みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
贈与税負担を恐れず高額な贈与を行うことで相続税対策が図れる可能性があることは以前お話しました(こちらの「高額な贈与もありです」をご参照ください)。
今回は税負担の多寡とは違った観点から贈与税負担を恐れない相続税対策について考察されたある方の記事についてご紹介をしてまいります。
その記事とはTSPコンサルティング株式会社代表の佐藤毅史氏の記事でして、氏によりますとある程度の贈与税というコストを支払っても素早い財産移転を行うことのメリットがあるとの内容でした。
例えば1千万円の親から子への財産の移転を考えていたとします。財産の移転方法は一般的には贈与という手段が用いられますのでこの場合も贈与を行うこととします。
①贈与税のかからない範囲内つまり年間110万円以下の贈与を10年間続ける
②毎年贈与税を20万円負担しても毎年310万円の贈与を4年間行い、1千万円の財産の移転を完了する
どちらが賢い方法かということですが、この場合何をもって賢いとするかで結論は変わってくるでしょう。
贈与税を1円も負担せずに1千万円の財産移転ができる①の方法が賢いといえる、という方もいらっしゃるでしょうし、いやいやできるだけ早い財産移転を完了できる手段を選択すべきだ、という方もいらっしゃるでしょう。
記事では財産移転の素早さを主な理由に②の方法が推奨されていたようですが、もう一つメリットがあります。それは生前贈与加算のリスクを回避するということです。
生前贈与加算とは相続開始前3年以内の被相続人(亡くなった方です)からの贈与は相続財産に加えなさいという制度です。
せっかく相続税対策として生前贈与を行ってもこの適用を受けることにより対策の効果が相殺されてしまうことがありますので素早い移転によりそのリスクを減らすことができるというわけです。
税理士はとかく税負担を中心にして考えがちですが、違う視点も必要なのだなと今回あらためて思った次第です。