みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。こちらのブログを平日限定ですが毎日更新しています。
企業版のふるさと納税があるのをご存知でしょうか。会社が地方自治体に寄付をした場合にその寄付額の6割程度の税負担額が軽減されるというものです。
法人税法では会社が寄付をした場合、寄付先によっては損金(いわゆる経費のことです)に計上できる金額を一定割合までしか認めないという規定があります(「寄付金の損金不算入」法人税法第37条)が、それが国・地方公共団体に対するものであれば税金を納付するのと変わらないという理由から全額損金に計上することができます。
ということは我が国の法人税等の実効税率は3割程度ですので通常国などに寄付をした場合はその3割の税負担が軽減されることになります。ところがそれをふるさと納税という制度を使うと6割程度の税負担が軽減されるのです。すごいですね。と言いたいところですが実はあまり使い勝手の良くない制度なのです。あまりというよりも全然ですね。
内閣府が認定した地方自治体の事業に対する寄付に限定されるという非常に狭い範囲でしか認められないことが一つです。具体的な例については内閣府のこちらのホームページをご覧ください。あとは個人版のふるさと納税で行われている地方自治体からの返戻品がないというのもなかなか動機づけを難しくしているところでしょう。これらの理由により個人版が2017年度で3600億円の寄付があったところ企業版では23億円だそうです。
このため政府は今後もっとこの制度が使いやすいものになるよう見直しを図るようです。まあそもそも個人と違って会社は一人の意思だけが働くものではないので、基本的に見返りがない寄付というのは会社して行うというのは難しいものがあるのでしょうね。