繰延資産を上手に使って節税しましょう

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

個人事業主の方は開業する前の経費はどの様に処理をされたでしょうか。

開業する前の経費は繰延資産で処理します。。。

繰延資産とは何ぞや、というところですが繰延費用と読み替えたらわかりやすいでしょうか。繰延費用、つまり何かをあとに繰り延べる費用ですが何をかと言いますと計上を繰り延べます。

支払った時の経費としては計上しませんよ(というよりできませんよ)、ということです。

ちなみにではなぜ繰延資産というかと言いますと在庫と同じで資産として科目表示をすることにより計上を留保するからです。

このように開業前の経費は一旦繰延資産として経費計上がストップされます(会計の理論からすると費用収益対応の原則によるということなのですがその詳細につきましては追々ご説明申し上げます)。

ではいつ経費として計上できるのでしょうか。実はいつでもいいんです。開業前の経費は開業費と言う繰延資産として処理するのが一般的なのですが、その開業費はいつしかもいくら(もちろん当初計上額の範囲内で)計上してもかまわないことになっています。

これを利用して節税をしましょうというのが本題です。

Aさんの事業(個人事業)において開業前でも開業後でも購入するのはどちらでも構わない物が100万円ほどあったとします。

いままで申し上げた通り開業前に支出すると開業費と言う繰延資産で処理しますが開業後に支出をすると単なる経費として処理をすることになります。

この同じ物でも取り扱いが異なるのがポイントです。

①Aさんは開業年に60万円の赤字が出ました。前提としてさきほどの100万円は開業後に支出をしましたのでまるまる経費として計上されているとします。
Aさんの開業年の事業所得は60万円の赤字で申告することになりますね。Aさんが青色申告の承認を受けている場合にはこの赤字は翌年以降3年間繰り越すことができます。ここで繰り越すことができるとはその年の黒字と相殺できるという意味です。

②一方同じくAさんが先ほどの物を開業前に購入していた場合は100万円は開業費として処理することとなります。そしてその100万円をまるまる経費計上しなかった場合にはAさんの開業年は40万円の黒字になります。
そしてそこから基礎控除等の所得控除が40万円ありましたので課税所得は0となり所得税が発生しませんでした。

と、開業年の所得税は結果的に等しくなりました。

問題は翌年です。

翌年200万円の黒字が出ました。

①の処理をしていた場合にはその黒字200万円と相殺できるのは60万円です。

②の処理をしていた場合にはその黒字200万円と相殺できる開業費は100万円です。

①の場合の事業所得は140万円、②の場合の事業所得は100万円です。このように両者に差が出ました。

この40万円の差はどこから来たかと言いますと開業年の所得控除を使えたかどうかです。

いかがでしたでしょうか。もちろん大前提として同じ性質のものを開業費として処理することに合理性がなければなりませんが、課税所得に差が出るということは税金に差が出るということつまり節税になったということです。

このような節税方法もあるんだよということをみなさんにお知らせしたくて今回お話をいたしました。

何度もしつこいようですが最も重要なことは「合理性」です。

 

今年も当ブログをご覧いただきまして誠にありがとうございました。
来年も引き続きごひいきにしていただけたら幸いです。

では良いお年をお迎えください。

~今日のひとこと~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
最後もNFLで失礼します。レギュラーシーズンも第16週が終わり残り1週となりました。8つある地区のうち6地区で優勝チームが決まりプレーオフ進出チームの顔ぶれも揃ってきました。そこで私の今シーズンのスーパーボウルの対戦カード予想は(AFC)カンザスシティチーフス、(NFC)49ersです。当たるも八卦当たらぬも八卦、、、
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東京都文京区の税理士です

 

わいろは経費?

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

現職の国会議員が収賄容疑で逮捕された、そんなニュースが話題になっております。

もしも収賄罪が確定した場合に支払者側において経費計上していたらその経費性は認められるかというお話です。

答えは簡単、認められません。

所得税法45条2項および法人税法55条5項においてそれぞれ経費計上できない旨の規定がされております。

一方受け取った側は不正行為による収入であっても所得があったとして申告をしなければなりませんから、いわば二重に課税がされることになります。

二重に課税されるというのは支払者側で経費にならず、受取者側で所得になるという意味です。

ちなみにこのようなものは他にもありますが代表例としては法人の役員に対する賞与です。

役員賞与は一定の場合を除き損金(法人税で言うところの経費です)に算入されません。

支払者側で経費にならず、一方で受領した役員は所得として申告をしなければなりませんので二重に課税がされている状態と言えます。

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節税になりませんのでご注意を

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

個人事業主の方は年末ということで利益がたくさん出ている方などは節税対策を色々検討されていることと思います(残り一週間しかありませんが、、、)。

節税のほとんどはお金が出るものですので無駄遣いは本末転倒というものです。税金を安くするためにあまり必要ではないものを購入してしまうといった場合ですね。

ところが事業に必要なものを購入した場合でも節税にならない、そんなケースがあります。

期末に減価償却資産を購入する、というのはその代表例と言っていいでしょう。減価償却資産とは法定の年数にわたって購入資産を費用化していく場合のその資産を言います。

資産の性能、性質、用途などによって事細かにその年数が規定されていますが例えば5年にわたって費用化をすることを求められている場合、年末に購入するとその購入費用の1/60しか経費計上できません。100万円で購入したものであっても1万7千円弱しか経費にできませんので節税になりませんし、キャッシュフローも悪くなってしまいます。ですのでよほど必要性が高くない限り(まだ使用できる場合など)は購入を控えることをお勧めします。

一方、日常使う消耗品でも場合によっては節税につながらないことがあります。

例えば12月31日に大量のコピー用紙を購入する、切手をまとめ買いする、などといった場合ですね。

これらは場合によっては在庫として扱われ経費から除外される恐れがありますので注意が必要となるものです。

期中におけるこれらの取引について税務当局から指摘されることは無いと思われますがこと期末のこととなると話は別です。

ここでも費用収益対応の原則が適用されるのですが、コピー用紙、切手であっても未使用であれば売上に貢献しているとは言い難いのでそれらは使用して初めて経費として計上が可能と言えます。

しかしながら使用の都度経費化するというのは実務上非常に煩雑ですので継続適用を前提としてこれらは購入時に経費化することが認められています。

毎期期末に大量のコピー用紙、切手類を購入しています、ということであれば通常の取引として認められる場合もあるでしょうが、利益が出たからということで行う取引については異常取引として指摘される可能性は否定できません。指摘されるということは購入した期の経費として計上することを否定(否認と言います)されるということです。

ということでこのような異常な取引については特に注意が必要ですのでお知りおきください。

 

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在庫の消費税の取り扱い

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今回は会計事務所の職員も必ず一度はつまずく論点を見ていくことにいたします。

在庫を仕入に振り替えるときにはその仕入についてはその振替をしたときに仕入税額控除を受けるのでしょうか。

少し回りくどい表現の仕方になりましたが、実際の現場では

(借方)期首棚卸高 *** (貸方)商品 ***

とした時の借方の費用項目は消費税の課税取引として会計ソフトの入力を行うか、ということです。

答えは課税対象外取引として入力してください、となります。

消費税の考え方として物品の引き渡しを受けた時、サービスの提供を受けた時に仕入税額控除をしなさいというものがあります。ここが法人税の考え方と違うところです。法人税は会計に関する大原則を基に利益を確定させ、法人税の計算をしてくださいと定められておりますので、在庫は経費となりませんが、消費税の世界では在庫であっても物品の引き渡しは既に受けていますので仕入をした時点で仕入税額控除をしてくださいねとなるんですね。

結果として会計処理をするときには仕入時に

(借方)仕入 *** (貸方)現預金 ***

このような仕訳を切る際に消費税の課税取引として、仕入税額控除を受けてよいんです。

この消費税と法人税の考え方の違いがなかなか理解できずに苦しむところではないのでしょうか。

しかしながらそこで悩むということは自分で理解をしようと試みていることに他なりませんのでむしろ望ましい状態と言っていいのかなとも思います。そのように悩んだ挙句に理解したほうが知識として定着しますしそうなったら怖いものなしですからね。

遠回りのようで実は近道だったということになると思います。

 

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遺言書は何歳から書ける?

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今週もよろしくお願いいたします。

今回は遺言書は何歳から書くことができる、そんなテーマでお話をしてまいります。

といいますのも先日あるテレビ番組でフィンランドを紹介するという企画のものがありましてその中で学校の授業として遺言書の書き方が教えられている、を拝見し驚くとともにとても合理的な考え方をする国民なんだなあと感心させられたからです。

一方の日本では未だに遺言書について語られることがタブー視される風潮がありますしどちらかと言うとあまり話題には持ち出しにくいところではあります。

しかしながら遺される方々に対する最後の愛情たっぷりのプレゼント、そんな想いをしたためながら書く遺言書というのもなかなか素敵だと思いませんか。

前置きが長くなりましたが、遺言書は何歳から書くことができるのか、見ていくことにします。

民法第961条 十五歳に達した者は、遺言をすることができる。

民法ではこのように規定されております。もちろん15歳未満でも遺言書は書くことは可能なのでしょうがその遺言書が有効と扱われるのは記載者が15歳以上の場合に限る、ということなんですね。

15歳を過ぎれば有効な遺言書を書くことができるのであれば日本でも学校の授業に取り入れることを検討してもよいのかなとも思ったりします。みなさんはどう思われますか。

 

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相続税に関する資料が発表されました

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昨日相続税の調査状況に関する資料が国税庁から公表されました。

それによりますと平成30事務年度(今年6月までの1年間)の相続税の税務調査の結果は

①調査実施件数 12,463件
②うち申告漏れ等の非違件数 10,684件 (85.7%!)
③申告漏れの相続財産の総額 3,538億円
④1件当たりの申告漏れ額 2,838万円 (③/①)
⑤1件当たりの追徴税額   568万円

②の85.7%をご覧になってもお分かりのように相続税はその調査において多くの場合、何らかの指摘事項がある場合がほとんどといってよいでしょう。

また無申告が疑われる事案についての調査結果も公表されており

①調査実施件数 1,380件
②うち申告漏れ等の非違件数 1,232 (89.3%)
③申告漏れの相続財産の総額 1,148億円
④1件当たりの申告漏れ額 8,320万円
⑤1件当たりの追徴税額        731万円

となっております。

無申告が疑われるとは、税務当局が何らかの手段により該当者の所有財産を推測し、それが基礎控除を超えるであろう場合に申告の事実がないケースを言います。

当たりをつけたうちのほぼ9割で非違があったというのはすごいことだと思います。恐るべしですね。

このような資料の公表は無申告に対する大いなる抑止力となっているのではないでしょうか。

~今日のひとこと~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
NFLは第15週が終わりました。プレイオフの行方がだいぶ見えてきましたね。AFCではペイトリオッツ、レイブンス、チーフスがシーズン前の予想通り上位に進出しそうです。一方のNFCでもパッカーズ、セインツ、シーホークスの好調は予想通りではないでしょうか。唯一49ersは少し意外と言ったところでしょうか。名門復活は喜ばしい限りですね。
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今週もご覧いただきまして誠にありがとうございました

 

東京都文京区の税理士です

私道の評価は?

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相続財産にはさまざまなものがあります。それこそ一人一人の置かれた環境が違うようにその保有している財産も人それぞれのはずです。

相続税は種々の財産を貨幣的な価値に直してその価値に対して課税をしようとするものですからそれらに対応するように計算方法が色々用意されています。

そのうち今回は財産の中に私道があった場合のお話です。

①いわゆる通り抜け道路のように不特定多数の者の通行の用に供される私道についてはそもそも評価しない、つまり財産としてカウントしなくてもよいことになっております。

②袋小路で特定の者(住人)のみの通行の用に供されている私道については通常の宅地として評価した金額の30%相当額でよいとされております。

いずれも公共性が高いことによりこのような措置がとられています。

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孫養子と相続税

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今回は孫養子の相続税における論点についてお話をしていきます。

孫養子とは実の孫で養子となった者を言います。続柄が2つ存在することとなります。本人から見ると孫であり子であるといった具合ですね。

相続税法では一親等の血族(子、親)及び配偶者以外の者の相続税額についてはその額の20%を加算した金額をもって納付すべき相続税額とすると定められております(18条1項)。よく2割加算と言われております。

そうすると孫養子は子供でもありますからこの2割加算の対象外でしょ、と思われるかもしれませんがそうではありません。

同じく18条の第2項では直系卑属(孫、曾孫など)が養子となっている場合には対象とするとの規定がされているのです。

それはそうですよね。単なる孫の場合は2割加算です。これは相続を1回飛ばしているからと言われています。が、孫養子にしたとたん対象外では公平が保てませんからね。

まあ2割加算しても相続を1回飛ばす価値がある場合もありますからケースによっては孫に財産を相続させるのもありはありだと思います。特に相続税がかからない場合には検討の価値ありです。

ということで今回は孫養子と相続税についてのお話でした。

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通過勘定と消費税

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通過勘定と消費税、今回はそんなテーマでお話をしていきます。

まず通過勘定とは預り金、預け金などの当事者を字のごとく通過していくだけのものを言います。

例)
仲介業者である当社は買主A社より購入代金を預かりそれを売主B社へ引き渡した

この取引を簿記で表すと
①(借方)現預金 ***  (貸方)預り金 ***
②(借方)預り金 ***  (貸方)現預金 ***

となりますので取引の前後で少なくとも財務上まったく変化がないことがわかります。

しかしながら次のような会計処理も認められております。

①(借方)現預金***   (貸方)売上  ***
②(借方)仕入 ***   (貸方)現預金 ***

同様に取引の前後で財務上まったく変化がありません。ところが場合によっては会社に不利益が生ずることがあります。

消費税については以前お話したことがありますが、小規模事業者については納税の義務を免除するという制度が採用されております。その小規模かどうかの判定に使用する指標の一つが基準期間(通常は2年前)における課税売上割合です。課税売上割合とは消費税の課税対象となる売上のことを言います。

そうしますと上記2つの方法を比較するとどちらが不利になる可能性があるかは明らかですね。

そうです。2番目の方法です。この方法をとることにより本来納めなくてよい消費税を納めなければならなくなる可能性が出てきます。それは会社にとって不利なことです。

ということでいわゆる通過勘定は損益項目を使用しないことが肝要となりますのでお知りおきください。

東京都文京区の税理士です

税理士試験の合格発表がありました

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

今週もよろしくお願いいたします。

先週金曜日に今年の税理士試験の合格発表がありました。

税理士試験は科目合格制度を採用していることは以前お話したとおりです。最終合格者つまり5科目について合格した人を合格者と言い、その途上の人(1~4科目めの合格者)を科目合格者と使い分けをしているわけです。

まず合格者は官報合格と言われており、その名の通り当日の官報の号外に名前が載ります。官報に名前が載るなどということはめったにないことですのでとても名誉なことだと思います。

このようにして合格者は発表当日に試験結果を知ることができます。ただし、3科目の合格をしている方で2科目受験をした場合には官報に名前が載っていなくてもどちらかの科目だけが合格している可能性がありますが。

一方科目合格者は試験結果の通知書が郵送されることにより結果を知ることとなります。

通常は届くのが早くても発表翌日、月曜日に届くなどということも割とありまして、結構やきもきさせられるところではあります、、、

土曜日に届いていたら合格している、月曜日だったら不合格だ、などという都市伝説級のお話が広まっていますがその真相は定かではありません。

なお、税理士試験にまつわる都市伝説は他にも数知れずありまして、良い機会(?)ですのでいくつかご紹介します。

①採点者が階段の上から答案用紙を飛ばして遠くまで飛んだ答案を合格としている

②家族とケンカした時に採点した場合には採点基準が辛くなる(割と当たっているかも??)

③試験を受けていないのに合格の通知が届いた(あり得ないことですが、、、)

などなど。

まあここは公正な採点をしていただいていると信じることにいたしましょう。

 

東京都文京区の税理士です