みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
今週もよろしくお願いいたします。
贈与税は相続税の補完税と言われます。贈与税は相続税の何を補完しているのでしょうか。
相続税の構造的な問題を補完しています。
構造的な問題とは何か。
相続税は被相続人(亡くなった方です)の死亡時の財産に対して課税されます。死亡時の財産が0であれば当然相続税も0です。
そうすると、人によっては相続税を回避するためにじゃあ生前に家族などに財産を移転してしまえばいいんじゃないのか、そう考えます。
これでは相続税という税目が有名無実となってしまいますね。
それを阻止するために生前の財産移転について贈与税という税を創設し、相続税の実効性を担保しようとしました。
ですから贈与税の税率を高率にし、生前の財産移転を抑制しようとしているのです。
その贈与税ですが相続税の補完税ですからいずれは生前に財産移転された贈与財産は全額相続財産に加算されて相続税の課税を受けるのが本来の姿です(もちろん加算された財産に係る贈与税は算出された相続税から控除されることとなります)。
しかしながらそれは課税技術上困難ですので(何十年も前に贈与された財産まで相続財産としての計上を求めること自体、ほぼ不可能であることから)相続開始前3年以内に移転された財産に限って相続財産に加算しなさいと規定されることとなったのです。なぜ3年かについては議論の余地があると思われますが。
このようにして生前贈与加算の規定は設けられていますが、実はこの規定が適用されないケースがあります。
相続税法19条1項は生前贈与加算を規定した条文ですがその出だし適用対象者を
「相続又は遺贈により財産を取得した者が・・・」
と限定しています。
このことから相続に際し財産を取得していない者についてはこの規定の適用はないということになります。
ということで3年以内の贈与はすべて加算されるわけではないことを今回お話いたしました。