みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
今週もよろしくお願いいたします。
未婚の親を税制面で優遇か、そんなニュースが先週ありました。
そもそも片親については所得税法において所得控除の一つである寡婦(夫)控除などの税優遇措置があります。ひとり親の経済的に不利な状況を税制面から支援するという考え方です。
では未婚の親もそれでケアできるのではということですがそうではありません。現行の寡婦(夫)控除は配偶者と離婚または死別(行方不明を含む)した方について一定の場合に所得控除を認めるというものです。
一方未婚(戸籍上です)のまま子供をもうけた場合については現行制度では特に優遇措置は設けられておりません。
現行の寡婦(夫)控除という優遇措置の対象者からそのような方たちがもれてしまっているんですね。
状況としてはひとり親で子供を育てているという意味では何ら変わらないにもかかわらずこれでは不公平ではないかという声が上がり、今回の新たな優遇措置をもうけようという動きだそうです。
今はその議論の行方を見守っていこうと思っているのですがその議論のメンバーの意見の中でこのような制度を設けることは結果として未婚の親を助長してしまうのではないかというものがあったそうです。果たしてそうでしょうか。
そもそも所得控除とは所得(いわゆる儲け)から経費のようなものとして引くことができるものですがそうするとご本人の住民税を含めた税率がそれほど高くない場合には税金の最終値に与えるインパクトはあまり大きいとは言えません。
例えば現行の寡婦(夫)控除は27万円が認められているのですがご本人の税率が住民税を含めた税率が15%だとすると税額に与えるインパクトは
27万円 × 15% = 40,500円
です(復興所得税は計算に含めておりません)。果たしてこれだけのインパクトで人々の意思決定に影響を与えるかどうかは疑問の余地があるところです。これで、じゃあ未婚のまま子供をもうけよう、とはならないということですね。
いずれにしてもいろんな意見はあるでしょうが、議論の行方に注目をしたいと思います。