みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
消費税の免税事業者、消費税を納める義務がない事業者のことです、であるメリットは何といっても消費税を納める義務がないことです。。。
だからといって消費税を請求額に上乗せしてはいけないという規定はどこにもありません。ですから免税事業者は預かった消費税を納税せずに懐に納めたままでよいのが現状です。しかしながらこれは理屈からいうと明らかにおかしいです(仕組みがですね)。お客様から消費税を預かっているのにそれを納めなくてもよいのですから。
この問題を国は消費税導入当初からいわば放置していました。しかしながらついに手が打たれることになりました。具体的には平成35年10月1日以降は免税事業者に支払った消費税は仕入税額控除ができないようにしたのです。
消費税の仕組みについては前に申し上げましたが簡単に復習をします。お客様からあずかった消費税から他のお店などに支払った消費税を引いた金額(この支払った消費税を引けることを仕入税額控除と言います)を国に納める仕組みを取っています。この場合の「他のお店など」から免税事業者を除外することとしたのです。それはインボイス制度の導入と同時にスタートすることになります。
インボイス制度とは法に則った領収書(適格請求書等と言います)に記載された消費税のみが仕入税額控除の対象とする、というものです。そしてこの適格請求書等を発行できるのは課税事業者のみつまり免税事業者は除かれますよとするのです。そうすると何が困るのでしょうか。次に見ていきます。
請求書に消費税を上乗せで記載できるのは課税事業者のみとなります。そうすると免税事業者は請求書に消費税を記載することができなくなります。免税事業者は今までの売り上げを維持しようとすると本体価格自体を値上げしなくてはならなくなります。なぜか。今までは消費税を上乗せ請求できましたから例えば本体価格100万円とプラス消費税分8%の8万円の108万円の請求額とすることができました。実際にはこの108万円がまるまる売上になっていたわけです。ところがインボイス制度が導入されることにより108万円を本体価格として請求書に書かざるを得なくなります。そうすると取引相手から「なんだよ8万円を値上げしたのか」と値下げ交渉をされることでしょう。本来は100万円の価値なんだから100万円にすべき、といわれても仕方のないところです。これは大打撃です。とはいえ、本来あるべき姿になるのですから歓迎すべきことなのでしょう。
税理士などは税務のコンサルティングをするときに免税事業者のメリットを享受できるようなあらゆる手段を提案してきたはずですが今後はその手は使えないということになります。
でも重ねて言いますがこれが本来の消費税という制度の在り方ですので専門家としては歓迎すべきことなのでしょう。