簿記のお話です

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

簿記と消費税がかかわることで起きる出来事について少しお話をいたします。

例題です。

自社所有の車(簿価50万円)を70万円で売却しました。仕訳はどの様になりますか。

(借方)現預金 70万円       (貸方)車両運搬具   50万円

固定資産売却益 20万円

と簿記の模範解答例はこうなりますね。消費税が導入される前でしたらここでお話は終わりです。ところが消費税の取り扱いからするとこの仕訳では0点です。納付税額を間違って計算してしまいます。

消費税法では、売上は売却益ではなく対価そのものを指します。売却益部分の20万円ではなく対価の70万円に消費税がかかるのです。

ですので簿記の理論的な仕訳は上のようなもので正解ですが、会社経理における実務上正解の仕訳はこうです。

(借方)現預金     70万円   (貸方)固定資産売却益 70万円

固定資産売却益 50万円       車両運搬具   50万円

通常は市販の会計ソフトで入力をされるかと思いますので消費税を考慮しなくてはならないのは固定資産売却益70万円のところだけで、課税区分は課税売上となります。このように仕訳をしていただくと試算表の数字も消費税の計算も正しいものが出るというわけです。

車の購入時の処理は下取車があった場合など非常に複雑になり経理の方はもちろんのこと会計事務所の職員でも苦手にしている方が結構いらっしゃいます。とりあえず対価に消費税がかかるんだよと、おさえてください。

東京都文京区の税理士です

医療費控除についてです

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

医療費控除という言葉を皆さんもお聞きになったことがあるかと思います。医療費控除って医者にかかったものしかダメなんだよね、と思われてる方も多いかと思いますが実はそうではありません。市販薬も認められるんですよ。

医療費控除で認められるものは主に病気・けがの治療のために支出したものです。治療のためのものなので例えば市販の風邪薬なんかも病気の治療のためのものですから認められますよ、という理屈ですね。

ですので、病院の領収書だけでなくドラッグストアなどのレシートもきちんと保存しておきましょう。あとで税金が戻ってくるかもしれませんからね。

ちなみに医療費控除って年末調整でできるんだよね、と思ってらっしゃる方を以前見かけたことがありますが医療費控除は確定申告でしかできませんのでお気を付けください。

 

東京都文京区の税理士です

消費税の課税要件について

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

今日は消費税の課税要件について、です。課税要件というのは要するに一定の条件が整うとある種の税金が課税される、ということです。

今回なぜこのお話をするかと申しますと昨日のお話と少し連携しているからです。

では、お話していきますね。

消費税法では課税要件について

①国内において

②事業者が事業として

③対価を得て行う

④資産の譲渡・貸付、役務の提供

については消費税を課する、と第4条において謳っております。この4つの要件をすべて満たしてはじめて消費税が課税されると言っているのです。これは課税4要件とも言いまして消費税法の根幹をなす概念です。消費税はこの課税4要件さえ頭にビシッと入っていればもう大丈夫、というくらいのものです。私も税理士試験の受験生時代から今日に至るまで消費税の取り扱いに悩む事案が出てきたときはまずこの課税4要件を確認してから判断することにしています。

この短い言葉の中には実は非常にエッセンスが詰まっておりまして、税法条文の解釈の面白さがふんだんに盛り込まれております。

税法を実社会の様々な取引に当てはめていくときにはもちろん正しい条文の解釈が必要になるのですが、例えば①の国内においてという言葉からすると「日本国内で商品を売る」という取引であれば誰しも、「うん、この取引には消費税が課税されるよな」というのが条文からも判断できますが判断に迷うような取引も数多く日常的に行われているわけです。そうすると国内においてと条文で謳ってはいますが、「国内において」というのは何が国内でなければいけないのか、ということが重要になってきます。実物資産を売買する場合は品物が国内にあるかどうかで判断すればよさそうですが、役務つまりサービスの提供の場合はどうなのか、例えば国内の会社から依頼を受けて海外の不動産広告を海外の顧客向けに打った場合ははどう判断するのか、などという問題が出てきます。こうした一つ一つの取引についてそれぞれ条文で手当てをしていくというのは非現実的ですので条文を当てはめることができないような取引についていかに条文を正しく解釈するかというのが非常に重要になってくるのです。。。

ん、話が脱線してしまい、元に戻れなくなってしまいました。条文の解釈については話し出したら止まらないくらい非常に面白い分野ですので、このくらいにしておきます。

昨日のお話とどう連携しているかと申しますと、②の事業者が事業としてという部分を見ていくと明らかになります。自宅を売却する時の税金の一覧に消費税がなかったと思います。自宅を売却するという行為は④の資産の譲渡に該当しますし、①も③も満たしますから一見するとあれ消費税が課税されるのかなと思います。がそうではありません。自宅を売却する行為は事業者が事業として行うものではないからです。売却益が出たとしてもそれは「たまたま」ですからね。なお、「事業として」という部分についても解釈論が色々あって面白い部分ではありますが、これも長くなりそうなのでここでは省略させてくださいね。

自宅を売却するという行為は課税4要件のうち②の要件を満たさないから消費税が課税されないということになります。

消費税ってこのように考えると面白いですよ。

 

東京都文京区の税理士です

 

 

自宅にまつわる税金について

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

今回は自宅にまつわる税金についてです。

自宅にまつわる税金は購入時から売却時まで色々かかります。その概要についてまとめますね。

①購入時・・・ 不動産取得税・消費税

※売却時に必要ですので契約書類は必ず保管しておいてください。

②毎年 ・・・ 固定資産税

③売却時・・・ 所得税(譲渡所得税)

番外編として相続時に親御さんの自宅を取得・・・相続税

自宅というのはその方がまさに居住の用に供している住居であり欠くことのできない非常に重要なものです。そのような理由から税金面でも自宅に関するものは各種優遇措置が設けられております。ここでは代表的なものだけあげますね。

①譲渡所得税の3,000万円控除・・・自宅を売却する際は新たに自宅を購入することがほとんどでしょう。そのような新たな資金が必要な時に売却益に税金をかけてしまうと新居取得が困難になる恐れがあることから売却益のうち3,000万円までは課税しない、つまり売却益が3,000万円を超えないと税金が出ませんよという制度が設けられております。

②小規模宅地等の評価減・・・親御さんから自宅を相続により取得した場合、相続税評価額の最大80%を減額してあげようというものです。子供が親御さんと生活をしていた自宅を相続により取得した場合、その子供にとっては自宅はなくてはならないものです。しかしながらそれに対して相続税を課税してしまうと最悪その自宅を売却して税金を納めなくてはならなくなります。それはあまりにも酷なので税金面で手当てしてあげましょうねというのがこの制度です。

このように種々の優遇措置を設けて国民の居住権の保護が図られています(政府の回し者ではありません)。特にご自宅を売却した際にはこのような優遇措置がありますので安心して新しいお住まいを探してくださいね(決して不動産業者の回し者ではありません)。

 

東京都文京区の税理士です

引越した場合の住宅ローン控除

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

今回は住宅ローン返済中に辞令がおりて引っ越しをしなければならなくなった場合、住宅ローン控除は受け続けられるかどうかというお話です。

そもそも引っ越しを機に自宅を売却して転居先で新居を見つけた場合は適用を受けていた家屋が存在しなくなるわけですからその時点で住宅ローン控除の適用は終了です。例えば新居を購入した場合は新居について改めて住宅ローン控除の適用を申請(確定申告により)します。ですので現在居住中の住居を残したまま住宅ローン控除を受けることができるかどうかというお話になります。

①単身赴任の場合・・・受け続けることが可能です。ただし海外へ単身赴任をした場合は、そもそも日本の所得税の適用外となりますので受け続けることはできません。

②全員で引っ越した場合・・・転居中は受け続けることができません。購入から10年以内に元の住居に戻ってきた場合(家族だけ戻ってきた場合もOKです)は戻ってきた年から適用期間中受け続けることが可能です。ただし戻ってきた年において他の人に貸していた場合はその翌年から適用期間中受け続けることが可能です。

②の場合は転居前および戻ってきた年に一定の手続きが必要となりますので、ご注意ください。

東京都文京区の税理士です

 

 

青色申告制度について

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

今日は青色申告についてです。

皆さんは青色申告という言葉をお聞きになったことはありますでしょうか。

青色申告というのは言葉の通り一定の条件を満たすと青色の申告書で所得税・法人税の申告をすることができるという制度です。

もちろんただ青色の申告書で提出できます、というだけではふーん、で終わりますよね。

青色の申告書で申告ができると様々な税制上の特典を受けることができます。税金面で優遇措置を受けることができますのでこの制度を利用しない手はないですよ、ということになります。

所得税・法人税でそれぞれ色々な優遇措置がありますが一番有名なものは所得税の青色申告特別控除かなと思います。みなさんの中でお聞きになったことがある方もいらっしゃるのではないかと思います。

この優遇措置は簡単に申しますと青色申告特別控除という名の経費を最大で65万円プラスで認めてあげようというものです。これは大きいです。税金に与えるインパクトがですね。例えば税率が住民税と合わせて30%の方ですと19万5千円税金が安くなります。これはすごいですね。使わない手はないです。

とまあいいことばかり述べてきましたがもちろん「一定の条件を満たすと」ですので、その条件を満たさなくてはいけません。

ざっくりと申し上げると

①日々の取引を簿記の原則に従って記帳する(誰でも知っている会計ソフトを使っていただければ簡単にできます)。

②記帳した数字に従って申告をする(今は市販の申告ソフトがたくさんありますね)。

③記帳した帳簿類・領収書等を保存する。

です。このようにそれほど難しいものではありません。どなたでもできる節税方法ですので是非チャレンジしてみてください。

東京都文京区の税理士です

 

遺族年金について

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

また一日休んでしまいました。。。今日から再開です。

またもや年末調整のお話を一つ。

親御さんを扶養親族とされている方はその親御さんが年金受給者の場合、その年金の額を会社などに申告しているかと思いますが、通常の年金の他に遺族年金を受給されている場合その遺族年金も年金の額に含めて申告する必要があるかどうか判断に迷うところですね。

結論から申しますと含めなくて結構です。所得税法では通常は所得とすべきものであっても一定の理由から非課税としているものがいくつかありましてその中に遺族年金含まれているからです。所得税法上非課税とされておりますので親御さんの所得にも含めなくてもよいという理屈ですね。ちなみに非課税となるものにはあの有名なノーベル賞の賞金もちゃんと書かれていますよ。

年末が近づいて遺族年金のように年末調整に際し判断に迷うものが他にもいくつかありますのでこれから随時こちらに載せていこうと思っていますので参考にしていただけたら幸いです。

※参照条文 所得税法第9条

東京都文京区の税理士です

 

軽減税率への対応

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

以前消費税のお話をしたときにお店はお客様から消費税を預かってそれをまとめて納付するという仕組みをとっている、と申し上げました。

この話だけですと「そうするとお店が国に納める消費税はお客様から預かった分だよね」となりますね。例えば10万円の売り上げがあったとすると国に納める消費税は8%である8千円となると思います。

ところが実際に納める消費税はそうではありません。お客様から預かった消費税からお店自身が例えば仕入の際にお客として他のお店に預かってもらった消費税を引いた金額だけを国に納めるのです。お店はお客様から消費税を預かる一方、他のお店にその一部を預かってもらうという形で国に納めているんだ、と考えるとわかりやすいかなと思います。

ところでこのタイミングでこのお話をしたのは今ニュースで消費税の増税のお話が毎日のように取り上げられているからです。ん、ここまで増税の話とは全く関係のない話だったな、と思われるかもしれませんが実はそうではありません。

消費税が10%に増税されると同時に軽減税率制度がスタートするからです(まだ確定ではありませんが)。

軽減税率のお話をするときはよく飲食店・スーパーなどを例にして解説がされています。ああ、飲食店・スーパーは対応するのに大変だなあ、と他人事のように思ってらっしゃる方がほとんどだと思いますが、いえいえすべての業種で対応が必要なんですよ!!

と声を大にして申し上げます。

先ほど消費税の仕組みは預かった消費税から預かってもらった消費税を国に納めるんですよ、と申し上げました。その預かってもらう消費税が8%か10%か、というところが決まらないと納めるべき消費税の計算が完了しません。そういう意味ですべての業種で軽減税率の影響が実はあるんですね。

ということで会社の特に経理部門の方は他人事ではなく当事者としてこれから来年の10月まで対応に取り組んでいただきたいと思います。

東京都文京区の税理士です

年末調整の社会保険料控除について

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

すみません、3日ほどお休みしました。また今日からお付き合いください。

年末調整のお話を一つ。親御さんを扶養している方のケースです。

社会保険料控除の対象となるものはご本人の給料から天引きされるもの・ご自身が支払う国民年金保険料・国民健康保険料などの他に親御さんのものであってもご本人が負担されるものは対象となります。

ただし親御さんのものであっても一つだけ対象とできないものがあります。年金から天引きされる社会保険料です。

親御さんの社会保険料はご本人が負担した場合に控除対象となりますが、天引きされる場合は明らかにその親御さんご自身が負担したという動かぬ証拠があるわけですからそれは控除対象にならない、という理屈です。

給料から天引きされる社会保険料についても同じ理屈から控除対象になりません。親御さんが働いてらっしゃってその勤め先の給料から社会保険料が天引きされている場合、その社会保険料は控除の対象とはならないんですね。親御さんの社会保険料を控除対象とするには社会保険を脱退して国民年金・国民健康保険に加入すればいいということになりますが、ただしこれは税金のことだけ考えた場合であって社会保険も含めたトータルではどちらが良いかとなると人それぞれによると思いますので何とも言えないところです。

東京都文京区の税理士です

年末調整で会社の資金繰りが悪くなる?

みなさんこんにちは、税理士の古見です。

東京の文京区で税理士事務所を開業しております。

昨日のブログで年末調整で還付金を従業員の方に戻しても会社にとって損も得もないですよ、と書きました。

会計的には確かにそうなんですが、この話を突き詰めますと実は資金繰りつまりキャッシュフローが一時的に悪くなるので会社にとっては損ですよ、となるのです。

例として、、、

全社員の還付金の合計が150万円、月々の納めるべき所得税が50万円だったとします。

そうしますと通常は12月の納めるべき所得税と還付金を相殺して12月分の実際に納めるべき所得税を計算しますので、12月分はマイナス100万円となります。納めるべき所得税がマイナスの場合はその月の分は納める必要がありませんので、よって12月分は納めなくてもよいことになります。そしてその引ききれなかった100万円は次月以降の納めるべき所得税と順次相殺します。結果的に2月分になってやっとマイナスが解消されます。

このことはキャッシュフロー的には12月にいったん社員の方への還付金という形で150万円のキャッシュが流出したのを2か月たってようやく回収できた、ととらえるます。そうですね、タイトル通り年末調整の還付金によって一時的に資金繰りが悪化してしまっています。

このように会計的には最終的に帳尻が合うことでもその帳尻が合う過程で資金繰りが悪くなるなどということが結構ありますので注意が必要です。

 

東京都文京区の税理士です