節税保険の見直し

みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。

国税庁は今月11日、いわゆる節税保険の課税ルールの見直し案を発表しました。それによると支払う保険料のうち返戻率によって損金(いわゆる経費のことです)に算入できる割合を設定するとのことです。具体的には返戻率が50~70%のものは6割、70~85%の場合は4割、返戻率がそれ以上のものについてはもっと少なくする、などとする方針です。

みなさんも特に会社を経営されていらっしゃる方は「今期は相当利益が出そうです。このままでは税金をたくさん支払うことになりますので、保険に入って利益を圧縮しましょう。そうすれば節税になりますから」などとアドバイスを受けたことがあるのではないでしょうか。

節税の捉え方は様々です。今期だけの税金だけを見てみると確かに利益が圧縮されますから税金もその分安くなります。そういう意味ではれっきとした節税なのでしょうね。ところが保険を中途解約した場合に入ってくる返戻金は全額利益になります。中途解約した期においては当初の利益に返戻金収入が上乗せされるのでトータルで見れば結局のところ保険に入っても入らなくても同じだね、となります。同じだねというのは税金の総額が同じだということです。ただし返戻率が100%の場合ですね。

国税庁の見直し案により従来のこの手法が使えなくなりますので、「節税」という切り口での保険のセールスが難しくなるのではないでしょうか。

いわゆる節税と世の中で言われているもののほとんどがこのようにトータルで見ると同じだよ、というものです。これを課税の繰り延べと言います。今期払うべきだった税金を数年後に支払いを先延ばしにしたに過ぎないという意味です。

しかしながらトータルでも節税になるものも存在します。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、法人税は中小企業限定ですが累進税率を採用しています。具体的には所得(利益とほぼ同義です)が800万円までと超える部分で税率を変えていて800万円までは15%、800万円超では23.4%です。地方税も同様の考え方を取っているので実効税率(地方税も加えた税金の実質負担割合です)にすると800万円以下では23%(400万円以下では21%ですがここでは便宜上800万円以下では一律に23%とします)、800万円超では33%です。この税率の差(10%です!!)を上手に利用すると節税になる場合があります。

所得を平準化すればよいのです。例えば①利益が今期1600万円、来期0円の場合と②今期も来期も800万円では2期通算では80万円も税額が違います。

①800万円×23%+(1600万円-800万円)×33%=448万円

②800万円×23% × 2年分 = 368万円

では平準化するにはどうすればいいのか。手法はいろいろあります。倒産防止共済(いわゆるとうさんぼう、です)を使う、減価償却費を計上する、しないをコントロールする(法人の場合は減価償却の計上は任意です)などなど。

個別の事情により使える手法は様々ですが、ご検討の価値はあるかと思います。

東京都文京区の税理士です

 

 

 

投稿者: you-furumi

東京都文京区で税理士をしております。お客様に本業に専念していただけるようサポートをすることを使命と考えております。

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