みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
今回は建物を売却した時にまつわる税金のお話です。
所有する不動産を売却した時にかかる税金は譲渡所得税です。その譲渡所得税は売却金額ではなく売ったことにより儲けた部分に対してかかってくるのでした。儲けた部分は
売却金額 - (取得金額+売却費用)
で計算されます。ではこの取得金額、文字通り取得にかかった金額なのでしょうか。
土地については基本的には取得にかかった金額をそのまま使います。ちょっと複雑なのが建物の方です。建物は時の経過とともにその価値が減少すると考えその価値の減少分を取得にかかった金額から引いた金額を取得金額します。なお価値減少分の計算方法は次の通りです。
①事業の用に使用していた建物
→ 減価償却累計額
②それ以外の建物
→ 建物の耐用年数の1.5倍の年数に対応する旧定額法の償却率で求めた1年当たりの減価償却費相当額にその建物を取得してから売るまでの経過年数を乗じて計算します(国税庁ホームページより)
②について具体例を用いてご説明いたします。自宅(取得金額1千万円)を取得後5年で売却した場合で建物が木造とします。
木造で住宅用の建物の耐用年数は22年です。この22年の1.5倍ですから33年です。この33年に対応する旧定額法の償却率は0.031です(国税庁のホームページのこちらをご参照ください)。ここまでを数式で表すと
10,000,000 × 0.9 × 0.031 × 5 = 1,395,000
これが価値が減少した部分の金額です。よってこの建物の取得金額は
10,000,000 - 1,395,000 = 8,605,000
となります。
取得金額が当初より下がるということはそれだけ税金が高くなってしまうということです。譲渡所得とは売却により儲けた部分ですので取得金額として用いるべきは当初の取得金額ではないのかという理屈も成り立ちそうですが規定上建物については上記のように計算しますのでご注意ください。