引先との飲食が営業活動の一環として行われたのであれば一般に経費として認められやすくなるのではないかということですね。

③については交際費の損金不算入という制度があることにより飲食でも交際費から除外できれば節税につながる可能性があるからです。どういうことか、を見ていくことにします。

法人税の計算上交際費については資本金1億円以下の法人の場合、年800万円を超えるとその超える部分は損金から除外します(租税特別措置法第61条の4)。損金から除外とはつまり経費としてみませんよということです。ということはその分だけ税金が増えることになります。ですから飲食費でも交際費から除外することができれば損金から除外される経費の額が少なく済むことになります。ではどういう場合に飲食費でも交際費から除外することができるのでしょうか。

①社内での飲食で全員参加が前提のもの(忘新年会、歓送迎会など)や明らかに会議を目的とするものなど。前者は福利厚生費、後者は会議費となります。

②取引先を含む飲食で一人当たりの金額が5千円以下であるもの。なおこの場合の5千円が税込か税抜かはその会社の経理方法によります。ということは税抜経理の会社の方がこの場合は有利ということになりますね。

②の適用を受けるためにはその飲食の参加者の氏名を裏に記載しなければなりません(租税特別措置法施行規則第21条の18の4)。ちなみに表には当然ながらお店の名前と住所そして金額が記載されていなければなりません。

会社の経理担当者の方はそのように周知をお願いいたします。

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役員報酬と経済的利益

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いよいよ今日から三日間税理士試験が始まります。受験される方は暑い中大変だと思いますがどうか頑張ってください。

今回は役員報酬と役員に対する経済的利益の関係についてです。役員報酬も経済的利益についても以前お話した内容ですのでそれぞれについては詳しく見ていきませんのでご了承ください。

法人税法第34条により定期同額給与などの一定のもの以外の役員報酬は損金(法人税を計算するうえで経費として収入から引くことができるもの)に算入できません。ということは臨時的な報酬(賞与など)は定期同額給与ではありませんので損金不算入となってしまいます。

役員に対する経済的利益には例えば会社が社長にタダで車をあげる、決算内容が良かったから臨時ボーナスを社長に出す、などのように一時的に発生するものがあります。そうしたものは定期同額給与には該当しませんので損金に算入できません。これが痛いのは法人税で損金に算入できない一方で社長個人の税金を計算する時には所得としてカウントされるといういわば二重課税の状態になってしまうことです。

ですからくれぐれもこのような事態にならないようにしなくてはいけません。役員に賞与を出す、会社の資産をタダで渡すなどのようなことはあくまで節税という意味合いからは極力避ける必要があります。あくまで節税という意味合いからと申し上げたのは役員に賞与を出してはいけない、タダでものをあげてはいけないなどと法人税法ではどこにも書いてはいないということです。例えば士気の向上などからしていただくのは大いに結構ですが税金面では不利になりますよ、ということですね。

そのような場合は何が大事かを天秤にかけるということになろうかと思います。

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役員報酬は途中で変えてはいけない?

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以前お話した役員報酬は途中で変えてはいけないに関連するお話を。

役員報酬は途中で変えてはいけない、としましたが変えてはいけないなどとは法人税法のどこにも書いてありません。じゃあなぜそのような表現をしたか。変えてもいいんですが変えてしまうと変更した分だけ経費にできない可能性がありますよ、ということなんですね。ですから経費にできなくてもいいよ、ということであれば変えていただいてもまったくかまいません。

これについて見ていくことにします。法人税法第34条では役員報酬のうちこれこれこういったもの以外のものについては損金に算入しないとあります。ちなみに損金というのは会計上の経費のうち法人税法上でも経費として認められるものを言います。通常は経費=損金となりますが、一部例外がありますので経費と損金という言葉はそれぞれ使い分ける必要があります。

その法人税法第34条で言っているこれこれこういったものの一つに定期同額給与というものがあります(同条第一項第一号)。この定期同額給与というのは決められた期間内において毎月同額の給与ということなんですね。つまり法人税法第34条はこの定期同額給与に該当しない給与は損金に算入しないと解釈できることになります。

このことから途中で給与を変更した場合はその期間中に支給した役員報酬は定期同額給与ではありませんので損金不算入となってしまうということがわかります。ただ実際にはその期間中の全額が損金不算入となるのではなく頭が飛び出た部分、例えば4~9月に100万円、10~3月に200万円を支給した場合、10~3月の200-100=100万円(1か月あたり)が損金不算入となります。

ということで役員報酬は変えてはいけないわけではないんですが税務上のリスクから税理士はそのような表現を用いてアドバイスしているというのが実際のところです。

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役員報酬の自主返納の税務

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会社で何か不祥事があった時によく「役員が責任をとって給与の30%を会社に自主返納しました」などというニュースを聞くことがあります。実はこれ税務的に少し論点になるところなんです。

何が問題になるか。法人の役員の報酬(いわゆる毎月の給与のことですね)は原則的に年度の途中で変えてはいけませんよという規定が法人税法第34条にあります(正確には、変えてもいいですけど一定の部分は経費として認められませんよ、という規定の仕方です)。そうすると自主返納をしたときの報酬を他の月よりも低くく変更してしまった、という解釈もできます。

しかし実際にはこう解釈するというのが有力な説です。

「会社は他の月と同額の報酬を支払った。そしてそののち役員が会社に減額相当額を寄付した。」という具合ですね。

そもそもなんで法律で役員の報酬を毎月同じにせよ、などと決められなきゃいけないんでしょうか。経済活動は自由に行ってよいはずですので毎月支払う役員報酬の額も自由に決めてよいはずです。

しかしそうするとどういうことが起きるでしょうか。とくに同族会社の場合ですが、例えば決算が近づいて利益が100万円ほどでそうだとなった場合に、よしこのまま法人税を払うくらいなら社長の給料として100万円上乗せで出してしまえなどということも可能になります。そうすると法人税を支払わない会社が続出しそもそも法人税が存在する意味がなくなってしまうでしょう、ということなんですね。

そこで毎年度報酬の額は変えてもいいけど一度決めた額は年度中は変えてはいけませんよ、となりました。

役員報酬の自主返納という記事を新聞で見かけましたので今回はそれに関する税務を考察してみました。

 

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青色申告制度について

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

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今日は青色申告についてです。

皆さんは青色申告という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか。

青色申告というのは言葉の通り一定の条件を満たすと青色の申告書で所得税・法人税の申告をすることができるという制度です。

もちろんただ青色の申告書で提出できます、というだけではふーん、で終わりますよね。

青色の申告書で申告ができると様々な税制上の特典を受けることができます。税金面で優遇措置を受けることができますのでこの制度を利用しない手はないですよ、ということになります。

所得税・法人税でそれぞれ色々な優遇措置がありますが一番有名なものは所得税の青色申告特別控除かなと思います。みなさんの中でお聞きになったことがある方もいらっしゃるのではないかと思います。

この優遇措置は簡単に申しますと青色申告特別控除という名の経費を最大で65万円プラスで認めてあげようというものです。これは大きいです。税金に与えるインパクトがですね。例えば税率が住民税と合わせて30%の方ですと19万5千円税金が安くなります。これはすごいですね。使わない手はないです。

とまあいいことばかり述べてきましたがもちろん「一定の条件を満たすと」ですので、その条件を満たさなくてはいけません。

ざっくりと申し上げると

①日々の取引を簿記の原則に従って記帳する(誰でも知っている会計ソフトを使っていただければ簡単にできます)。

②記帳した数字に従って申告をする(今は市販の申告ソフトがたくさんありますね)。

③記帳した帳簿類・領収書等を保存する。

です。このようにそれほど難しいものではありません。どなたでもできる節税方法ですので是非チャレンジしてみてください。

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交際費と会議費

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

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会社の経理において飲食代の勘定科目を交際費になるか会議費になるか峻別するときに皆さんはどの様に判断しているのでしょうか。

お酒が入ったらとにかく交際費になる、一人3千円を超えたら交際費になる等々、、

以前はその判断基準が税務署から明示されず納税者側が何となくで判断していた部分がありましたが、今では明確に基準が設けられ、判断に迷うことが少なくなりました。

そもそも交際費になるか会議費になるかがなぜ重要かと申しますと判断を誤ることによって算出される税額が違ってきてしまう恐れがあるからです。

どういうことかというと、交際費は中小企業においては税法で年間800万円を超えると超えた部分はその10%を利益に加算してください、との規定があります。極端な話、交際費とすべき金額が1000万円あったとして全額を会議費とした場合、利益が(1000-800)×10%=20万円違ってきてしまうのです。

このように交際費か会議費かというのは税務上とても重要な判断作業の一つです。

ではその判断の流れをざっくりではありますがご説明いたします。

まず飲食が社内の人間のみで行われたか(社内飲食費と言います)社外の人間も参加したか(社外飲食費)に分けます。両者は判断基準が異なるからです。

社内飲食費は原則的には交際費となります。ん、社内の人間だけで飲食したのになぜ交際費? となると思いますが、そのように規定がされています。そこからは実質で判定します。会議・打ち合わせに必要なものとして支出したものと主張できればそれは会議費となり、ただ単に親睦を深めるためのものでしたら原則通り交際費となります。

次に社外飲食費は金額基準というものがあり、一人当たりの金額が5千円以下であればたとえ接待としての飲食でさらにアルコールが入っても会議としてかまいません。金額が5千円を超えると交際費としなければなりません。

と、このように考えていただければ結構です。

でも、そもそも交際費を税制で抑制しようとするのはいかがなものかと思っています。交際費をいっぱい使ってくれたらそれで飲食店は潤いその飲食店が多くの従業員を雇うことができ、税金も納めてもらって、等によりそれで経済が回るというところもあるのかなと思ったりしております。いかがでしょうか。

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