みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
利益がこれだけ出ていてもお金はそれほど残らない。なぜでしょうか。それは利益は発生主義で計算されるので実際のお金の流れを反映していないからです。
ズレの原因はいくつかあります。代表的な例を挙げて見ていきましょう。
①掛売上
掛売上とは掛で売り上げを計上することです。掛とは現金決済は後でいいですよということです。例えば6月末締めの売上代金を7月に請求書を顧客に請求し入金は7月末にという取引はよくありますが6月分の売上は6月に計上し、入金は翌月である7月ですのでまさに掛で売り上げていることになります。6月に初めて売り上げがたった場合には7月初めはその売上に見合う現金が手元にないことになります。
②掛仕入
売上とは全く逆のことが起きます。仕入という費用が先に計上されそれに見合う現金がまだ手元にある状態です。
③借入・返済
ある投資をするために借入を例えば300万円起こし、毎月5万円ずつ返済をしたとします。その投資が全額経費計上された場合にはその投資をした期にのみ300万円の経費が計上され、資金の増減は当期中に返済した借入金の分だけ純減することになりますので当期中に限っては経費に見合う現金(から返済金を差し引いた分)がまだ手元に残っていることになります。そして翌期以降は経費は計上されませんので会計上の利益から返済金を差し引いた分の現金が手元にあることになります。
④減価償却
③の借入金と関係が深いのが減価償却です。減価償却とは高額な資産を購入した場合の購入費用を法定の年数で各年に一定額を経費配分していくことを言います。ここで面白いのが法定の年数と借入金の返済期間が同じときです。法定の年数(耐用年数と言います)が22年の建物を22年ローンで購入した場合、利益とお金の流れが一致します。経費は22年間毎年定額計上され、借入金も22年間毎年定額返済され両者の額は一致するからですね。このような場合は決算書がとても見やすくなります。
毎月の試算表をご覧になる時に①~④を加味すると現金のおおまかな流れがわかるようになりますので一度お試しください。