みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
先日は法人税の調査状況が公表されたことについて触れましたが今回は所得税の調査状況が公表されたことについて見ていきたいと思います。
国税庁の公表データによりますと、平成30事務年度における所得税の調査件数は約7万3千件、そのうち申告漏れ等の非違件数(当初申告に誤りがあった)は約6万件、割合にすると82.7%です。
調査に着手した場合その8割超について何らかの指摘事項があったことになります、、、
ただしこの数字には若干の補足が必要です。
はじめから不正が見込まれ臨む調査を特別調査・一般調査と言い、これらの調査は時間をかけていわゆる徹底的に調べ上げるものであることに対し、不正とまではいかないが不明点があるために行われる比較的短期間で完了する着眼調査と言われるものがあります。
双方の総件数、非違の割合を比較してみますと
①特別調査・一般調査
総件数 約5万件
非違件数 約4万4千件 (割合 88%)
②着眼調査
総件数 約2万3千件
非違件数 約1万7千件 (割合 72%)
となっており、当然ですが①の割合が高くなっています。それでも1割以上は非違がなかったということなので、そもそも見込みが間違っていたのかはたまた、、、
なお、申告漏れの所得金額および追徴税額は
①特別調査・一般調査
所得金額 1件当たり約1千万円
追徴税額 1件当たり約150万円
②着眼調査
所得金額 1件当たり約330万円
追徴税額 1件当たり約22万円
①の申告漏れの所得金額の1件当たり約1千万円はすごいですね。もちろん事業所得の他、譲渡所得なども調査対象となっていますので、例えば近年話題になった仮想通貨取引により多額の利益を得た場合なども含まれています。こういった案件が全体の数字を引き上げている可能性はありますね。