みなさんこんにちは、税理士の古見です。東京の文京区という所で税理士事務所を開業しております。
今週もよろしくお願いいたします。
先週のことですがニュースで「金を密輸したとして男が逮捕されました」とありました。この金の密輸って何が問題なのでしょうか。密輸で思い出されるのが覚せい剤などの禁止薬物ですね。でも金はもちろん禁止薬物ではありません。何が問題なのでしょう。
実は消費税法・関税法などの法令に違反するのです。金を密輸した時の罰則がそれぞれの法律で定められております。このうち消費税法について見ていきましょう。
保税地域から課税貨物を引き取る際には消費税が課税される(消費税法47条、50条)。。。
すみません、いきなり専門用語の連発で。これを意訳しますと「外国から物品を輸入する際にはその物品に対し消費税が課税される」、となります。外国から商品を日本に持ち込むとその持ち込んだ時点で消費税を納めなければなりません。どこに?税関です。税関にこうこうこういうものを持ち込みますよと申告し、それに対する消費税を同時に納付する、というのが原則的な流れです。物品には当然金も含まれます。
これが金の密輸とどう関係があるか。納める消費税というのはその物品の経済的価値(課税標準)に消費税率を乗じて計算します。金というのはとくにその経済的価値が高いのでそこにかかる消費税も当然高くなります。そうすると悪いことを考える輩はその高い消費税を払わないようにするにはどうすればいいか考えるわけです。そこで税関で見つからないように金を隠し持って日本国内に入国することにしたのです。そうすれば金にかかる消費税を納付する義務を免れることになります(もちろん違法に)。そして日本国内で金を売却すれば少なくとも消費税の分は丸々利益になる、というわけです。
ちなみに消費税法では金を密輸した場合は十年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金、またはこの両方が科されます(消費税法64条)。