みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
土地の相続登記義務化(11月26日付夕刊)、空き地売却で税軽減(11月27日付夕刊)。いずれも最近の日経新聞の一面記事です。
来年度の税制改正大綱の発表が12月中旬に迫っている中、政府が今後国をどう舵取りしていこうか、が見て取れるのがこの時期の税制改正関連の記事です。
先ほどの2つの記事から見えることはひとこと土地の有効利用を図り経済の活性化を目指す、と言ったところでしょうか。
それぞれの制度の詳細につきましては決定前ということもありましてここでは申し上げませんが、これらの措置は今ある社会全体の問題に対応するものであることがわかります。
それは相続登記が放置されるなどした結果所有者が不明となっている土地が全国に相当数ありそれが再開発等の妨げになっているということです。
産学官の有識者で構成される所有者不明土地問題研究会によりますと2016年現在、全国に所有者不明土地は410万ヘクタールあるそうです。九州本島の全体の面積が370万ヘクタールですからその問題の規模の大きさがわかるというものです。
相続が繰り返される過程でその都度しなくてはならない相続登記を怠った場合所有者がそれこそネズミ算式に増えていき最終的にどうしようもできない状態になってしまうということが往々にしてあります。
そのようにして最終的に所有者が不明(死亡により不存在であることがほとんどではないかと思われます)である土地については買い取って開発をしようとしてもできない状態となってしまいます。
このような問題に対応するため政府は上記のような策を検討しています。
日本では土地の私的所有が認められており、その所有者利益が最大限図られていますが諸外国では必ずしもそうではないこともあります。財産権よりも公共の福祉を優先させることがその理由だと思いますがそろそろ日本もこの土地の所有権について一定の制限を設けるなどの措置を検討しなければならないのかもしれません。